(画像はwikipediaより転載)
要約
モーゼルHScとは、モーゼル社の技師アレックス・ザイデルが1938年に開発した中型オートである。ワルサー社のPP、PPKに次いでダブルアクション機構を搭載、ホルスターへの出し入れをスムーズにするための特徴的な三角形のトリガーガードや小型のハンマー等、独自の工夫を凝らした銃である。1940年から1945年まで生産され、戦後も再び生産されており、総生産数は33万4000挺に達する。
モーゼルHSc(実銃)
性能(7.65mm仕様)
全長 160mm
重量 596g
口径 32口径
使用弾薬 32ACP(7.65×17)弾
装弾数 8+1発
完成 1938年
設計・開発 アレックス・ザイデル / マウザー社
背景から開発まで
1930年代のドイツでは中型オートが多く発売され人気を博していた。特にワルサー社が1929年に発売したワルサーPP、PPKはオートでは初のダブルアクション機構を搭載して商業的に成功を収めていた。このワルサー社の中型オートに刺激されたモーゼル社は本格的に中型ダブルアクションオートの開発に取り組むことになる。
開発
数年間の試行錯誤の末、モーゼル社はハーン・ゼルトスパン(「Hahn Selbstspanner」ダブルアクション式撃鉄)と名付けた新製品の試作「a」を開発、軍に試用品として使ってもらい改良を重ねた。その結果、試作「b」が完成、1938年(1937年とも)には、さらに改良された「c」が完成した。これはハーン・ゼルトスパンの3代目ということで頭文字を取り「HSc」と呼ばれた。生産は1940年から始まり1945年までモーゼル社で生産された。1940〜1945年までの総生産数は25万2000挺。
第二次世界大戦後、モーゼル社の工場があるオベルンドルフ・アム・ネッカーが米軍に占領され、のちにフランスに委任されたことにより1945年から1946年までフランス軍用にHScが生産されている。モーゼル社は解体されてしまったが、1968年にモーゼル社の従業員が中心になって設立したH&K社の一部門が分離独立して再びモーゼル社を設立した。HScも1968年より再生産され、1977年まで生産が行われた。総生産数は約33万4000挺である。
HScは、ダブルアクション機構に露出したハンマーが特徴で、生産性を考慮して直線を基準にしたデザインを採用している。特徴的な三角形のトリガーガードはホルスターへの挿入を容易にするためで引っかからないように工夫された小型のハンマー等、各所に工夫を凝らしている。発射方式はストレートブローバックで口径は基本は32ACPであるが、380ACPモデル、22口径モデルも生産されている。
モーゼルHSc(トイガン)
概要
モデルガンでは、1967年に国際ガンクラブ(のちのコクサイ)から発売されたタニオアクションモデル、1968年にはMGCがタニオアクション式のスタンダードモデルとリアル機構のデラックスモデルを発売している。さらに2016年6月にはHWSからダミーカート仕様のモーゼルHScを発売している。ガスガンでは1988年にマルシンがレプリカブランドで固定スライドガスガンのHScを発売、1991年にはサテンフィニッシュモデルを追加している。
ダミーカートリッジ式 HWモデルガン モーゼルHSc
性能
全長 160mm
重量 410g
装弾数 8発
HWS製のHScが今まで発売されたHSCの中では最高の出来であることは間違いない。ダミーカートモデルなので発火を楽しむことは出来ないが再現性は非常に高い。HW素材を使用しているためブルーイングも可能である。
まとめ
モーゼルHScはワルサーPP、PPKの影に隠れて今ひとつ知名度の低い中型オートであるが、銃器の名門モーゼル社の傑作オートである。初期のモデルは丹念にポリッシュされた上に美しい木目のグリップが装着されていた。ストレートブローバックなので反動はシャープであるが、戦後はフランス軍でも使用された名銃である。
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