
(画像はwikipediaより転載)
要約
M42短機関銃は1940年に完成した短機関銃である。全長820mm、重量4.5kgで9mmパラベラム弾を使用する。作動方式はオープンボルト、ストレートブローバックでセミ・フルオート切替可能である。米軍で採用されることはなかったがパルチザンやレジスタンスへの援助として使用された。
UD M42短機関銃
性能
全長 820mm
重量 4,540g
口径 9mm
使用弾薬 9mmパラベラム弾
装弾数 25発
発射速度 700発/分
完成 1940年
総生産数 15,000挺
設計・開発 ユナイテッド・ディフェンス
ハイスタンダード
マーリンファイアアームズ
開発経緯
第一次世界大戦後に米軍に採用されたトンプソン短機関銃はそれまでの機関銃が数人で持ち運び、設置をして射撃するという大掛かりな機器であったものをわずか5kgの大きさにまで小型化した画期的な銃であった。このため塹壕等の重火器を入れることが出来ない場所を掃討することが可能となった。そもそもトンプソン短機関銃はその塹壕を掃討することを目的に開発された短機関銃であったが、それは第二次世界大戦でも同様に威力を発揮することになった。
しかしトンプソン短機関銃には欠点もあった。それは小銃をも上回る5kgという重量(M1ガーランドは4.3kg、M1903は3.9kg)、削り出し工法という大量生産に不向きな製造方法、さらにこの製造方法のため製造単価が高いことであった。このため1942年にはトンプソンを再設計したM1A1が登場する。しかしこれもトンプソン短機関銃の欠点をわずかに修正したに過ぎなかった。
1940年、米国ハイ・スタンダード社のカール・G・スウェビリウスは新しい短機関銃を開発した。これがのちにM42と呼ばれる短機関銃となる。スウェビリウスは早速特許を取得、その製造権をハイ・スタンダード社に売却した。そして様々な紆余曲折を経てユナイテッド・ディフェンス・サプライ・コーポレーションという会社が販売、米国の銃器メーカーマーリン社が実際の生産を行うこととなった。
開発
M42は全長820mm、9mmパラベラム弾を使用する。トンプソン同様削り出し工法で製造されており、ライフル銃のようなグリップを兼ねた曲銃床の木製ストックを持ち、バレル下部には同じく木製のフォアグリップを装備していた。削り出し工法である上に木製ストックを装備していたため重量は4.5kgと重い銃となってしまった上に単価も高いというトンプソン短機関銃と同様の弱点を持った銃となってしまった。
外観で特徴的なのは弾倉で装弾数は25発とやや少なめであるが弾倉が2本前後に接着されておりマガジンチェンジが素早く行えるようになっている。作動方式はオープンボルト方式のストレートブローバックという当時としては一般的な機構を採用しているがホールドオープン機能が採用されている点は当時の短機関銃としては珍しい。セレクターによってセミ・フルオート切替が可能である。
射程は100〜200m程度で発射速度は700発/分と比較的高速回転であるが米軍のテストでは信頼性や命中精度、コントロールし易さは高く評価されていた(45ACP弾仕様)。この米軍でテストされた45ACP弾仕様は6挺のみ製造されたモデルで貴重品である。
戦歴
当初の設計では9mmパラベラム弾仕様の短機関銃であったが、米軍へ売り込むために45ACP弾仕様も製造され米軍においてテストが行われたものの前述の「紆余曲折」によって権利関係が複雑になり過ぎたのと、当時すでにトンプソン短機関銃の改良型M1A1が設計されており、同時にM2短機関銃の採用も決定していたために採用は見送られた。
米軍での採用はされなかったもののオランダ軍がインドネシア植民地軍の武装用に15,000挺を購入したが日本軍のインドネシア侵攻によって輸送が中止、全て米国政府が購入することとなった。そしてこのM42はOSS(CIAの前身機関)が使用することになった。
これらの銃はドイツ軍占領下で抵抗するパルチザンやレジスタンスに対する援助として空中から投下された。使用弾薬がドイツ軍が使用している9mmパラベラム弾ということも弾薬の入手が容易なためちょうど良かったようだ。一部中国やアフリカ等でも使用された。
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