(画像はwikipediaより転載)
要約
セマーリングLM4は45ACP弾を使用するポケットピストルである。装弾数は4発でダブルアクション機構を採用、装填は手動で行う。このため45ACP弾を使用しているにも関わらず全長132mm、重量680とg小型軽量である。複雑な機構が無いため部品点数は33点と少ない。
セマーリングLM4
性能
全長 132mm
重量 680g
口径 45口径
使用弾薬 45ACP弾
装弾数 4発
完成 1979年
設計・開発 フィリップ・R・リヒトマン / セマーリング社
開発経緯
セマーリング(Semmerling)LM4は知る人ぞ知るユニークなポケットピストルである。全長は132mm、重量は680gと小型であるが、45口径、M1911と同じ45ACP弾を発射する。このサイズのピストルで45ACP弾を発射するというのは実は意外と難しい。通常、このサイズの銃はシンプルブローバックで作動させるのであるが、45ACP弾という強力なカートリッジを使用すると、圧力が強すぎてスライドが高速で前後して排莢する前にスライドが閉鎖してしまうため排莢されない、またはエジェクションポートにカートリッジが挟まってしまうのだ。
これを解決するにはスライドの動きを遅らせるためにショートリコイル方式のような機構を採用するか、スライドの質量を増やす以外にはない。そうすると銃は大型化してしまう。秘匿性の高いポケットピストルの口径が25口径や22口径、大きくても380ACP弾程度のカートリッジしか採用しないのはこのような理由があるからだ。
この限界に挑んだのが米国の発明家フィリップ・R・リヒトマンで、彼は通常の自動拳銃と同じ様な機構を採用しながらスライドの装填、排莢を手動で行うということを思い付いた。手動であれば大掛かりな機構もスライドを重くする必要もない訳だ。
独特の作動方式
一見、コルトコルト25ベストポケットやジュニアのような外観をしているLM4であるが発射の操作は全く違う。まず、グリップ内部にマガジンがあり、4発の45ACP弾を装填する。マガジンは残弾確認ポートが付いておりマガジンを取り出すと容易に残弾を確認することが出来る。
このマガジンをグリップ内に装填、マガジン下部のリーフスプリングによって本体に固定される。マガジンが装填されると射手はスライドを前進させる。このスライドはバレルと一体になっており、前進させて元の状態に戻る際に次弾が薬室に送り込まれるという構造である。
トリガーはダブルアクション(DA)で引き金を引くことでストライカーが後退、引き切るとロックが外れ撃針がカートリッジの雷管を叩いて発射する。撃ち終わってもスライドはそのままなので射手はスライドを指で前進させる。そうすると右側に付いているエキストラクターで空薬莢が排莢され、スライドを戻す際に次弾が薬室に装填されるという作業の繰り返しで連射する。
慣れれば自動拳銃なみのスピードで射撃することも出来そうだが、小型の銃で操作を間違えると指が吹き飛ぶのではないかと見ていてハラハラする。この銃、シンプルな構造のため部品点数はわずか33点に過ぎない。ネジも入れての部品点数であるので相当に少ない部品で構成されている。素材はスチール製である。
生産開始
1974年に最初の特許を取得、このモデルは露出式ハンマーであったが、1979年に上記の作動方式で再び特許を取得して、開発者フィリップ・R・リヒトマンは友人と共にセマーリングコーポレーションを設立、同年より生産を開始した。
販売価格は645ドル、受注生産で手作りで製造された。このため月産10丁程度しか製造できず、1990年代に生産が終了するまでに製造されたのは600丁であった。1990年代に入るとセマーリング社はアメリカンデリンジャー社に製造権を譲渡、1993年からは同社によって製造販売されている。現在でも販売はされているが価格は不明である。
外観は一見自動拳銃のようでフロントサイトは三角形をしている。スライド後部にはリアサイトがあり、グリップにはグリップパネルが付いている。このグリップパネルは取り外して使用することもできるようになっており、その際には右側面に専用のプレートを装着する。これによりさらに銃の幅が薄くなり秘匿性が高くなる。
マガジンキャッチはグリップ下部にあり、マガジンを両側から押すことによってスプリングが解除されてマガジンを外すことができる。因みに同様のコンセプトで製造された銃にFP-45リベレーターというモデルがある。
これは大戦中にレジスタンス等に支給するために製造された銃で口径も同じ45ACP弾でグリップ内にカートリッジを入れることはできるがこれはマガジンではなくただ収納しただけである。発射はLM4同様単発であるが45ACP弾の反動をプレス加工で作られたグリップで受け止めるので射手は相当痛い思いをしなければならない。YouTube動画で恰幅の良いおじさんが本気で痛がっているものもある。因みにオタク的にはこういうギミックの多い銃には惹かれる。
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