高木 晃治,ヘンリー 境田 著
双葉社 (2014/7/16)

 

 343空とは太平洋戦争末期に当時の最新鋭機紫電改で編成された戦闘機隊である。司令官は真珠湾攻撃時の航空参謀源田実大佐で基幹搭乗員にベテランを配し、比較的高い練度を持った部隊であった。終戦まで活躍したが人員、機材共に消耗し終戦を迎える。

 実は本書は私は買うつもりではなかったのだ。図書館で借りて適当に読んで終わりにしようかと思っていた本だ。何故なら非常に高いから。本の厚さもさることながら値段が古本でも4,000円となかなか高価な本なのである。まあ、結局、買うんだけど、理由は内容があまりに良かったからだ。

 普通、戦記物や戦史研究というのはやはり日本人なら日本からの視点、アメリカ人ならアメリカからの視点という風に視点が偏ってしまう。しかしこの本は日本人とアメリカ人の共著なので視点が客観的で良い。日本の搭乗員に関して詳述しているのと同時にアメリカ人の搭乗員に対しても同様にしている。

 特に本書は343空を中心とした本であるので本土防空戦が中心である。アメリカ軍は攻める側で日本は守る側である。アメリカ軍の航空機が撃墜され搭乗員が脱出すれば日本に落ち場合によっては捕虜となる。しかし脱出して降伏した米兵の中には日本軍によって処刑されてしまった者も多い。日本人としてはあまり知りたくない事実であるがこれもまた戦争である。

 本書の白眉は日米の研究者が難しいといわれる空中戦の中でどの搭乗員が誰を撃墜したのか等を可能な限り調査している点である。私は不可能と思っていたが意外と判明していて驚いた。紫電改好きには必携の本だと思う。本書はあまりにも詳しいため読むのと同時に辞書的な使い方もできる。

 

 

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