01_伊吹
(画像はwikipediaより転載)

 

要約

 改鈴谷型重巡洋艦として建造が開始されたものの空母不足により空母への改装が決定した。大型化した航空機に対応するために飛行甲板を延長した結果船体前方に艦橋を設置できなくなったため日本の軽空母では珍しくアイランド型艦橋となった。改装に際して機関の数を半減させたため速力は29ノットに低下している。改装に手間取っている間に大型艦の活躍する場面はなくなり建造が放棄され終戦となった。

 

空母 伊吹

 

性能(計画)

 基準排水量 12,500トン
 全長 205m
 全幅 23m
 飛行甲板 205m×23m
 エレベーター 2基
 機関出力 72,000馬力
 最大速力 29ノット
 航続距離 7,500海里 / 18ノット
 乗員 1,015名
 武装 九八式8cm高角砲連装2基
    25mm3連装機銃16基
    25mm連装機銃12基
    12cm噴進砲4基
 搭載機 常用27機(内10機は露天係留)
 竣工  - 年 - 月 - 日
 同型艦 1隻

 

概要

 航空母艦伊吹は改鈴谷型重巡洋艦を航空母艦へと改装した艦である。改鈴谷型重巡洋艦とは、戦時消耗に対応するために建造が承認された艦で、急速建造のために鈴谷型の設計が利用されたことからその名が付いた。「改」となっていることからも分かるように鈴谷型重巡洋艦と全く一緒ではなく、計画では基準排水量も鈴谷型よりも1,000トン多くなっている。

 1942年4月24日に起工したが、同年6月のミッドウェー海戦で主力空母4隻を一挙に失ったためその不足を補う必要が生じた。このために航空母艦雲龍型の建造を優先、伊吹型重巡洋艦は大和級戦艦3番艦信濃と同様にドックを空けるために速やかに進水させる方針となった。

 1943年4月5日に一応重巡洋艦として進水したが、工事中止は決定していた。この進水した伊吹の利用法については航空母艦としては小さすぎるため、高速給油艦、水上機母艦、高速輸送艦等の案が出されたが、結局、軽空母として建造することが決定した。

 

 

航空母艦に改装

 航空母艦として改装されることとなった伊吹の設計は、大型化した航空機に対応するために飛行甲板を延長、このため船体前方に艦橋を設けることができずに大型空母のようにアイランド型となった。格納庫は1段のみ、エレベーターは2基、艦載機は27機の予定で、改装にあたりボイラーとタービンの数を半減、このため機関出力は72,000馬力、最高速度は29ノットとなった。この省略化により余剰となったタービン等は航空母艦雲龍型2番艦天城、4番艦笠置に転用された。

 1943年11月、呉海軍工廠から佐世保海軍工廠に移し建造を続行したものの途中まで重巡洋艦として建造された伊吹の改装には手間取り、1945年になっても完成はしなかった。この時期になると戦局は悪化、すでに大型艦の活躍する場面はなく建造は放棄され、工事進捗率80%の状態で終戦まで佐世保港内に放置された。

 1946年11月、解体開始、1947年8月1日に解体完了した。

 

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