01_鳳翔
(画像はwikipediaより転載)

 

要約

 1922年に竣工した空母鳳翔は世界で初めて空母として計画されて建造された空母であった。艦載機15機を搭載することができる。当初はアイランド型艦橋であったがのちに飛行甲板前前部に移動している。日中戦争で初の実戦参加、太平洋戦争開戦時にはすでに旧式化しており、ミッドウェー海戦での戦艦部隊の直掩以降練習艦として航空母艦搭乗員の訓練に当たった。戦後は復員船として活躍1947年に解体された。

 

鳳翔

 

性能

 最大排水量 8,480トン
 全長 168.25m
 水線幅 17.98m
 飛行甲板 168.25m×22.7m(1944年改装後 180.8m×22.7m)
 エレベーター 2基
 機関出力 30,000馬力
 最大速力 25ノット
 航続距離 10,000海里/14ノット
 乗員 550名
 武装 14cmcm砲単装4基
    8cm高角砲4基
    13mm連装機銃6基
 搭載機 常用15機、補用4機  竣工 1922年12月27日
 同型艦 1隻

 

開発前史

 20世紀初頭に飛行機が発明されると飛行機はすぐに軍用に使用されるようになった。1910年3月にフランスで水上機が発明されると翌年には水上機母艦が竣工、第一次世界大戦中の1914年9月、日本の水上機母艦若宮が世界で初めて水上機による空襲を決行した。

 その後航空機への期待が高まると世界では陸上機を艦艇から発進させる実験が行われた。1918年には英海軍で貨客船に平甲板を装備した世界初の航空母艦アーガスが竣工、1922年には米海軍も給炭船を改造した空母ラングレーを竣工させた。

 1918年には純粋に航空母艦として計画された世界初の空母ハーミーズが起工する。このような情勢の中で計画されたのが日本海軍の空母鳳翔である。

 

開発

 当初は水上機母艦として計画されたが、のちに前後に甲板を持つ空母、さらに全通甲板空母へと変更される。1920年12月16日より横浜の浅野造船所で起工するが、日本は空母の建造技術がなかったため、イギリスに技術団の派遣を要請、この技術団のアドバイスにより建造された。この時期はまだ日英同盟が存続していたのだ。1921年11月13日に進水、1922年12月27日に竣工した。空母として計画され建造された世界初の空母である。

 完成した鳳翔は排水量9,494トン、全長168m、全幅18.9m、機関出力30,000馬力、最高速度は25ノットを発揮する。飛行甲板は全長168m、幅22.7mで艦上戦闘機6機、艦上攻撃機9機、補用機6機を搭載することができる。アイランド型艦橋を採用していた。

 1923年に発着艦を含む公試が行われたが、その結果、甲板上にあるアイランド型艦橋が航空機の発着艦の邪魔になることが判明、1924年に艦橋を飛行甲板前端部に移した。さらに当初縦索式であった着艦制動装置も横索式へと変更している。

 

竣工から終戦まで

 1928年4月1日、大型空母赤城と第一航空戦隊を編成、1932年2月には第一次上海事変に参加、1937年7月に日中戦争が始まると鳳翔も日中戦争に参加した。1940年11月には空母龍驤とともに第三航空戦隊を編成、三航戦として太平洋戦争開戦を迎える。

 鳳翔は、この時点ではすでに旧式艦となっていたため鳳翔と三航戦を編成する空母瑞鳳と共に艦隊の対潜哨戒任務に当てられていた。特に目立った活躍のないまま1942年4月1日、三航戦は解隊、第一艦隊附属となった。1942年6月のミッドウェー海戦では戦艦部隊の護衛艦として参加、九六式艦上戦闘機9機(補用2機)と九六式艦攻6機(補用2機)を搭載して任務に当たった。

 ミッドウェー海戦は日本軍の敗北となるが、鳳翔は艦隊からはぐれた駆逐艦の誘導、医療品の輸送などに活躍した。これを最後に鳳翔は第一線を引退、以後は着艦訓練緩、潜水艦訓練の標的などの任務に当たった。1943年1月15日には空母龍鳳とともに第五十航空戦隊を編成、第三艦隊に所属することとなった。母艦搭乗員の訓練部隊である。

 1944年1月1日、五十航戦は廃止、鳳翔は新たに編成された第五十一航空戦隊に編入されるが、2月には連合艦隊附属となる。1944年には飛行甲板の延長とエレベーターの拡大工事が行われたが、この改修により艦橋の前方視界と艦の復元性が悪化、外洋行動が不可能となった。さらに燃料不足と相まって鳳翔は以降、呉軍港から動くことなく終戦を迎えた。

 終戦後は、飛行甲板前部を撤去して外洋行動能力を再び手に入れると復員船として活躍、約4万人を輸送したのち1947年に解体された。

 

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