01_支那大地図
(画像はwikipediaより転載)

 

要約

 「支那」とは、中国大陸初の統一帝国秦に由来する名称で秦の音「Thin Chin」の当て字である。仏典を中国語に翻訳した際に生まれた言葉で日本にも伝わった。日本では当初は侮蔑的な意味はなかったが、近代になると徐々に軽蔑的なニュアンスを含むようになったため、中国での反発が強くなり現在ではあまり使用されていない。

 

「中国」と「支那」

 

02_支那大地図
(画像はwikipediaより転載)

 

「支那」とは。。。

 「支那」の名称の由来は、中国初の統一王朝秦の音「Thin Chin」であると言われている。始皇帝の統一王朝以降、中国大陸では多くの王朝が生まれては消えてきたが、これらの王朝を超越した地域を指す名称として存続していると考えられている。このため英語では「China」、日本では平安時代以来、永く「シナ」と呼ばれてきた。漢字で「支那」と表記するのは仏典内で中国を指す「チーナ」を漢訳した際に「支那」という字を充てたためで、当初は名称の由来にも漢字にも侮蔑の意味はなかった。むしろ学術的には明治以降は「漢文学」等の王朝名を指す語に対して正確を期して「支那文学」と変えたほどである。

 しかし近代に入ると日本では徐々に「支那」という語にたいして軽蔑的なニュアンスが含まれるようになっていき、これに対するように中国側も反発を強めていった。1911年、辛亥革命が起こり中華民国の成立が宣言されると、中華民国政府は「支那」ではなく、正式な国名である「中華民国」と呼称するように大日本帝国に求めた。日本政府も戦後は中華民国からの要請を受け、正式に「支那」から「中華民国」と呼称を変更、メディアも自主的に「中国」と呼称するようになり、現在ではあまり使用されていない。

 

 

「中国」という呼称

 

03_台湾
(画像はwikipediaより転載)

 

 「支那」とは別に「中国」という言葉に自国中心的な価値観があるという問題が指摘されるが、中国という「国号」を受け入れるのと「世界の中心の国」という価値観を受け入れるのは別の話である。国号というのは外国から一方的に命名されたり、その国の理念や理想を想って付けらたりと様々であるので、その国名を受け入れることがその背後の思想まで受け入れることとはならない。

 これとは別に、中国という国は19世紀以前には存在しなかったため、それ以前の歴史で「中国」という表記をするのはおかしいとする考えもある。この考えは間違ってはいないが、それは近代国家成立以前から存在したどこの国に関しても同じことがいえる。歴史の流れの中の「国」の範囲は時間的にも空間的にも明確に設定できるものではなく、さらには固有名詞も永遠に続くものではないためこの問題に対して明確な回答を出すことは誰にもできない。前近代の中国大陸の人を「中国人」と呼べないのであれば、一般に8世紀初頭と言われる日本国号成立以前の日本人も「日本人」ということはできない。概念でしかない時間・空間を命名するのには「中国」「日本」等と呼称する他ない。

 

まとめ

 

 「支那」と「China」の語源は一緒である。故に中国のことを「シナ」「チャイナ」と呼ぶのは批判されることではない。ただ個人的な感想を書けば、中国のことを敢えて「シナ」「チャイナ」と呼ぶ人達に中国に対する悪意を感じてしまう。ワイは子供の頃から中国と呼んできたのでこれからも普通に中国と呼ぶ。どうでもいいのでな。

 

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