01_CZ75
(画像はwikipediaより転載)

 

要約

 CZ75は、チェコスロバキア製のハンドガンでチェコスロバキアが外貨獲得のための輸出用として開発したものである。70年代にアメリカで「最高のコンバットオート」と言われた伝説の銃である。日本では『ガンスミスキャッツ』の主人公の愛銃としても有名である。1975年に完成して以来、現在でも多くのバリエーションが製造され続けている銃である。

 

CZ75(実銃)

 

 

性能

全長 203mm
重量 980g
口径 9mm
使用弾薬 9mmパラベラム弾
装弾数 15発
完成 1975年
設計・開発 ヨーゼフ、フランティシェク・コウツキー兄弟 / チェスカー・ズブロヨフカ国営会社

 

背景から開発まで

 1948年の共産革命によりチェコスロバキアは共産主義国家となった。他の共産主義国家の兵器はソビエト連邦からの軍事輸入に頼ったが、チェコは国内での製造を続けた。これら工業製品は、チェコスロバキアの外貨獲得のために重要な役割を果たした。

 

開発

 1968年、チェコスロバキアでは輸出目的で9mmパラベラム弾を使用するハンドガンが計画された。設計はコウツキー兄弟(またはどちらか)に依頼された。設計に関して完全な自由を与えらえたコウツキー兄弟は、1975年独創的で革新的なデザインの銃を開発した。これがCZ75である。

 このCZ75の機構はチェコスロバキアの秘密特許とされたため国内ではコピーすることは許されなかったが、海外での特許取得は禁止されていたため海外では多くのクローン、コピー品が生まれた。発射機構はショートリコイル方式で、トリガーはダブルアクションを採用した。マガジンはダブルカラム構造で装弾数は15発、独自のフレームがスライドを包み込む形式が採用された。セイフティはコック&ロック方式でセイフティの解除はグリップを握ったまま親指で操作することができる。

 CZ75は日本では前期型と後期型の2種類に分類されることが多いが、実際は、数多くのバリエーションがある。特徴的なのは初期のものでスライド、フレームは削り出しで作られている。日本でセカンドバージョンと言われるもの以降は鋳造になった。この結果、強度不足を補うためにスライドのレールを延長したという話だが真意のほどは不明である。SIG P226やグロッグ17よりはるか昔に製造された拳銃ではあるが、複列弾倉を装備し、さらにグリップは握りやすいように工夫されている。日本人にはベレッタ92F等よりもはるかに握りやすい。

 現在も生産が続けられており、チェコ警察等で使用されているようだ。因みに初期のものは手間をかけて作られたが、後期のものより性能が良いということはないと言われている。このCZ75を参考に製作したのがD&D社製ブレンテンだったと言われている。

 

 

CZ75(トイガン)

 

 

 このCZ75、アメリカでは一時期、相当なプレミアがついていたようだが(40年くらい前かな?)、アメリカで人気が出ると日本に波及するのはトイガンの世界も同じ。トイガンでも多くのメーカーがモデルアップしている。しかし、モデルガンを作っているのはマルシンだけである。他にもマルシンでは、モデルガンといえばモデルガンであるが、その昔、ガスで作動させ、薬莢に詰めた火薬を発火させるという奇妙なガスモデルガンとも言えるものを発売していた。CZ75のモデルガンはこの2種だけである。

 エアガン、ガスガンは数社から発売されている。最も早いのがLSという組み立て式のエアガンを多く発売していたメーカーで1987年にモデルアップした。そして1988年には業界最大手のMGCが固定式ガスガンとして発売している。CZ75が日本で紹介されたのが1981年のことと言われるので発売まで約7年を要したことになる。人気のあるモデルでありながらトイガン化が遅れた理由としては、当時ならではの事情がある。

 1980年代前半はエアガンというのはあまり注目されておらず、トイガンの主力はモデルガンであった。CZ75も当然検討されたのであろうが、問題はCZ75の形状で、この徹底的に贅肉をそり落としたデザインはABS樹脂という素材でブローバックさせるのは強度の面で問題があったようである。このためどこのメーカーも手を出しかねていたというのが実情のようだ。そして時代は下り、モデルガンからエアガンに移り、ブローバックの強度の問題を考慮する必要のなくなったことにより初めてモデルアップできるようになったということらしい。

 その後、LSはトイガン事業から撤退、MGCのCZ75はKSCに引き継がれたようで、現在では1stバージョン、2stバージョンはじめ各種のバリエーション展開をしている。他にも人気のあるモデルであるため、東京マルイ製のエアーコッキング式エアガン、マルシン工業がカートリッジを排莢できるデュアルマキシモデル(装弾数8発)等、各社がモデルアップしている。以下、代表的なモデルを紹介してみたい。

 

KSC Cz75 1stバージョン ヘビーウェイト 18歳以上ガスブローバック

 最も完成度が高いのはKSCの製品であろう。全長206mm、重量830g、装弾数23発で、元々モデルガンメーカーであるだけあってダミーではあるが撃針まで再現されているなど外観のリアリティも重視している。樹脂製であるために重量は軽いものの持った時の重量バランス等は絶妙である。エンジンはシステム7を採用しており、安定した射撃が可能となっている。初速は70〜80m/sと若干高めであるが、ガスブローバックハンドガンの平均的な数値である。さらに命中精度も精密チャンバーの採用により、東京マルイ製品に匹敵するほどの命中精度を出している。KSCの1st、2stバージョンを中心に各種バリエーションが発売されている。

 欠点としてはKSC製品全般にいえることであるが、スライドストップノッチを装備していないためにスライドの摩耗によりスライドストップがかからなくなることがある。もう一つの欠点はサードパーティーからのカスタムパーツが東京マルイほど多くない。しかし、パーツの消耗はどの製品でもいずれは起こることであるので仕方ないと割り切ってしまえば良いのかもしれない。

 

東京マルイ エアガン Cz75 ファーストモデル ソフトエアーガン

 30年前から続く東京マルイのエアガンシリーズ。全長206mm、装弾数25発。エアガンは一回ごとにスライドを引いてBB弾の装填と空気の圧縮を行わなければならないので連射はできない。単射のみとなるが、手動でコッキングするためにランニングコストは限りなく0に近い上に命中精度は高い。室内での射撃の練習用にはうってつけだろう。ガス代もかからない上にBB弾の再利用もできる。仮に故障してしまってもガスボンベ2本分の値段でしかないので使い捨てで大丈夫だ。

 欠点としてはエアコキガンの欠点と共に高級なガスガンに比べて製品の耐久性が低いことが挙げられる。これは値段を考えても当然だといえるだろう。

 

Carbon8 CO2 ブローバックガン Cz75 2nd.ver ABS樹脂スライド

性能

全長 206mm
重量 900g
装弾数 24発

 海外メーカーのCO2モデル。全長206mm、重量900g、装弾数24発。CO2モデルとはフロンガスではなくCO2でBB弾を発射するガスガンのこと。CO2は高圧であるが、パワーが調整されているので法的には全く問題ない。CO2の長所としてはフロンガスのように外気温に影響されないことだ。真冬でも快調に作動する。欠点としてはガスボンベが比較的高価であることだろう。

 本製品はスライドがABSに変更されている。CO2であればメタルスライドでも快調に作動すると思うが、法的にはメタルスライドはグレーの部分があるのであまりおススメしない。作動性能は問題無さそうであるが、どうも個体差があるようだ。外観上はパーティングラインが残ってしまったりとKSC製品ほどの美しさはないが射撃重視のファンには十分に選考に値する。ガスボンベはマルシン製を使用した方がいいようだ。

 

WE KP09 CZ75

 こちらは通常のフロンガス仕様のガスガン。全長206mm、重量1,000g、装弾数24発。こちらも海外製。メタルスライドが標準装備されているのがファンにはうれしい。メタルスライドのメリットはスライドの強度が上がるのと、重量が増すために銃の重量増加となりリアリティが増す。同時にブローバック時の反動も強くなるのでリアリティ重視のファンには魅力的だろう。

 欠点としては増加した重量を通常のフロンガスで動かすのでスライドの動きは若干遅くなる。それとメタルスライドは法的に完全に白とは言い切れないという不安もある。それと海外製品全般にいえることであるが、故障が起こった場合の修理は若干困難。このため個人的にはあまりおすすめしない。

 

まとめ

 

 CZ75は1970年代に登場した革命的な高性能機であった。現在でも改良型が発売され続けている。ダブルカラムマガジンでありながらCZ75のグリップの細さは日本人には有難い。老いたりとはいえ最高のコンバットオートであることには変わりはない。名銃と言っていいだろう。

 

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