(画像はwikipediaより転載)
要約
S&W社が1861年に発売したリボルバー第二弾である。前作No1はヒットしたものの口径が22RF弾と低威力であったため32口径に大型化したモデルである。構造はほとんど同じであるが材質に鋼鉄が使用されている。重量は737gでカートリッジはNo1と同様に銃身を跳ね上げて装填する。
S&WNo2
性能(6インチモデル)
全長 279mm
重量 737g
口径 32口径
使用弾薬 32口径RF
装弾数 6発
完成 1861年
総生産数 77,020挺
設計・開発 S&W社
大口径化して欲しい!
No1リボルバーの登場で一躍時のメーカーとなったS&W社。シンプルで信頼性の高い構造に最新の金属カートリッジ仕様とパーカッション式全盛の当時としては小型軽量だわ装填は素早くできるわで引っ張りだこであった。運が良いと言ってしまってはいけないのかもしれないが、ちょうど製造直後に南北戦争が始まった。少なくともS&W社にとっては運が良かったといえる。この戦争でS&W社製No1リボルバーの需要は増大、パチモンを製造するメーカーまで現れたようだ。
ただ、問題もあった。口径が小さすぎるのだ。当時のパーカッション式ハンドガンの口径は主に44口径や36口径、これに対してNo1リボルバーは22口径である。口径が小さいだけではない。薬莢の長さも短くて火薬も少ししか入らない。22口径といっても現在の22口径ショート弾程度の威力しかないのだ。これでもサーベルで戦うよりは有利ということなのか護身用には重宝されたものの、やはり大口径化が望まれたのだ。特に戦場からの声は大きかったのだろう。
そこで登場したのがNo2リボルバーだ。名称にはもう少し味があっても良いとは思うが分かりやすいのは間違いない。S&W社2番目のリボルバーなのでNo2リボルバーなのだ。S&W社の社風なのか、同社の製品は無味乾燥なナンバーであることが多い。第二次世界大戦後の1957年にナンバー制が導入されてからは名称はガチでナンバーになってしまった。恐らく合理的なのだろう。
構造など
No2リボルバーは構造はほとんど同じだが、口径を32口径と一挙に大口径化、顧客ニーズに対応したのだ。但し、この頃になると鍛造鉄が低価格で入手できるようになったため素材は鍛造鉄に変更されている。このため強度は相当上がっているハズである。しかしそれでもS&W社としては最大威力のカートリッジを使用するためシリンダーにはフルート(溝)は入っていない。フルートは重量軽減のためにシリンダーを削るものであるが、S&W社は軽量化よりも強度を選んだのだろう。さらに装弾数もNo1が7連発であったのに対して6連発でシリンダーの強度に配慮している。堅実である。
このため外観上はクリソツ(そっくりの業界用語)であるが、大きさはNo1に比べて10センチほど大きく、重量は315gから一挙に737gと倍以上になってしまった。しかし倍といってもコルトM1860アーミーの重量が1,220g、小口径で軽量化された36口径1861ネービーでも1,162gであるのでそれでも軽量なハンドガンではあった。現在のポリマーフレームを使用したグロッグ17の重量が800g前後であることを考えても軽量である。
構造はNo1と同様のシングルアクションでバレル基部上部に蝶番のようなフレームとの接合部があり、カートリッジを装填する際はバレル部分を上部に跳ね上げ、シリンダーを抜き取り装填する。この構造はチップアップと呼ばれているが、重力に逆らって上に跳ね上げるよりも下に下げる方がいいことにS&W社もNo3から気が付いたようでこのチップアップを持つリボルバーはNo2で最後となった。最後といってもNo1とNo2のみで採用されただけなのだが。
割と人気商品となった
カートリッジは32口径リムファイアである。リムファイアとはカートリッジ内部の火薬を発火させるための起爆剤がリム部に入っているカートリッジのことで現在でも22LR弾等はリムファイア方式である。装填されたカートリッジのリム部を撃鉄が叩くことで起爆用の火薬が潰れ発火、それがカートリッジ本体の火薬に引火、弾丸が発射されるというものだ。これは構造が単純で生産が容易なのがメリットではあるが、リム部に均一に火薬を入れる必要があり、これを失敗すると不発になってしまう。小型カートリッジでは問題ないが大型化は難しいのだ。
現在では多くのカートリッジはプライマー(雷管)を使用する。これはカートリッジとは別パーツで起爆剤が入ったちっちゃな皿がカートリッジ後部中央に装着され、これを打撃することで弾丸を発射するものだ。パーツは増えてしまうが不発は少なくなる。銃用のプライマーは1830年頃に開発はされていたが、未だ実用化には至ってなかった。このためNo2リボルバーは32口径でもリムファイア弾を使用している。
No2リボルバーは1861年に発売、南北戦争開戦と相まって相当売れたようだ。生産数は77,020丁に達している。ほとんどは5インチ、または6インチモデルであるが、レア物としては4インチモデルがあり、さらに激レアな8インチ、10インチモデルがある。もしも持っていればかなり高値で買い取ってくれるだろう。みんなも自分の引き出しや押入の奥を探してみよう。
生産自体は1871年まで続くものの、南北戦争が終わると需要は減少、より大口径の銃が求められるようになる。そのニーズに応えたのが1869年に発売したNo3である。例によって無味乾燥な名前だが、口径は何と44口径と一挙に大口径化している。22口径のNo1は1882年まで製造されていることを考えるとどうも32口径というのは中途半端であったようだ。因みに「ニッポンの夜明けは近いぜよ」で有名な我らが坂本龍馬、寺田屋事件(寺田屋遭難ともいうらしい)で襲撃された際、高杉晋作からプレゼントされたNo2を使用して窮地を脱したらしい。
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