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(画像はwikipediaより転載)

 

トンプソン サブマシンガン

 

 

性能

全長 860mm
重量 4.9g
口径 45口径
使用弾薬 45ACP弾
装弾数 20,30,50,100発
完成 1921年
総生産数 約1,750,000挺
設計・開発  ジョン・T・トンプソン / オートオーディナンス

 

開発経緯

 ジョン・T・トンプソンはトンプソンサブマシンガンの設計者である。彼はウエストポイント陸軍士官学校を卒業した生粋の軍人で最終的には准将にまで昇進している。専門は兵器関係であるが技術系の士官ではなく、生産や物流を監督する軍政畑を歩んだ。

 トンプソンの現役時代の米軍の主力小銃はボルトアクション方式のM1903小銃であったが、トンプソンは自動小銃の開発を志した。自動小銃は連続発射をするために弾丸発射時のガスの圧力または反動によってボルトを後退させて次弾を装填、発射する。さらにその圧力または反動によってボルトを後退させる。この連続が自動小銃のメカニズムである。

 ガス圧利用方式はガスオペレーションと言われ発射時の爆発で発生する高圧ガスをチューブを通して後方に送り、このガスの力でボルトを後退させるという方式、反動利用方式とはブローバックと呼ばれる方式でこれはシンプルに反動でボルトを後退させる方式であった。

 原理は簡単なのだが、問題はカートリッジが発生させるガス圧や反動というのは凄まじく強力であるためそのままだと凄まじいスピードでボルトが後退して薬莢が排莢される前に次弾が装填されてしまうということが起こる。このためにボルトの後退速度を遅らせる必要があるのだ。

 後退速度を遅らせる一番シンプルな方法はボルトの質量を大きくすることである。しかしこれはカートリッジの威力に比例してボルトの質量が大きくなってしまうので低威力の銃には有効であるが高威力の銃には不向きである。ボルトの質量が大きくなり過ぎて運用上問題だからだ。

 そこで様々は方法が考案されているのであるが、トンプソンが選んだ遅動方法はブリッシュロックという方法であった。これは異なる金属間に大きな摩擦が生じるという仮説の下に開発された作動方式で鋼鉄のボルトに真鍮のロッキングピースを組み合わせることによって摩擦でボルトの後退速度を遅らせるというものであった。

 

開発

 1915年、トンプソンは自動小銃を開発するためにオート・オードナンス社を設立、自動小銃の設計を開始するが、このブリッシュロックは当時のM1903小銃が使用するカートリッジである30-06弾は高威力過ぎてブリッシュロックではボルトを遅動させることが出来なかった。

 そこで1917年9月、カートリッジをコルトM1911が使用する45ACP弾に変更して試作銃パースエイダー(説得者)を完成させる。このモデルは作動はするものの2〜3発に一度は装填不良を起こし、連射速度(業界では回転速度という)が非常に速かった。これは個人携行用の銃器として軽量化した結果であると同時に採用していたベルト給弾方式が原因であった。

 そこで1918年、改良型のアナイアレーター気完成する。このモデルではベルト給弾方式からボックスマガジン方式へと変更、連射による銃身の過熱を抑えるために銃身に放熱フィンを設け、銃身下部には脱着可能なフォアグリップが追加された。

 

性能

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(画像はwikipediaより転載)

 

 この銃は拳銃弾を使用する機関銃ということからサブマシンガンと命名され銃の名称も開発者の名を取ってトンプソンサブマシンガンとした。のちに民間への販売のための宣伝効果を狙いトミーガンという愛称が付けられる。初期生産モデルはM1919であるが、これは装弾数20発〜30発のボックスマガジンを使用する。

 削り出し工法を多用しており、極力コストを省略するために全体的に四角形で構成されている。サムセイフティやセミ/フル切替レバーはフレーム左側面に付いておりチャージングハンドルは上部にあり、サイトはフロント、リア共に無く、ストックもない。

 使用弾薬は45ACP弾で作動方式は前述のブリッシュロック方式であった。しかしこのブリッシュロック方式、本当に仮説の通りに機能していたのかというとそうではない。トンプソンサブマシンガンは後に英軍によりテストされるがその際にはブリッシュロックは構造が複雑になっただけで不要と結論づけられており、さらに後の改良型M1ではシンプルブローバックに変更されてもきちんと機能しているからである。実はトンプソンサブマシンガンは後のUZIやイングラムMAC10のような普通のオープンボルト方式のサブマシンガンであった。

 軍用銃として開発されたトンプソンサブマシンガンであったが、第一次世界大戦は終結してしまったため民間用に販売することとした。使用弾薬は45ACP弾だけでなく9mmパラベラム弾、380ACP弾、や32口径や22口径などの弾薬を使用するタイプも生産された。回転速度は1,000〜1,200発/分と高速であったが作動は良好で軍のテストにおいても2,000発中に作動不良は1回という優れた性能を発揮した。さらに泥や塵などに対しても優れていたが、銃自体が重い上にトリガーが重いという欠点もあった。

 

バリエーション

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(画像はwikipediaより転載)

 

 バリエーションとしては初期型のM1919がある。M1921はM1919を洗練したモデルで新たにストックが装備され、フロント、リアサイトが装備された。弾倉はこれまでの20発、30発ボックス弾倉の他に50連発のドラム弾倉が用意された。精密な削り出し工法で丹念に仕上げられている。回転速度は800発/分程度になった。1926年にはマズルブレーキであるカッツコンペンセイターが発明されたため1927年より発明者カッツとロイヤリティ契約を締結、コンペンセイター装備モデルをM1921AC、未装備モデルをM1921Aと呼ぶようになった。

 M1923はカートリッジを45レミントン・トンプソン弾に変更したモデルで軍用銃としての採用を勝ち取るために威力を強化したが精度が悪化したために試作で終わった。銃身が10cm延長されフォアグリップが水平タイプに変更されている。M1927は銃のコントロールを容易にするためにセミオート化したモデルである。M1928は米海軍と海兵隊に納入したモデルでカッツコンペンセイター、水平フォアグリップを標準装備して回転速度を600発/分に落とした。これはM1928A1として米陸軍に採用された他、フランス軍、英軍、スウェーデン軍に採用されている。

 M1は大量生産を行うための簡易化モデルでブリッシュロック、コンペンセイター、銃身の放熱フィンを廃止した他、コッキングハンドルを右側面に移動、リアサイトを鉄板に穴を開けただけのものに変更された。さらに生産にはプレス加工を多用した結果、製造時間はM1928A1の半分の時間になった。しかしこれでも簡略化が不十分と判断され、さらに同年中に撃針のボルトへの固定化、照門に三角形の保護板が付けられたM1A1が完成する。

 

FBIの10mm弾トンプソン

 変わったところでは1989年に米国FBIが所有しているトンプソン短機関銃をオートオーディナンス社に依頼して改修させた10mm弾仕様のトンプソンというモデルもある。これは1986年のマイアミ銃撃事件がきっかけでFBI捜査官の火力の弱さが問題となりFBIで10mm弾が採用されたことに起因している。

 結局、MP5/10という10mm弾仕様のMP5が採用され、さらに反動が強すぎることが問題となりMP5/40という40S&W弾仕様のMP5が採用されることとなった。ハンドガンも10mm弾仕様のS&W M1006をFBI仕様にしたM1076を採用したものの同様の理由からグロックの40S&W弾仕様モデルが採用されている。

 

運用

 当初は民間用に販売されており、米国郵便公社や全国のギャング達に採用された程度であったが、M1928が海軍、陸軍に限定調達された他、フランス軍、英軍、カナダ軍、スウェーデン軍に採用された。1939年6月には米陸軍が限定調達から標準調達に変更、名称もM1928A1となる。このM1928A1は第二次世界大戦ではレンドリース法によって連合国各国に支給されたためM1928A1だけで562,511挺が生産されている。

 1942年にはM1A1が制式採用されたが、同年M3グリースガンが制式採用されるとM1A1の優先順位は低下、順次M3に切り替えられていった。1957年には米軍から完全に退役するが、1961年にベトナム戦争が勃発すると予備品として保管されていたM1を南ベトナム共和国軍に提供している。

 

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パトリシア・クラークソン
2013-11-01

 

 

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