【実銃】『ハイ・スタンダードデリンジャーD100』22マグナム弾を撃つデリンジャー : トイレで読む向けブログ

（画像はwikipediaより転載）

要約

　ハイ・スタンダードデリンジャーは22LR弾を使用する超小型2連発ハンドガンである。DAOでセイフティは無い。銃身はスチール製、フレームはアルミ製であるため重量はわずか310gである。1962年に販売開始したが1984年に製造中止、製造権がアメリカン・デリンジャー社に譲渡され現在でも販売が継続されている。

ハイ・スタンダードデリンジャー

性能

全長　130.2mm
重量　310g
口径　22口径
使用弾薬　22LR弾
装弾数　2発
完成　1962年
設計・開発　ハイ・スタンダード社

デリンジャーとは

　デリンジャーという名前を聞いたことがあるだろうか。ガンファンの多くはデリンジャーというとレミントン・ダブルデリンジャーを想像すると思う。恐らく世界的にもデリンジャーと言えばレミントン社の製品が真っ先に頭に浮かぶのではないだろうか。

　しかしデリンジャーとは実は普通名詞、要するに通称なのだ。そもそもの由来は、自ら製作した小型拳銃を使用して米大統領アブラハム・リンカーンを暗殺したヘンリー・デリンジャーから来ている。それ以来、小型拳銃のことをデリンジャーと呼ばれるようになったのだ。

ハイ・スタンダード製デリンジャー

　レミントン・ダブルデリンジャーといわれるM95は1865年に発売、上下二段のバレルを備えたシングルアクション（SA）連発銃である。口径は41口径で弾薬は41ショートリムファイア弾を使用する。シンプルな構造で信頼性も高いことからロングセラーとなっていたが、時代を経るに従って性能的に不満が高まっていった。

　特に問題だったのはSAというメカニズムで護身用として携行した場合、非常時にいちいちハンマーをコックして発射しなければならないということだ。非常時というのは普通では考えられないようなミスもするし普通では当然できることもできなくなる。出来るだけ非常時の際の作業は少なくしたいというのはユーザー共通の要望であった。

構造・外観

　それを踏まえて開発されたのがハイ・スタンダード社製D100デリンジャーである。1962年に発売されたD100は上下二連バレルというレミントンの構造を踏襲しているが、口径は22口径と小さくなった。小さくなったと言っても41ショートリムファイアと22LRなので威力はむしろ強くなっている。

　レミントン・デリンジャーがSAであったのに対してハイ・スタンダードデリンジャーはダブルアクションオンリー（DAO）でセイフティを持たない。最大で9kgにも達するトリガープル（引く重さ）がセイフティの代わりとなっている。これはDAリボルバーと同じ発想だ。

　全長は130mmと手のひらに入る大きさでバレル下部に蝶番があり、装填の際は上部のロッキング・ラッチを解きバレルを蝶番を軸に前下方へ倒す。そうするとチャンバーが露出してカートリッジの装填が可能となる。この際に空薬莢があった場合は自動的に排莢される。

　ハンマー内蔵式で内部に撃針を切り替える装置があるため2発同時に発射されることはなく、引き金を引くごとに連続して2発の射撃が可能である。外観はレミントン・デリンジャーと異なり角ばったデザインであるが、ハンマー内蔵式のため服等に引っかかるリスクは少ない。

　素材は銃身はスチール製、フレームはアルミで軽量化を図っており、重量は310gと軽量である。現在の銃と比べても最軽量の部類に入るがカートリッジが22LRというのは護身用としては役不足の感がないでもない。しかし軽量でなおかつ薄く、グリップを取り外して使用することもできるためにさらに薄くすることも可能であるという現在の銃にはあまりないメリットもある。