モーゼルC96
(画像はwikipediaより転載)

 

要約

 マウザーC96とは1896年にドイツマウザー社が開発したショートリコイル機構、ダブルカラムマガジンを採用した大型拳銃である。口径は7.63mmで装弾数は10、20発、独特の形状からステータスシンボルとして所有する軍人が多かった銃である。トリガー前方にマガジンがあり、フロントヘビーであったため命中精度は比較的高く、さらに専用のストックを使用することでカービンとして使用することもできた。これをフルオート、脱着式マガジンに改良したのがM712である。なお、本記事では日本独特の読み方である「モーゼル」ではなく「マウザー」表記で統一する。

 

モーゼルC96(実銃)

 

 

性能

全長 308mm
重量 1,100g
口径 7.63mm
使用弾薬 7.63x25mmマウザー弾
装弾数 10発、20発
完成 1896年
設計・開発 フィデル・フェーデルレ / マウザー社

 

開発

02_マウザーC96
(画像はwikipediaより転載)

 

 1893年、マウザー社の従業員であったフィデル・フェーデルレは大型拳銃の設計を開始した。当初、モーゼル社は大型拳銃の開発には難色を示していたが、結局は「マウザー」の名称を冠することを決定、公式に開発が進められた。1895年にはほぼ完成、1896年には生産が開始された。

 発射機構は一般的なショートリコイルでカートリッジから弾丸が発射されると銃身も含めた上部が後退、一瞬遅れてボルトが後退するようになっていた。装弾数は10発でトリガー前方の弾倉に装填する。初期のタイプは脱着式マガジンを装備していないためホールドオープンした状態で上部からクリップに装填されたカートリッジを押し込む。弾倉内はダブルカラムマガジンとなっている。

 1930年にセイフティが改良され安全性が向上している。ネジはグリップを留めるネジ1本しか使用していないためフィールドストリッピングは付属のクリーニングロッドのみで可能である。スライド式のオートマチックではないが、トリガー前方にある弾倉がアンダーラグの役割を果たすため比較的命中精度が高い。さらにグリップ後部に専用のストックを装着することにより命中精度を高めることが可能であり、カービンとしても使用された。

 個性的な形状で信頼性が高く高価であったことからステータスシンボルとして20世紀初頭には非常に人気があり、のちにイギリス首相になるチャーチル、アラビアのロレンス等の著名人を始め、大量に輸出された中国でも将軍達が愛用していたと言われている。生産は1896年から始まり、1937年に終了しており、その間に110万丁以上が生産された。

 

 

バリエーション

03_マウザーC96
(画像はwikipediaより転載)

 

 多くのバリエーションが存在する。有名なバリエーションとしては9mmパラベラム弾仕様に変更したレッド9がある。これはドイツ軍が制式採用している9mmパラベラム弾を使用できるように改良したもので7.65mm弾を誤って装填しないようにグリップに赤く「9」の文字が彫り込まれていた。中国では1928年に45ACP弾仕様のモデルも開発されており、これは山西17式と呼ばれる。

 1921年には、銃身長を3.9インチに変更してグリップを太くしたものがロシア向けにも出荷されており、これはボルシェビキマウザー(「ボルシェビキ」とはレーニンが率いたソビエト連邦共産党の前身組織)を省略して「ボロマウザー」と呼ばれている。これは1930年に生産が終了している。

 M713(M1931)はC96をフルオート射撃可能にしたモデルで初めて脱着式弾倉が採用された。このM713を改良して信頼性を高めたのが有名なM712である。これは10連または20連の脱着式マガジンを装備しており、専用のストックを装着してカービン銃として使用することもできるが、反動を抑制する装置が何もないため反動を制御することが非常に難しい。さらにM712をセミオートのみとしたM714、C96の側面の凹凸を無くして磨き上げたモデル、弾倉を小型化した6連発モデル等、数多くのバリエーションが存在する。

 

モーゼルC96(トイガン)

 

概要

 モデルガンでは1963年に国際ガンクラブ(のちのコクサイ)から発売された。さらに1968年にはホンリュウ(のちのハドソン)からモーゼルミリタリーが発売されている。1970年にはMGCがモーゼルC96(レッド9)、翌年には長銃身モデルも発売している。1971年にはハドソンがM1930を発売したが、これはMGCのコピーである。1982年にはマルイがモデルガン組み立てキットでM712を発売、1983年にはマルシン工業がABS製で完成品、キットの両方を発売した。

 1984年にはブローバックモデルを発売している。1985年にはマツシロがカート式エアガンでマウザーをモデルアップ、1989年にはフジミ模型がセミフル切替式ブローバックガスガンでM712を発売している。1993年にはマルシン工業が金属製モーゼルM712を発売、1996年にはフランクリンミント社がM1932を発売している。2001年頃にはマルシン工業が固定スライドガスガン、2006年には8mmBB弾仕様でガスブローバック、2011年には6mm仕様で発売されている他、海外メーカーでもWEがモデルアップしている。

 

マルシン モーゼルM712 モデルガン

性能

全長 296mm
重量 1,140g(ABSは720g)
装弾数 10,20発

 金属製とABS製の2タイプで発売されている。マウザーミリタリーのモデルガンとしては後発にあたる。設計自体は古いが現在入手可能な唯一のモデルガンである。マウザー社公認モデル。

 

マルシン モーゼルM712 ガスガン

性能

全長 296mm
重量 1,310
装弾数 9発(ショート)25発(ロング)

 2011年に発売されたモデル。それまで8mm仕様であったものを6mmに変更したモデル。構造は8mmと変わらない。初速は6mmモデルでは70m/s前後と平均的、命中精度も可もなく不可もなしといったところである。ハンマーのロックが甘いためバースト射撃になってしまうという欠点が指摘されている。他にも生ガスを吹く個体があることやショートマガジンの装弾数が実銃よりも少ないというのも欠点といえる。マウザー社公認モデル。

 

まとめ

 

 マウザーC96はその独特の形状から熱狂的なファンが多い。19世紀後半では未だ脱着式マガジンの信頼性が低かったこともマウザーC96が脱着式マガジンを採用しなかった理由であるが、コルト社がパテントを持っていたからだとも言われている。現在では大型で重量もあり、マズルブレーキなどの反動を緩和する装置もない銃であるため実用性は低いがコレクターを魅了して止まない銃である。

 

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