海軍航空隊の戦闘機搭乗員に詳しい方であれば、加藤清氏といえば旧姓伊藤、丙飛予科練の撃墜23機のエースが一番最初に頭に浮かんでくるであろう。しかし本書の著者はその加藤氏ではなく、同姓同名の加藤清氏である。加藤清氏は、海軍兵学校73期出身。ついに実戦には出ることがなかったようである。この本は、発売当時に目を付けていたが、実戦経験がないということで、当時買わなかった(自分でも何様のつもりなのかと思う(汗))。

 しかし最近になって、思い出しどうしても読みたくなって、アマゾンで検索したところ、古本が1冊あったので、購入した。今となってはかなりのレア本だと思う。だいたいこの手の本は、意外にファンが少ないので、新刊でも少しするとすぐ絶版ということがよくある。この本も新刊当時に一回書店にならんでるのを見ただけで、それ以後、一度もみることはなかった。興味がある人は、とりあえずあるうちに買っておいた方がいい。

 まあ、この本の内容は、海兵出身者のお約束(失礼!)、海軍兵学校時代の思い出から始まって、飛練時代の思い出など等。この手の戦記にはよくある内容であるが、やはり面白いと思ったのが、当時の海軍内での人間関係だろう。どうしても兵は兵。士官は士官、予備学生は予備学生で固まっていたようだ。

 

 

 この本に登場する私が知っている搭乗員は、横山保(5機撃墜のエース)、藤田怡与蔵(撃墜11機のエース)位。士官搭乗員の名前は、よく出てくるが、下士官搭乗員の名前はあまり出てこない。著者の印象には残らなかったようだ。この本で特に私が面白いと思うのは、著者が訓練中の事故で「臨死体験」をしていること。やはり、野原に花が咲いていて、小鳥がさえずっている中で、両親に呼ばれて意識を取り戻したという。

 前に見たテレビだとインド人の臨死体験は、ヒンズー教の神様が出てきたらしい。結局、臨死体験とは単に夢を見ているようなものなのかもしれない。あともう一つ印象に残ったのが、終戦後に紫電の武装解除をするために空輸する際、事故で亡くなられた戦友がいたという。戦争が終わって、生き残ったのに無念だったと思う。

 空戦記を期待して買った人は、失望すると思うが、戦争に参加した人間の心情をよく著していると思う。今ならまだ入手することが出来ると思うので、欲しい方はお早めに。

 

【追記 2019年9月30日】

 

先頃、わたしが所属する町の老人学級で、各人の「一番忘れられないこと」というテーマで、体験発表会を催した。

 

  本書の冒頭は上記の文章から始まる。この冒頭の「老人学級」という言葉にひどく驚いたのを覚えている。当時から戦記物を読みまくっていた私の中では、海軍兵学校73期というのは「若者」という印象しかなかった。しかし、当たり前のことであるが、若者も50年も経てば、たとえ海軍士官であろうが、戦闘機パイロットであろうが歳を取る。決して、フィクションの中の人ではないのだということを実感したのが実は本書で一番強烈な印象であった。

 

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