(画像はwikipediaより転載)
要約
TBDデバステーターはダグラス社が設計生産した艦上爆撃機である。初飛行は1935年4月15日で最高速度322km/h、航続距離1,152km、1,000ポンド爆弾1発または魚雷1本を搭載できる。米海軍初の全金属製航空機であり密閉式風防や折り畳み翼を装備している。太平洋戦争開戦時からミッドウェー海戦まで実戦参加しているが以降はTBFアベンジャーに更新された。
TBDデバステーター
性能
全幅 15.24m
全長 10.67m
全高 4.60m
自重 2,540kg
最大速度 322km/h(高度2,400m)
上昇力 3.7m / 分
上昇限度 5,900m
エンジン出力 900馬力(P&W R-1830-64ツインワスプ)
航続距離 1,152km(454kg爆弾搭載時)
乗員 3名
武装 7.62mm機銃または12.7mm機銃1挺(前方)、7.62mm機銃1挺
爆装 1,000ポンド(454kg)爆弾(または878kgマーク13航空魚雷)1発または
230kg爆弾3発または
45kg爆弾12発または
初飛行 1935年4月15日
総生産数 130機
設計・開発 ダグラス社
概要
1934年6月30日に米海軍より発注された雷撃機で1935年4月15日に初飛行をした。このデバステーターは米海軍初の全金属製航空機であり、密閉式風防、折りたたみ翼等ののちの航空機に装備された機能を初めて備えた機体であった。搭乗員は3名で手前から操縦員、爆撃員、無線オペレーター兼後部銃座の射手の順番で搭乗している。中央の爆撃手は爆撃の際には操縦員の下にもぐりこみ、うつ伏せの状態で下部窓からノルデン射爆照準器を使用して爆撃を行うというユニークな形状であった。
武装は胴体内に魚雷と爆弾が搭載できるが完全な内蔵式ではなく半内蔵式で、さらに翼下に45kg爆弾12発を搭載可能である。後部銃座には7.62mm機銃が装備されていた。エンジンは900馬力P&W R-1830-60エンジンで最高速度は高度2,400mで322km/h、上昇限度は5,900mである。
実戦での運用
1937年から米海軍に配備が始まり各空母に配備された。米海軍はこの雷撃機で太平洋戦争開戦を迎えた。初の実戦参加は1942年2月で空母エンタープライズ、ヨークタウンから発進したTBDデバステーターがマーシャル諸島、ウェーク島、マーカス島等の空襲を行った。その後、珊瑚海海戦、ミッドウェー海戦等にも参加する。
しかしこれらの海戦によりこのTBDデバステーターの性能が現代戦には時代遅れであることがはっきりと証明されることとなった。特に酷いのはミッドウェー海戦で41機のTBDデバステーターが出撃したが、最高速度322km/h、雷撃に際しては185km/hまで減速しなければならないデバステーターは日本機動部隊の直掩を行う零戦隊の格好のターゲットとなり、帰還できたのはわずか7機のみであった。
これ以降、米海軍はその時点で保有していたTBDデバステーター39機を全て現役から引退させ、一部は大西洋や訓練で試用したものの1944年後半までには完全に使用されなくなった。総生産数は試作機1機を含めて130機で現存している機体はない。
このTBDデバステーターの米軍での評価は散々であるが、デバステーター初飛行の翌年に初飛行した日本の九六式艦上攻撃機が布張り固定脚であったことを考えると開発段階ではかなり先進的な雷撃機であった。ミッドウェー海戦の損害についても後継機であるTBFアベンジャー6機が実戦に参加しているが内5機が撃墜されておりこの海戦でのデバステーターへの評価は厳しすぎるといえる。
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