17_タミヤ戦艦ニュージャージー

 

好きな戦艦は何ですか

 

 就職活動において「好きな戦艦は何ですか?」という質問は定番中の定番であるといえる。就職活動を経験した方は分かると思うが、就職面接での質問は本心を正直に答えればよいというものではない。相手企業がどういう人材を求めているかを考慮してそれに沿うような返答をしなければならないというのは就活経験者であれば常識であろう。

 私は「ロシア戦艦が好きで、特にペレスヴェート級戦艦2番艦オスラビア」が好きです!」等と答えようものなら就職、特に公務員関係での就職は絶望的だ。そんなクソマイナーな戦艦を知っている人は極少数である。常識人であり、本気で就職を目指すのであれば戦艦大和武蔵長門等と答えるのが無難である。それ以外でも戦艦ビスマルクテルピッツやイギリス戦艦で一発勝負をかけるというのもいいかもしれない。

 では私はどうかというと、実は何を隠そう私はアメリカ戦艦が大好きなのだ。恐らく戦艦好きの中でも日本でも英国でもドイツでもなくアメリカ戦艦というのは現在では絶滅が懸念されている極少数民族の部類に属するのではないかと思う。米戦艦といっても一番ミーハーなアイオワ級限定ではあるが。。。日本人なのに日本戦艦が一番じゃないのは不思議に思われるかもしれないが、私には日本戦艦の檣楼がどうもカッコ悪く今ひとつ熱くなりきれないのだ。

 そこにいくとアイオワ級戦艦はスマートで美しい。特に私が好きなのは近代化されたところだ。戦艦はかっこいいが現代ではやはり老兵。。。と思いきや、最新鋭のレーダー、CIWSやトマホークで武装されたアイオワ級は最先端の老兵なのだ。。。むむむ、好き!

 

戦艦 アイオワ級

 

01_戦艦ミズーリ
(画像は戦艦ミズーリ wikipediaより転載)

 

 戦艦アイオワ級とは1943年に竣工した米国製戦艦で同型艦は4隻存在する。排水量45,000トンで排水量では戦艦大和級の64,000トンには遥かに及ばないものの全長270mは史上最長である。主砲は16インチ砲3連装3基で合計9門である。16インチ砲は日本の戦艦長門級と同径であるため大和級と比べると主砲の威力は低いもののアビオニクス等は当時の最先端の機器が装備されている。

 1943年に竣工したアイオワは当初大西洋方面に派遣されるが1944年には太平洋に転戦、姉妹艦3隻と共に対日戦争に活躍した。3番艦ミズーリは日本の降伏調印が行われた戦艦として教科書にも載っているほどである。戦後は戦艦を使用する機会がなかったため1948年から1949年に全艦予備役となった。

 その後、朝鮮戦争、ベトナム戦争等で現役復帰と予備役を繰り返し1969年に予備役に編入されるが、1980年代の米海軍の600隻艦隊構想により現役に復帰する。その際、大規模な近代化改修を実施、レーダー等の最新のアビオニクスを始め、巡航ミサイルトマホーク、対艦ミサイルハープーン、CIWS等が装備された。

 その後、レバノン内戦や湾岸戦争で艦砲射撃を行ったが湾岸戦争を最後に退役した。

 

02_タミヤ戦艦ニュージャージー

 

戦艦ニュージャージー近代化改修後を購入

 

建造開始

ということで戦艦ニュージャージーを購入。安定のタミヤ製。もちろん近代化改修後のもの。パッケージも戦艦の大口径砲とファランクスの組み合わせがたまらん!

 

03_タミヤ戦艦ニュージャージー

 

 中身を取り出す。ちょっとワクワクする瞬間。模型を買った時に大切なのは中身を確認すること。極稀に部品が足りないことがある。普通の販売店で購入した場合は部品の確認が済むまでレシートは捨てない方がいい。メーカーは連絡すれば部品を送ってくれるが、その際にレシートや購入した証明が必要になるのだ。因みに戦艦ニュージャージーは部品全部あった。

 

04_タミヤ戦艦ニュージャージー

 私は塗装してから作る派なのでまず塗装。マスキングテープをベタベタ貼りスプレーする。とにかくマスキングテープを貼るのが大変だった。塗装は一瞬だけどマスキングテープを貼るのに1時間以上はかかっただろう。。。(汗)

 

05_タミヤ戦艦ニュージャージー

 これが塗装済みのもの。木製甲板は最初に塗装してある。

 

06_タミヤ戦艦ニュージャージー

 綺麗にマスキングしたつもりだったけど、やはりはみ出してしまったようだ。ベテランモデラ―さんだったらもっとうまくやれるのかなぁ??

 

06_タミヤ戦艦ニュージャージー

 筆でペタペタ塗装する。こういう作業は結構好きだったりする。組み立てるよりも塗装が好き。

 

08_タミヤ戦艦ニュージャージー

 先ほどのはみだし部分も塗装完了。で、、、ここで大事件発生!何と私が模型作りに飽きてしまったのだ。ひょんなことから始めた模型作り。夢中になって軍艦を7〜8隻作ったのだが、このニュージャージーの塗装が終わったあたりで飽きてしまった。せめて完成させたかったが、生まれついてのネコ型人間。飽きたものは飽きたのだ。。。2018年暮れの出来事だった。ちーん。。。

 

建造再開

 そして時は過ぎ、2019年の暮れ。建造計画が保留された戦艦ニュージャージー。我が海軍工廠に艦体のみ係留されている状態であったが、やっと予算計画も承認され建造が再開された。。。要するに「いい加減作らないと!」と思ったのだ。

 

09_タミヤ戦艦ニュージャージー

 塗装だけはほぼパーペキ(完璧の意)に仕上げてある。あとは組み立てるだけだ。私は意外と神経質な性格のため部屋に作りかけのものが置きっぱなしになっているのに耐えられないのだ(←一年間放置していた人)。

 

10_タミヤ戦艦ニュージャージー

 とりあえず檣楼と煙突。中央構造物を作る。アメリカ戦艦のスマートなフォルムが浮かび上がる。こうなるとちょっとテンション上がるのだ。

 

11_タミヤ戦艦ニュージャージー

 戦艦ニュージャージー近代化の特徴であるCIWSとトマホーク、さらにレーダーやアンテナを取り付ける。ハイテク戦艦が徐々に出来上がっていく。副砲も二連装が6基。大戦中はもう少しあったはずだが、トマホーク等を設置するために撤去されたようだ。

 戦艦大和も戦争末期には対空兵器を設置するために左右の副砲が撤去された。戦艦で最も存在意義がないのは副砲なのかな。いやしかし戦艦ニュージャージーのこれは副砲といえるのだろうか。。。

 

12_タミヤ戦艦ニュージャージー

 艤装は完全に終わり、汚し塗装も完了。あとはデカールを貼るだけ。バランスの取れた美しいフォルム。太平洋戦争から朝鮮戦争、ベトナム戦争から中東まで派遣された最強の砲撃力を持つ戦艦ニュージャージー、ほぼ完成!

 

戦艦ニュージャージー完成

13_タミヤ戦艦ニュージャージー

 じゃじゃーん!最後の最後でデカールを貼るのに失敗してしまった。。。(汗)この無様な飛行甲板よ(涙)。きっとうまく貼る方法はどこかになるのだろう。模型というのは完成するとまた作りたくなるのが不思議だ。

 

14_タミヤ戦艦ニュージャージー

 まあ、大失敗すわ。。。

 

15_タミヤ戦艦ニュージャージー

 上から見たところ。飛行甲板のデカール以外はまあそれなりに見れる状態ではある(決してうまくはないが。。。)。

 

16_タミヤ戦艦ニュージャージー

 中央構造物のドアップ。因みにドアップの「ド」は、ドレットノート級戦艦の頭文字。ドレットノート級戦艦の登場が時代を変えたのでこの戦艦の登場以来、スケールの大きいもののことを「ド級」というようになった。

 しかし私みたいな素人でも説明書通りに塗装して組み立てて汚し塗装をするとまあ、それなりに見られる姿にはなるものだ。

 

17_タミヤ戦艦ニュージャージー

 

まとめ

 

 製作期間1年。といえばすごい大作を作った気になるのだが、実際の作業日数は1週間程度か。途中で製作するのに飽きてしまったのが痛すぎる。ただ、完成してみると圧倒的な存在感。以前作った航空戦艦伊勢、客船改造空母隼鷹、工作艦明石等と比べても圧倒的に大きい。やはり太平洋戦争中の最新鋭戦艦は違う。

 特に私が好きなのは近代化後のもの。戦艦の栄光の時代が過去のものになり予備艦として眠っていた戦艦ニュージャージー。80年代に最新の技術で近代化された戦艦は多くの実戦にその大口径砲の威力を発揮した。何でも「最新」「最先端」の国であるアメリカが行った改修というアンバランスさもも魅力的だ。

 しかし近代装備が追加されたといっても太平洋戦争中に就役した戦艦。中身は数十年前のものだ。すでに操作が分からなくなってしまっており、エンジンや大砲の操作法を学ぶために当時の戦艦の乗組員達が招集されたという。最後の戦艦に老兵達が乗り込んだのだ。

 戦艦アイオワ級は朝鮮戦争、ベトナム戦争、そして湾岸戦争にまで参加しイラク軍陣地に自慢の大口径砲を撃ち込んだのだが、如何せんソナーも持たず水面下は無防備であった。そして運用するためには膨大な人員が必要なこと、運用コストが高すぎ老齢化のためマイナートラブルが多発したこと等により湾岸戦争を最後に引退することとなった。

 現在、同型艦4隻共に記念館として保存されている。半世紀戦った老兵は静かに眠るのだった。。。

 

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