滝川 洋『過激派壊滅作戦』
書籍データ
著者 滝川洋
タイトル 『過激派壊滅作戦』
出版年 1973年
出版社 三一書房
過激派
過激派とはその名の通り過激な主張または行動をする派閥のことだ。但し、本書が執筆された1970年代は過激派といえば左翼系の過激派を指すというのはこの時代の共通認識であったと言って良い。1960〜70年代は左翼系の学生運動やそこから派生した過激派が様々な活動をしていた。「活動」といっても現在のようにSNSで自分の意見を主張するというような生易しいものではなく、爆弾テロやハイジャック等のテロリズムであった。
これらを取り締まる警察や公安関係の機関も生易しいものではない。70年代といえば戦前の左翼や無政府主義者を弾圧した捜査員がまだ現役でいる時代だ。この時代はテロリストとそれを徹底的に捕まえる捜査員の戦いでもあった。
過激派もダメなら公安もダメ
本書は新聞記者の日記という形式で話が進んでいく。当時起こった事件、これに対応する降雨案関係の捜査員のやり取りを淡々と描いている。恐らく本物の記者が執筆したのだろう。内容はというと現在でいう「暴露本」である。この本が発売された時に三一書房は公安警察から嫌がらせの家宅捜索を受けたという。
著者の名ももちろん偽名であるが、内容はかなり事実に近いものであるといえる。殺人も辞さない都市ゲリラに対して警察官、特に公安警察の人権を無視した姿勢が克明に描かれている。それも容疑者のみではない。容疑者に関係している人にも容赦はしない。
中には学生運動とは全く無関係であったにもかかわらず公安警察に疑われたため外出中に家宅捜索をしたというようなこともあったらしい。本書を読むと過激派に共感できることは全くないが、同時に警察の「壊滅作戦」も完全に違法行為であり賛同することはできない。
内容は日記調で書かれており、やや単調である。しかし内容はすさまじく、世の中には絶対的な正義は無く、白黒はっきりつけられないと感じられた。現在はまだ古本が流通しているが、絶版のため今後入手は困難になるだろう。私も学生運動には全く興味がないが入手できなくなるのは確実なので購入しておいた。
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