(画像はwikipediaより転載)
要約
S&WM57はS&W社が1964年に発売したDAリボルバーである。口径は41口径で41口径マグナム弾を発射する。法執行機関向けに開発した銃であったが41口径マグナムは威力が強すぎたため営業的には失敗した。しかし民間では人気があり2024年8月現在でも販売されている。
S&WM57
性能(6インチモデル)
全長 292mm
重量 1,350g
口径 41口径
使用弾薬 41口径スペシャル、41口径マグナム弾
装弾数 6発
完成 1964年
設計・開発 S&W社
開発・そして完成!
S&W M57とはS&W社が1964年4月に発売した41口径マグナムカートリッジを使用するダブルアクションリボルバーである。装弾数は6発でフレームはM29と同じNフレームを使用した。このフレームは1935年S&W社が357マグナム(のちのM27)を設計した際に新規に製作された大口径弾の発射にも耐えられる頑丈なフレームであった。使用する41口径マグナム弾は正式には41口径レミントンマグナムで357マグナム弾と44マグナム弾の中間の威力を目指して開発されたものであった。
主なセールス先は警察官等の法執行機関であったため、カートリッジ名も最初は「41口径ポリス」という名称すら提案されたほどであった。しかしS&W社はそれ以前の「マグナム」という名前の破壊力を重視。新しい41口径弾の名称も「41口径マグナム」となった。当初ラインナップされていたのは強力な破壊力を発揮するメタルジャケットで覆われたソフトポイント弾と法執行機関での使用を目的としたセミワッドカッター弾である。
思いっきり滑った!
S&W社は最初の目的通りに警察や法執行機関に営業をかけるが、反応は鈍くいくつかの都市の警察に採用された程度であった。理由は、そもそも警察官は41口径という高威力の銃は必要としておらず、ほとんどの場合、今までの38口径スペシャルで不満はなかったからだ。仮に高威力を求めるのであれば357マグナムで十分であり、41口径マグナムという高威力のカートリッジを採用する必然性はなかった。実用性以外にも当時(恐らく現在でも)、警察の暴力行為に対する世間の目は厳しく、警察が大口径カートリッジを使用するのを躊躇わせる理由ともなった。
そしてさらに41口径マグナムが不運であったのは、M57の発売から7年後の1971年に上映された『ダーティハリー』の大ヒットである。 これにより44マグナムを発射することができるM29が大人気となり、同時に41口径マグナムという「微妙な」立ち位置のM57の人気はさらに落ちていった。要するに徹頭徹尾陽の目を見なかった銃がM57なのである。
M57の特徴
しかし、銃自体の性能が悪い訳ではない。安定した大型のフレームに41口径マグナムという組み合わせは撃ちやすく民間のシューターには比較的評判が良かった。フロントサイトは赤のインサート入りでリアサイトは調整可能なフルアジャスタブル。銃身長は3インチ、4インチ、6インチ、8.375インチモデルが存在している。ターゲットハンマー、ターゲットトリガー、ターゲットグリップを装備しており、外観上はM29に酷似している。現在までに5回の小さな改良が行われており、オリジナルのM57から最新のM57-5まで6種類が存在する。さらに発売当初からニッケルメッキモデルも発売されており、こちらもブルーモデルと同様のバリエーションが存在するが、1986年にステンレスモデルの発売と同時に生産終了となった。1991年に生産が終了したのち、2008年に再生産。現在でも販売されているのはこのM57スチールモデルのみで価格は1,189ドルである(2024年8月現在。2022/9時点1,078ドル)。
廉価版のM58
1964年7月10日、S&WはM57をさらに警察向けに改良したM58を発表。これはM57の廉価版で外観はM10ミリタリー&ポリスを彷彿とさせる。ヘビーバレルでエジェクターロッドは露出しており、リアサイトは固定式となった。グリップはサービスグリップと呼ばれる小型の細いグリップを採用した。このM58はサンフランシスコやサンアントニオ警察で採用されたものの生産自体は約20,000丁を製造、1977年に生産は終了した。個体数が少ないためにコレクターの間では注目されている逸品である。2008年にブルーモデル、ニッケルフィニッシュモデルが再販された。因みにブルーモデルとは青く塗装したモデルということではなく、ブルー液という酸化剤で金属の表面を処理したものだ。要するにフツーの黒い銃である。現在では販売されていない。
ステンレス製のM657
さらに1986年にはステンレスモデルのM657を発売、これはM57のステンレスモデルである。バリエーションは多く、3インチ、6インチ、7.5インチ、8.375インチの4種類の銃身長のモデルに加え、アンダーラグモデルも存在する。アンダーラグモデルとは銃身の下におもりが装着されているモデルでこれにより反動を抑制するのと同時に銃のバランスの調整にも役に立っている。コルトパイソンやM686等で採用されている形式で横から観ると銃身が二つ上下に並んでいるように見える。さらにサイトもフルアジャスタブル(調整可能な)フロントサイトを装備しているモデルや固定サイトのモデル、シリンダーも溝が彫ってあるフルーテッドシリンダーモデルとノンフルーテッドシリンダーモデルが存在する。M57と同様、生産中止されたが2008年より再生産を開始しているが、現在は生産はされていない。
トイガンと「ワンオブサウザンド」
管見の限りトイガンではモデルアップされたことはない。相当なガンファンでも外観上はM29と酷似しているため区別がつかない上にマイナーな41口径マグナム銃をトイガンでは敢えてモデルアップする必要がないのだろう。因みに『シティーハンター』に「ワンオブサウザンド」として登場する。これは機械工作の偶然から数千丁に1丁の割合で奇跡的に命中精度の高い個体が存在するというもので、シティーハンターではそれがM57(M58?)であったという設定である。機械工作の偶然であれば全種類の銃にそのようなモデルが存在するハズなので、M57(M58)のみにそのようなモデルが存在する訳ではない(多分ね)。あくまでもフィクションの話である。
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