01_グロック17
(画像はwikipediaより転載)

 

 1982年に完成した「プラスチック製拳銃」グロック17は、現在においても第一線で活躍し続ける名銃といっていい。発売当初は独特のデザインとプラスチック製という特徴から敬遠されたが、現在では多くの治安機関において採用されている。

 

グロック17(実銃)

 

 

性能

全長 186mm
重量 703g
口径 9mm
使用弾薬 9mmパラベラム弾
装弾数 17発
発射速度  -
完成 1982年
総生産数 現在生産中
設計・開発 ガストン・グロック / グロック社

 

開発前史

02_グロック17
(画像はwikipediaより転載)

 

 1980年、オーストリア軍はそれまで採用していた制式拳銃ワルサーP-38の旧式化に伴い新拳銃のトライアルを実施した。このトライアルの要求とは9mmパラベラム弾であること、自動装填式であること、高さ2mから落下しても暴発しないこと等17項目に上った。

 このトライアルにはH&K社からはP7M8並びにP7M13P9S、シグザウアー社からはP220P226、ベレッタ社からは92SB、FN社からはブローニングハイパワーの最新モデル、ステアー社からはGB、そしてグロック社からも上記の条件を備えたピストルが提出された。

 このトライアルに出品した銃器メーカーは戦前から銃器の生産をしている銃器メーカーであるのに対して、グロック社はそれまで機関銃のベルトリンクや軍用ナイフ等を製造していたメーカーで銃器の開発経験は皆無であったが、自社の得意分野であったポリマー成形の技術を利用した斬新な形状のピストルを開発して、わずか3ヶ月で新規のピストルを製作してトライアルに提出した。

 

開発

 1982年トライアルの結果、採用されたのはグロック社の提出したピストルで、1983年にP80の名称でオーストリア軍制式拳銃として採用された。1985年には民間モデルグロック17として発売されている。

 このトライアルに応募したメーカーとその銃器をみればグロック社の提出した新型ピストルがどれほど高い評価を受けたのかが分かるだろう。逆にいえば新興銃器メーカーを偏見にとらわれずに採用したオーストリア軍の柔軟性の高さというのも分かる。

 このグロック17の影響は大きく、同様に制式拳銃であるコルトM1911A1の更新を検討していた米軍も非公式にグロック17を入手したと言われている他、1985年にはノルウェー軍、1988年にはスウェーデン軍が制式拳銃として採用している。

 

特徴

 最大の特徴はフレームを筆頭に可能な限り素材にプラスチックを取り入れたことである。プラスチックを多用することにより軽量化が図られコストダウンにもつながった。さらには寒冷地での仕様時に皮膚が金属に張り付くという事故も防ぐことができる。

 しかし、フレームはプラスチック製であるがスライド、内部パーツやマガジン、銃身等は金属製であり、プラスチック製拳銃と呼べるものではない。因みにX線でも反応しないというのは完全な誤解である。

 装弾数は17発で発射機構は旧来のストライカー式を採用している。安全装置はトリガーにあるレバーであり、引き金に指をかけると自然に解除される。全体のデザインは人間工学に沿ったものでグリップアングル(銃身に対するグリップの角度)は理想的である。

 銃身が低位置にあるため反動を抑制する能力に優れ、照準を付けるのにも便利である。当初は金属製拳銃に慣れたユーザーからは敬遠されたが、これらの特徴により瞬く間に大ヒットすることとなる。

 グロック社はそれまで銃器製作の経験が皆無であったことから既存の概念に囚われることなく斬新な銃器を製作することが出来たのだろう。軽量な上に命中精度に優れ即応性も高い故に、発売から30年を経た現在においても世界各国の治安機関において採用されている。

 

名称

 グロック17の「17」が何を指すのかというのは実は良く分かっていない。装弾数が17発ということに由来しているとする説、グロック社の17番目の製品であるとする説、17種類の特許をとったからという説など様々である。

 

バリエーション

 1980年に登場したグロック17を第1世代とすると現在は第5世代に該当する。改良はほとんどが外部のチェッカリング等の変更で内部構造に関してはほとんど変わっていない。それだけ完成度の高いシステムだったといえる。当初は9mmだけだったが、バリエーション展開を行い、現在では45口径を始めとする7種類の弾薬を使用するモデルがある。銃の大きさも標準モデルから小型モデル、超小型モデル等37種類ものバリエーションがある。

 

追記

 2023年12月27日、グロック17の開発者であるガストン・グロック氏が他界された。享年94歳。

 

グロック17(トイガン)

 

グロック17モデルガン

 グロック17のモデルガンはタナカワークスのみが発売している。エボリューション仕様でグロック17、18をモデルアップしている。HW仕様のものとフレームがHW、スライドが「特殊樹脂」(タナカワークスのHPより)のものがあり、2世代モデルと3世代モデルがモデルアップされている。

 

グロック17(ガスガン)

 日本で人気になったのはダイハード等のアクション映画に登場するようになった辺りからだろう。一番最初にモデルアップしたのは確かMGCかコクサイのエアコキのどちらかだったが正確には分からないが、恐らくMGCであったと思う。

 このMGC製グロック17は、1991年に発売されたモデルで、これが何とガスブロであった。現在では当たり前であるが、90年前後ではまだ珍しいもであった。しかし過渡期のガスブロであるので内部構造も現在のようにリアルなものでなく、発射機構もプレシュートシステムというスライドが動き出してから弾が発射されるものであった。この構造だとスライドの反動が弾道に影響し、着弾が狙点よりも下に行く傾向があった。そのために独特のリアサイトを発売したメーカー等もあった。

 現在では東京マルイ、KSCを始め海外メーカーも含めて各社が発売している。あまりにも多すぎて把握することは困難である。代表的なメーカーは上記の東京マルイで最初のモデルは2000年に発売されたグロック26である。KSCであろう。その他、CO2モデルが海外メーカーから発売されている。

 リアリティを採るならHW材を使用し各部のディティールに拘ったKSC、作動性能と各種サードパーティーのパーツの多さを考えると東京マルイ製である。CO2製品は低気温時でも確実に作動する上にガス圧が高いためスライドの動作が高速でありいいこと尽くめであるが、海外メーカーが多く、アフターサービスに関しては若干心配である。

 

タナカワークス モデルガン本体 グロック17 3rdフレーム エボリューション2

性能

全長 185mm
重量 540g
装弾数 17発

 モデルガンメーカーの老舗タナカワークスが出している唯一のグロック17モデルガン。最新のモデルガンなので作動は良好である。カートリッジもアルミ製のEVO2を使用している。2rdモデル、3rdモデルが発売されている。モデルガンの場合、スペアマガジン、カートリッジは常時生産されない可能性があるので、同時にスペアマガジン、スペアカートリッジを大量に買っておくことをお勧めする。

 

東京マルイ グロック17 Gen.4 ガスブローバックガスガン

性能

全長 202mm
重量 709g
装弾数 25発

 2020年発売のガスガン。15mm大口径シリンダーを採用しているためGen3と比べてリコイルは鋭い。初速は70m/s前後と平均的。命中精度は東京マルイ製なので敢えて書く必要もないが非常に高い。リコイルスプリングは二十バックストラップは、M、Lサイズにそれぞれビーバーテイルの有無で合計4個付いている。エキストラクターやスライドカバープレート(スライド後部のパーツ)が金属の別パーツで製作されている。個人的にはKSCでも成型であったエキストラクターを金属で再現したのは魅力的である。

 

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