01_P7
(画像はwikipediaより転載)

 

要約

 H&K P7とは、1976年にH&K社が発表した自動拳銃である。全長171mm、重量780g、9mmパラベラム弾、装弾数は8発。ガス遅延ブローバック、スクイズコッカーを採用、携行性と安全性を両立させた。バレルが固定されているため命中精度は高いが、構造上拡張性がほとんどなくバリエーション展開、マイナーチェンジ等が行われることはほとんどなかった。妙に人気がある。

 

H&K P7(実銃)

 

 

性能

全長 171mm
重量 780g
口径 9mm
使用弾薬 9mmパラベラム弾
装弾数 8+1発
完成 1976年
設計・開発 H&K社

 

開発

02_P7
(画像はwikipediaより転載)

 

 H&K社が開発した自動拳銃で、1976年に西ドイツ警察にP7として制式採用された。外観を見ても分かるようにかなり独特な構造を持ったハンドガンである。プレス加工を多用したストライカー方式のオートマチックハンドガンで初期のモデルはシングルカラムマガジンを採用している。最大の特徴はガス遅延式ブローバックとグリップ前部にあるスクイズコッカーである。

 

ガス遅延ブローバック

 オートマチックハンドガンは小型のものであれば反動を利用したストレートブローバックで作動させることが出来るが、9mmパラベラム弾等の高圧カートリッジになると何かしらの方法でブローバックを遅延させる必要がある。

 弾丸が発射されるメカニズムはこうだ。火薬がいっぱい詰まった薬莢の先端に弾丸が埋め込まれているカートリッジがある。このカートリッジの底には雷管があり潰すと爆発するタイプの火薬が詰まっている。この雷管が撃針によって叩かれると火薬が爆発、カートリッジ内の火薬に引火する。火薬が燃え出すと大量のガスが発生してこのガスがカートリッジ内で膨張、先端に埋め込まれている弾丸がガスの圧力に耐えられず発射される。こんな感じだ。

 ここで重要なのは弾丸は目標物を破壊するほど強烈なエネルギーで発射されるが同じ力が銃自体にもかかることだ。自動拳銃というのはこのエネルギーを使ってスライドを後退させて次弾を装填する。しかしこのエネルギーはかなり強烈で9mm弾のような強力なカートリッジだとスライドの後退速度も超高速だ。すごいスピードで後退して圧縮されたスライドのスプリングでまた猛烈なスピードで元に戻る。こうなると高速過ぎて使用済み薬莢が排出できなくなってしまうのだ。

 これを防ぐためにはスライドの後退を遅らせる装置が必要となる。これはディレートブローバック(遅延ブローバック)と呼ばれる方法で、最もメジャーなのは一瞬だけスライドをバレルに引っかけてスライドの後退を遅らせるショートリコイル方式でこれはM1911に採用されている。ほかにも様々な方法があるがP7で採用されたガス遅延ブローバックはちょっと特殊だ。

 前述のようにカートリッジが発火すると大量のガスが発生する。ガス遅延ブローバックとはこのガスを一瞬だけ別室(シリンダー)に逃がし、また戻す。そのタイムラグでスライドの後退を遅らせるというものだ。これは第二次世界大戦末期にドイツで開発された国民突撃銃で開発された方式であると言われている。

 

ガス遅延式ブローバックの長所と短所

 ガス遅延ブローバック方式の長所はショートリコイル等と比べるとバレルが固定されている上に反動がマイルドになるため命中精度が高くなること、銃身軸を低く設定することが可能であるためより身体感覚に近い状態で射撃をすることができることがあげられる。

 このように書くと良いことずくめと思われるかもしれないがこのガス遅延式ブローバックを採用した自動拳銃は驚くほど少ない。P7の他にはオーストリアのステアー製GB、ユーゴスラビアのツァスタバ製M-77があるくらいだ。なぜこれほど少ないのかというとそれには理由がある。

 最大の問題は「熱」だ。カートリッジの発射ガスは物凄い高温だ。アッチッチなのだ。このガスを一時的にしろフレーム内にあるシリンダーに流入させる訳なのでフレームが過熱する。連射なんてしたらアッチッチッチッチッチ。。。チッチがいっぱい付いてしまう。実際、P7はバレル下部、トリガー上部にシリンダーがあったため初期製造モデルでは射手の指が火傷をするという事故が多発したのだ。

 次にガスシリンダーの汚れの問題。カートリッジのガスと言っても無色透明、クリーンなものではない。発射ガスには火薬の燃えカスやらなんやらが含まれている。それらがシリンダーに流入するのでシリンダーは定期的にメンテナンスをしないとピストンの動きが遅くなり作動不良の原因になる。

 そして製造コストの高さ。部品点数が多く精密であるため製造コストがかさむ。「でも、お高いんでしょ〜?」。そうお高いのだ。オタクであるワイはもちろん買うが世の中にはハンドガンを実用で購入する変わり者もいるらしく、この価格の高さはセールス上不利であった。

 さらに構造が複雑なため設計上の制約もありガス遅延式ブローバックはほとんど普及することがなかったのだ。

 

スクイズコッカー

 スクイズコッカーは、P7の最大の特徴でこの機構を採用したハンドガンは後にも先にもP7のみである。これはグリップ前部に設置された大型のレバーで撃針を発射位置まで後退させる機能とホールドオープンしたスライドをリリースする機能を持つ。薬室にカートリッジが装填された状態でスクイズコッカーを強く握ると撃針が発射位置に移動(ハンマーがコックされた状態)、そのまま引き金を引くと弾丸を発射することが出来る。薬室にカートリッジを装填した状態で携行しても安全性が高い上にダブルアクションオートと異なりシングルアクション並みのトリガープルで引き金を引くことが可能という夢のハンドガンなのである。

 さらにP7は幅が薄く携行性が高く、構造上バレルが固定されているため命中精度は非常に高いという特徴もあるが、同時にスクイズコッカーを採用したためにグリップの前後幅が広くなってしまい手の小さな射手には扱い辛いという大きな問題がある。

 

ジャジャーン!P7新発売だよ!!

 ガス遅延式ブローバックを搭載して命中精度が高くスクイズコッカーという夢のメカニズムも搭載したP7。1976年に発売されると飛ぶように売れに売れまくった。と思いきやセールスは伸び悩んだ。一番の理由は価格だ。

 発売時P7の米国での実勢価格は600〜700ドル程度。当時、FN社製ブローニングハイパワー、S&WM39が300ドル程度。ベレッタ92が350ドル程度、高価格であったワルサーP5でも400ドル程度であったのに比べるとP7は他社製ハンドガンの倍以上する高価な銃となってしまったのだ。

 そしてやはり問題となったのが前述のアッチッチ問題。連射すると人差し指がアッチッチになってしまうのだ。これはすぐに樹脂製パーツが追加されたものの「P7はアッチッチだよ」という噂が広まり、これもまたセールス不振につながってしまった。

 さらに革新的であったスクイズコッカー。この機構があまりに独特であったため習熟に時間が必要であった。ワイは全く気にならないが実用品としてハンドガンを購入する変わり者はこの操作になれるトレーニングは負担だった。これらの理由からP7は西ドイツ警察やGSG-9等で採用されたもののヒット作とはならなかったのだ。

 但し、このP7、好きな人は大好き。一部のファンの間では大人気だったようで2007年に製造中止となるまで30年間のロングセラー商品となった。

 

バリエーション

03_P7M13
(画像はwikipediaより転載)

 

 オリジナルはP7M8と呼ばれるモデルで装弾数8発、熱から人差し指を守るためトリガー上方に耐熱ポリマーパーツが設置されている。

 P7M13はただでさえグリップが太いのが問題のP7をダブルカラムマガジン化したモデル。装弾数こそは13発とグレードアップしたが、グリップの握りにくさもグレードアップしている。P7M10は1991年に発売されたモデルで、当時流行の40S&W弾を使用できるようにしたモデルであるが、スライドが大型化し重量は1.1kgを超えてしまうという全くコンセプト不明の銃となってしまった(装弾数10発)。

 

H&K P7(トイガン)

 

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ワイのコレクション

 

概要

 1985年にマルゼンがカート式P7M13を発売している。1992年にはMGCがHW(ヘビーウェイト)製ガスブローバック式のP7M13を発売して以降、1993年にシューマッハカスタム、シルバーモデル(HWに塗装したもの)、1994年にはABSモデルを発売している。同年、東京マルイがエアーコッキング式でP7M13を発売しているが、これが現在入手できる唯一のモデルであろう。因みにワイはMGC製の新品同様、傷ひとつないMGCのP7M13を所有しているとだけ付け加えておこう。

 

東京マルイ P7M13 エアーコッキングガン

性能

全長 173mm
重量 322g
装弾数 22発

 18歳以上モデルは初速60m/s前後。チャンバーはスライドと一体のためここはリアリティに欠けるものの、フルサイズマガジン、アンビマガジンキャッチ、スライド側面に薄くヘアラインを再現している等リアル。白眉はストライカー方式の撃針を再現していることであろう。実銃P7はスライドを引くとスライド後部に撃針が突出するが、東京マルイもエアコキでありながらこれを再現している。安全装置は右後方スライド下部のボタンとスクイズコッカーでスクイズコッカーを握ると安全装置が解除され引き金が引ける。BB弾の直進性、命中精度は非常に高いがM13モデルのためグリップが握りづらいのが難点。10歳以上モデルと18歳以上モデルのHGがあるので間違えないようにしたい。

 

HWS P7M8モデルガン

 激レア珍銃を出すことで有名なHWS社のモデルガン。2026年現在製作進行中でダミーカートモデルとなるらしい。ちょっとほしい。

 

まとめ

 

 P7は独特の機構を内蔵した挑戦的な銃で高価格ではあったが高性能な銃であった。操作方法も独特であるため慣れが必要であるが、ユーザーは一回この銃に慣れてしまうと高い命中精度と携行性の高さから手放せなくなってしまう人も多い。しかし独特な機構ゆえ拡張性がなくカートリッジの大型化や多弾数化に対応できず次第に第一線から消えていってしまった。だがワイは好き。

 

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