01_九七式軽爆
(画像はwikipediaより転載)

 

 九七式軽爆撃機とは、連合軍のコードネーム「アン」。三菱重工製の軽爆撃機であった。日本陸軍では数少ない単発軽爆撃機で1938年に制式採用され、日中戦争、太平洋戦争の初期まで使用された。固定脚で信頼性も高かったが、旧式化に伴い前線から消えていった。

 

九七式軽爆撃機 〜概要〜

 

 

性能

全幅 14.55m
全長 10.34m
全高 3.66m
自重 2,230kg
最大速度 423km/h(高度4,000m)
上昇力 5,000mまで10分36秒
上昇限度 8,600m
エンジン出力 850馬力
航続距離 1,700km(増槽装備時)
乗員 2名
武装 7.7mm機銃1挺、7.7mm旋回機銃1挺
爆弾搭載量 300kg(正規)
      400kg(最大)
初飛行 1937年2月28日
総生産数 816機
設計・開発 河野文彦 / 三菱重工

 

背景から開発まで

 日本陸軍は、戦闘機、偵察機に比べて爆撃機に注目するのが遅かったと言われる。その陸軍爆撃隊には軽爆撃機という区分があった。軽爆撃機というのは陸軍を支援する小型爆撃機のことでそれ以外の爆撃機を重爆撃機、超重爆撃機といった。

 1932年頃、日本陸軍では、軽爆撃機は双発、単発のいずれが良いかという論争が行われていた。単発派は軽量であることを重視、さらには双発機は単発機の1.5倍のコストがかかることから数が維持できないという理由であった。これに対して双発派は、爆弾搭載量、視界や防御力の点から双発が適当としていた。結局、この論争は双単併用という日本的な解決方法で解決した。この結果、日本では単発の軽爆撃機と双発の軽爆撃機という2種類が存在することとなった。

 

開発

 1935年、陸軍は中島飛行機、三菱重工に新重爆の開発を内示、1936年2月に試作を指示した。同時に石川島、三菱、中島、川崎航空機の4社に当時制式採用されていた九三式単軽爆の後継機の開発が内示された。1936年5月5日、三菱キ30、川崎キ32として新軽爆の試作が指示された。

 三菱にはキ30という名称で試作が指示されたが、これに対して三菱は河野文彦技師を設計主務者として開発を開始、1937年2月には試作1号機が完成した。初飛行は2月28日で5月から審査が開始された。そして16機の増加試作機の製作が決定、1938年6月に九七式単軽爆撃機として制式採用された。

 生産は制式採用に先立つ1938年3月から開始されており、1940年まで生産が続けられた。エンジンはハ5(850馬力)で、プロペラは3,175m3翅プロペラが装着された。脚は固定式で、主翼は低翼に近い中翼式、胴体内に爆弾倉が設けられた。性能は最大速度423km/h(高度4,000m)、上昇時間は高度5,000mまで10分36秒、実用上昇限度は8,570m、航続距離1,700km、武装は、翼内に7.7mm機銃1挺、後席に7.7mm旋回機銃1挺、爆弾搭載量は正規で300kg、最大400kgであった。

 本機は、やや鈍重ではあったが、急降下爆撃も可能であったものの胴体内爆弾倉の影響で操縦員と後席乗員の連絡が難しいという欠点があった。

 

生産数

 三菱重工で636機、陸軍航空工廠で180機以上、合計816機(686機とも)が生産された。

 

戦歴

 1938年1月には、飛行第9大隊(のちの飛行第90戦隊)が九七式軽爆への改変を開始、改変は4月頃で終わる予定であったが実際には8月頃までかかったと言われている。4月の徐州会戦に参加したのが初の実戦投入であったと思われる。続いて5月には飛行第5大隊(のちの飛行第31戦隊)が改変を開始している。1939年5月に勃発したノモンハン事件では九七式軽爆を装備した飛行第10戦隊が参加、その後、飛行第16戦隊、飛行第31戦隊も参加している他、中国戦線では飛行第34戦隊が九七式軽爆を装備していた。

 1941年12月の太平洋戦争開戦時には16戦隊、31戦隊、第21独立飛行隊の独立飛行第82中隊が九七式軽爆を装備している。開戦後は16戦隊が比島攻略に参加、31戦隊はマレー作戦に参加している他、独立82中隊が中国戦線で活躍したものの、1942年春頃には第一線を退いた。

 

まとめ

 

 九七式軽爆はM103ナゴヤという名称でタイ空軍に24機が供与された機体ではあったが、太平洋戦争初期には旧式化に伴い傑作機九九式双発軽爆撃機にその地位を譲ることとなる。特徴が無いことが特徴ともいわれる目新しさの無い機体ではあったが、扱いやすく搭乗員には評判の良い機体であった。川崎航空機の九八式軽爆と並んで日本陸軍が採用した数少ない単軽爆の一つである。

 

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