01_m1006
(画像はwikipediaより転載)

 

S&W M1006

 

 

性能

全長  -
重量 1,190g
口径 10mm
使用弾薬 10mm Auto弾
装弾数 9発
完成 1990年
設計・開発 S&W社

 

9mm弾とは

 自動拳銃、特に法執行機関や軍隊、護身用に使用するカートリッジといえば9mmパラベラム弾(ルガー弾ともいう)、または45ACP弾が定番である。どちらも対人用としては十分な威力があり、100年以上にわたって様々な拳銃に採用されてきたタイムプルーフされたカートリッジである。この両弾薬の特徴について簡単に書いてみたい。

 9mmパラベラム弾が開発されたのが1901年、ボトルネックの7.65mm×21弾のボトルネック部分を排除したものであった。ボトルネックとはカートリッジの直径と弾丸の直径が大きく異なるため、カートリッジの直径が途中から縮小されている瓶ビールの瓶のような形状をしたカートリッジのことで、大量の火薬で小口径の弾丸を発射するために高速で遠距離での命中精度も高いことからライフルで多く採用されている形状のカートリッジである。

 1901年に開発者ゲオルグ・ルガーはそのネック部分を切断、直径9mmのカートリッジに同径の弾丸を入れた9mm弾を開発した。その後1910年に再設計、現在の形状になる。このカートリッジが9mmパラベラム弾、または開発者の名前をとって9mmルガー弾と呼ばれる。因みに「パラベラム」とはラテン語の「si vis pacem,para bellum(平和を望むなら戦争に備えよ)」から取った言葉である。

 

45ACP弾とは

 これに対して45ACP弾はコルト社が1872年に開発した45口径ロングコルト弾のカートリッジを短縮、リムレス化したもので、1904年に完成した。設計者はコルトM1911を開発したジョン・ブローニングでそれまで米陸軍が採用していた38口径ロングコルト弾の威力が不十分であったために設計されたものであった。弾頭重量は11〜15g程度で、9mmパラベラム弾の7〜9gに比べておよそ1.5倍程度の重量がある。

 

甲乙つけがたし

 両者を比較すると平均的な9mm弾である116gr(7.5g)のもので360m/s、エネルギーが483ジュール、これに対して45ACP弾は230gr(15g)で初速が270m/sと遅いもののエネルギーは561ジュールと高い。要するに9mm弾に比べて45ACP弾は威力が強いのだ。「それでは45ACP弾の方がいいじゃないか」と思うかもしれないがそうでもない。

 9mm弾の直径は9mm、これに対して45ACP弾の直径は11.43mm、威力も強力であればカートリッジもデカいのだ。デカいカートリッジというのは装弾数にも限界がある。9mm弾が二列に装弾するマガジンであるダブルカラムマガジンを使用した場合、装弾数15〜17発程度になるのに対して45ACP弾は10発程度が限界である。それもダブルカラムマガジンにした場合、グリップが尋常でない程分厚くなってしまうというオマケ付きだ。持ちやすいシングルカラムだと7〜8発程度しか装填できない。そうなるとどちらも一長一短ということになるので結局、どちらのカートリッジも存続し続けているのだ。

 

そして10mm弾の登場

 1983年、この二つのカートリッジの良いとこ取りを使用とした人がいた。9mmと11.43mmの間、10mm口径のカートリッジを開発したのだ。これが10mm弾であった。1983年のD&D社製ブレンテンが発売されたが、これが世界初の10mm弾を使用するハンドガンであった。この全世界の期待を一身に背負った10mm弾は中庸でイイ感じにアレするのかと思ったらそんなことは全く無く、175gr(11g)カートリッジで初速が390m/s、エネルギーが880ジュールととんでもない強力なカートリッジになってしまった。防弾チョッキを撃ち抜いたこともあったようで、「コップキラー」という悪名まで付いてしまった。

 威力が強い分、反動も強く、おまけに値段も高い。このため10mm弾は今ひとつマイナーな存在であった。それでも357マグナム並みの威力を持つ自動拳銃のカートリッジということで、以後、各社から10mm弾仕様の銃が発売されることとなった。

 

S&W M1006

 1987年にはコルト社が10mm弾仕様のM1911であるデルタエリートを発表、その後スプリングフィールド・アーモリーからもオメガなるM1911ベースの10mm弾仕様ピストルが発売された。そして1990年には、S&Wも一応出しておこうかと思って(理由は私の想像)発売したのがM1006である。

 S&W社は味気ない会社で銃の名前はほとんどが番号である。そもそも最初に発売した銃の名称なんて「No1」だ。もちろん次の銃は「No2」である。その後、1957年には基本的に2ケタのナンバー制が導入、さらに1980年頃に3ケタ、1988年には4ケタのナンバーに変更されている。我らオタクはこれを第一世代、第二世代、第三世代なぞと呼んでいるが、この第三世代に位置するのがM1006だ。

 一応、番号に法則があるのだが、あまりにも複雑で面倒なので細部は割愛、4ケタの内、上2ケタは銃の口径を表す。そして下1ケタは銃の材質を表すのだ。M1006に当てはめてみると、上2ケタが10mmの「10」、下1ケタがステンレスを表す「6」となっている。因みにスチール製は「4」、アルミ製は「3」だったりもするが、まあ、そこらへんは割愛しよう。

 10mm弾ピストルを製造する際、コルトやSFAがM1911をベースとしたのに対して、M1006がベースとしたのはM39(たぶんM39をベースに45口径にしたM4506)である。強力な10mm弾を発射するためにそれまでのS&W社の自動拳銃の中で最も頑丈に設計されている。装弾数は9発で銃身長は5インチ、1992年にはフレームが再設計、トリガーガードの形状などが変更された。しかしあまり人気がなかったのか1995年には生産終了している。総生産数は26,978挺であった。

 余談だが、同年、10mm弾を使用するリボルバーであるS&WM610が発売されている。1990年前後は10mm弾が流行っていたのだ。威力は強力であるため一定の需要はあったのだが、そもそも10mm弾の開発は装弾数と威力の問題であったハズ。ふとそれに気が付いたS&W社は1990年に10mm弾のカートリッジ長を4mm短縮して威力を減少させた40S&W弾を開発、こちらは割と人気があるカートリッジとなった。135grで初速360m/s、エネルギーが575ジュールといい感じにアレしたカートリッジとなった。

 

バリエーション

 M1026は5インチバレルでトリガー後方、マガジンキャッチ上部のフレームにデコッキングレバーを装備したモデルでダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)仕様、M1046は5インチバレルでダブルアクションオンリー(DAO)仕様、M1066は4.25インチバレル、DA/SA仕様、M1076はFBI仕様のモデルで4.25インチバレルにM1026同様のフレームにデコッキングレバーを装備したモデルでDA/SA仕様、M1086は4.25インチバレルでDAOである。

 M1076は1986年にマイアミ銃撃戦で捜査官の火力の不足が問題となりS&Wに注文されたモデルである。しかし反動が強すぎることが問題となり10,000挺発注された内、2,500挺が納入されたのみで残りはキャンセルされ、10mm弾の威力を弱めた40S&W弾を使用するグロックに変更されている。この時、同時にトンプソン短機関銃を10mm弾仕様に改修しており、さらにH&K社製短機関銃MP5/10という10mm弾仕様のSMGも採用している。

 結局、M1076同様、10mm弾は反動が強すぎるためMP5も40S&W弾仕様のMP5/40に変更された。

 

日本のトイガン

 こんな激マイナーな銃を日本のトイガンメーカーが出している訳ないだろ!金型を作るのだって何千万円もかかるんだ。そもそもM1006ってなんだよ。この記事で初めて知ったわ!と心の中で思っているアナタ。実はM1006のガスガンは発売されているのだ。まさかと思うかもしれないが、1991年にタナカワークスから発売されている。それもガスブローバック仕様だ。

 まぁガスブロといっても「当時の」ガスブロだ。現在のような精密な仕様ではない。しかし何といっても製作したのはタナカワークスである。そうあのタナカワークスなのだ。タナカ製のトイガンは太古の昔から完成度は非常に高い。確かシルバーモデルとブラックモデルがあったような気がするがトイガンは確かに存在する。

 実は管理人のアタクシ。1970年代生まれの身としてはこの1991年に発売されたトイガンというのは非常に懐かしいのだ。ちょうど高校生の頃であったなぁ(遠い目)。そう、必死で貯めた17,000円を握りしめて模型屋でMGCのM745を買ったのだった(M1006ではない)。

 余計な話はともかくバブルの余韻がまだ残っていた時代なのでメーカーもいろいろな奇抜なモデルに挑戦できたのかもしれない。この時代のガスガンは非常に品質が良い。S&WのオートでもMGCのM645、マルゼンのM4506などは現在でも通用するくらいのかなりの高品質であった。外観の完成度の高さもモデルガン並だ。私は売っていたら即買いするさ。あーするさ。金ないけどな!

 

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