(画像はwikipediaより転載)
要約
SIG P220とは、スイスのSIG社が1974年に開発したダブルアクションオートマチックハンドガンである。前作P210は高性能のピストルであったが削り出し工法で製造単価が高い上に重量が重くSA(シングルアクション)であることが弱点であった。これに対してP220はフレームをアルミ合金としプレス加工を採用、DA(ダブルアクション)機構を搭載している。それまでのP210に比べて約20%程度の重量軽減となった。品質は高く現在でも多くの法執行機関、ユーザーに愛用されている銃である。
SIG P220(実銃)
性能
全長 198mm
重量 810g
口径 9mm
使用弾薬 9mmパラベラム弾
装弾数 9発
完成 1974年
設計・開発 SIG社
開発
(画像はwikipediaより転載)
SIG社のP210に代わる新型拳銃への模索は1950年代から始まっていた。P210はスイスの精密機械技術の粋を集めた傑作ハンドガンといって良い銃であったが、削り出しで製造コストが高く、フルロードすると1kg前後になる重量やシングルアクションであることが弱点であった。このためSIG社は、P210の弱点を修正したダブルアクション機構を持つオートマチックハンドガンの開発が求められていた。
これに対してSIG社は1958年には第一次試作を完成させる。これはP210のスライドをプレス加工とした程度の改良、1966年の第二次試作では加えて軽金属フレームを採用したが、これらは未だP210の改良型といっていいものであった。試作は以降も続けられ、徐々にP210のスタイルから脱却、角ばった外観を持つダブルアクションオートに変貌していき、1974年、P220が完成する。SIG社はついにP210の弱点を克服したダブルアクションオートの開発に成功したのであった。その後、スイス軍の次期制式採用トライアルに合格、1975年にはP75として制式採用された。
P220は、スライドはプレス加工、フレームはアルミ合金製でダブルアクション機構を搭載していた。サムセイフティが廃止された代わりにフレーム左側面、トリガー後方にデコッキングレバーを搭載、これによって薬室にカートリッジが装填されている状態でもダブルアクション状態に復帰させることができるようになった。口径は9mmで他にも45口径、38口径(38スーパー弾)、7.65mm等のバリエーションがある。現在は主にアメリカ人の大好きな45口径モデルを中心に販売されている。全モデル弾倉はシングルカラムである。
米国での販売は、SIG社の販売網が米国で確立していなかったため、1977年から45口径モデルがブローニング社によって輸入されBDA(ブローニング・ダブルアクション)として販売されたが、折しも米国ではアルミフレーム不信が広がっており、スチール製スライドにアルミフレームを持ち、米国では馴染みの薄いヨーロピアンスタイルのマガジンキャッチを持つ珍妙な形状のP220は米国の市場では全くウケず1980年には販売を終了した。
1982年には、世界の趨勢はダブルカラムマガジンになりつつある中、何故か日本の自衛隊が9mmモデルを制式採用するという珍事が発生、直接輸入すれば安いものの新中央工業によってライセンス生産されることとなった。このP220は9mm拳銃という名称で制式採用され、現在でも使用されている。
バリエーション
(画像はwikipediaより転載)
当初はグリップ下部に位置していたマガジンキャッチは、現在ではトリガー後方に位置するタイプがメインで、口径も10mmが追加された他、ダブルアクションのみ、シングルアクションのみのモデルが発売されている。シングルアクションモデルには安全面を考慮してサムセイフティが装備されている。他にも20mmレイルを装備したP220R、3.9インチバレルにフルサイズのフレームのP220キャリー、グリップも短縮したP220コンパクト(装弾数6発)、サプレッサーの装着が可能であり、フラットダークアースで塗装された45口径モデルであるP220タクティカル等、多くのバリエーションが存在する。
SIG P220(トイガン)
概要
モデルガンではMGCが1983年にオリジナルP220をモデルアップ、1988年にはコクサイがエアーコッキング式で翌年には固定ガスモデルとして発売している。他にも1989年にはLSがエアーコッキング式、固定ガスでモデルアップ、1997年にはタナカワークスがガスブローバックで発売しているが、P226の蔭に隠れて今ひとつ目立たない存在であるといえる。近年ではタナカワークスがモデルガンとしてP220をモデルガンとしてバリエーション展開している。
タナカワークス SIG P220 ガスガン
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性能
全長 208mm
重量 890g
装弾数 20発
初速70m/s前後と平均的。命中精度は高いが個体差がある。エンジンはWA製のマグナブローバックであるがWA製ガスハンドガンと異なり可変ホップを搭載している。モデルガンメーカーのため外観の再現性は高い。本体の素材はABS、HWでオリジナルP220の他に自衛隊バージョン(陸海空)がある。
タナカワークス SIGP220 モデルガン
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性能
全長 195mm
重量 650g
装弾数 9発
モデルガンメーカーのモデルガンでるため外観の完成度の高さは秀逸。現在入手できる唯一のモデルガンであるためP220が欲しいモデルガンファンにとっては一択である。CAWがMGC製P220を製造してくれれば良いのだが。。。それはともかくカートもEVO2となり作動性も向上したが、モデルガンなのでガスブローバック程の作動を期待してはいけない。
まとめ
P220は、『アメリカンスナイパー』の主人公クリスカイルが一時期使用していた銃でもある。米軍では9mm銃がメインであるが、実戦ではやはり45口径の破壊力が威力を発揮するようだ。特に麻薬等を使用していた場合、9mmでは歯が立たないという。削り出しからプレス加工に代わったP220であるが、P210の高品質はしっかり受け継がれており、現在でもP220は、45口径モデルを主力としてセールスを伸ばし続けている。
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