
(画像はwikipediaより転載)
要約
M1911とはコルト社の技師ジョン・ブローニングによって設計された銃で1911年に米軍に制式採用されて以来、現在に至るまで100年以上経た今日においてもほとんど改良されることなく、軍、民間において多く使用されている。口径は専用に開発された45ACP弾で装弾数は7発。スチール製のため重量は装弾していなくても1.1kg以上になる。米国でも日本でも最も人気のある銃である。
コルトM1911(実銃)
性能
全長 216mm
銃身長 127mm
重量 1,130g
口径 45ACP
装弾数 7+1発
設計・開発 ジョン・ブローニング / コルト社
開発前史


上M1873、下M1892
20世紀初頭の米軍制式採用拳銃はM1892であった。これは38口径ロングコルト弾を使用するリボルバーでそれまでのM1873(SAA、ピースメーカー)に代わって1892年に制式採用されたリボルバーである。射手が一回ごとにハンマーを起こして引き金を引くシングルアクションのSAAに対して引き金を引くだけで射撃ができるダブルアクション(DA)を採用したリボルバーであった。
M1892はDAリボルバーでなおかつ口径が45口径から38口径に低威力化したこともあり反動も少なく連射性能に優れた銃であった。大威力よりも連射性能を重視したワケだ。
この銃で米軍は米西戦争を戦い抜いた。そして結果、スペインからフィリピンの割譲に成功。フィリピン鎮圧も無事に完了したと思いきやミンダナオ島南部に住むモロ族は頑強に抵抗してきた。このイスラム系住民はジュラメントと呼ばれる宗教的突撃を行うのだがこれに対して38口径リボルバーはあまりにも非力であった。
1904年、米軍はトンプソン・ラガード試験という大変ヤバい試験を行った。この試験は生きた馬や牛をいろいろな口径の銃で撃ってみるという現在では絶対できない試験で、その結果、 「やっぱり漢(おとこ)は45口径だよねー」という結論に達した。ちなみにこの試験を行ったのはのちにトンプソン短機関銃を開発するトンプソン大佐だ。
45ACP弾

画像は45ACP弾
45口径の有用性が認められたからと言って再度SAAを採用するとはならない。今更SAの銃を採用してどうするのだ。45口径DAリボルバー。いやいや。この時点で世界の軍用拳銃は自動拳銃へと移行しつつあり、米軍も当然自動拳銃への移行を考えている。
そこで45口径自動拳銃の開発となる。白羽の矢が立ったのは軍用銃の設計で多くの実績があるジョン・ブローニングだ。ブローニングはまず45ロングコルト弾は長すぎるのでちょっとだけカートリッジを短くしてリムを削りリムレス弾化する。自動拳銃は構造上、リムがあると引っかかってしまうのだ。弾頭重量も250grから200から230grに小型化した(grって重さの単位だよ!)。
ちょっとだけ小型化したこの試作カートリッジ。撃ってみたところ威力はすごいが反動が強烈過ぎてとても撃てたものではない。こんな銃を扱えるのはサンフランシスコ市警の型破り刑事だけだ。反動が強いというのは射手の問題だけでなく、銃自体にも負荷がかかる。耐久性も落ちるし作動が安定しないのだ。高威力過ぎるというのも目標を貫通してしまうのでダメだ。貫通してしまってはエネルギーを目標に叩き込むことはできない。
そこでジョンは弾頭重量をさらに軽く230grとし、カートリッジもまた短縮して22.8mmとした。これが大成功!この弾頭重量とカートリッジ長は作動性と反動のバランスが良く、230grの弾丸は低速、低圧力で目標へ命中するため目標を貫通することはない。当時の米軍が求めた理想的なカートリッジであった。
1905年に完成したこのカートリッジは45口径オートマチック・コルト・ピストル(Automatic colt pistol)の頭文字を取り45ACP弾と命名された。日本語だと「コルト社製自動拳銃用45口径弾薬」といったところか。これが以後、米国人の魂の弾薬となる。
さてさて本体の話ですが。。。
M1900


上はM1900 下がM1902
45ACP弾が開発される前の1900年。 ブローニングはM1911の元になる自動拳銃の開発をしている。それがM1900で使用弾薬は38ACP弾であるがM1911と同じティルトバレル・ショートリコイル方式を採用している。ただし外観は頭の悪い小学生が書いた落書きのような形状でとても洗練されてはいない。これに若干の改良を加えたのがM1902だ。口径はどちらも38ACP弾。
M1905

1904年、このM1902に45ロングコルト弾をちょっとだけ小型化したカートリッジを撃てるようにした試作銃を開発してみたが強烈な反動+高威力でダメだったのは前述のとおり。そうこうしているうちに45ACP弾が完成したので45ACP弾仕様に改良したのがM1905。これが史上初の45ACP弾使用拳銃だ。
ただしこのM1905、米軍で内部テストが行われたが安全装置はないし反動が強く作動性能も今一つであった。ブローニングはこの結果を受けて改良型M1907を開発。1907年の米軍トライアルに提出した。M1907ではグリップセイフティが追加されスライド、リコイルスプリングが改良された。さらに給弾機構やマガジンの形状も変更され信頼性は大幅に向上している。
このM1907を改良したのがM1910で新たにサムセイフティが追加、グリップアングルが射手が撃ちやすい74度に変更された他、耐久性能も大幅に向上し米軍トライアルでは無故障で6,000発発射を成し遂げている。
じゃじゃーん!完成だー!
M1911

上がM1911、下がM1911A1
1911年3月、M1910に若干の形状変更を加えたM1911が米軍に制式採用された。変更箇所はスライド前部、セイフティレバー、グリップパネル等である。完成したM1911は全長216mm、重量1,130gで使用弾薬は45ACP弾、装弾数は7発。それまでのM1900からM1907に比べて曲面が増えているものの側面はフラットでスライド先端は大きくえぐれている。
照準器は固定式で凸型のフロントサイトを凹型のリアサイトに合わせるタイプで現在からすると小型であるが当時としては平均的なものであった。グリップはアングル74度の理想的な角度を維持、木製グリップパネルにダイヤチェッカーが施されている。
トリガーの後方下部にはマガジンキャッチがあり右利きの射手の場合、親指で押すことができる。さらにトリガー上部には大型のスライドストップがありこちらも親指で操作可能だがさすがにトリガーに指をかけたままで操作することはできない。
安全装置は左側面後方、ハンマー付近にあるサムセイフティ、そしてグリップ後方にあるグリップセイフティがある。ブローニング設計の自動拳銃にはマガジンを抜いた場合に作動しなくなるマガジンセイフティが搭載されている場合が多いがM1911では搭載されていない。グリップセイフティは強く握ることで発射可能となり、サムセイフティは上げるとスライドがロックされて発射不能、下げると発射可能となる。右利きの射手であれば親指で操作可能だ。どちらも射手に負担のかからない設計となっている。
機構

閉鎖機構はティルトバレルショートリコイル方式という形式で発射時にはバレルとスライドが固定されているが弾丸が発射されるとスライドが後退、これによりバレルとの固定が解除されてスライドのみ後退、この力でバレルは若干上向くが弾丸発射後なので弾道には影響しない。
スライドが後退する際に排莢、後退したスライドはリコイルスプリングによって前進する。この時にマガジンから次弾を薬室に送り込むように設計されている。この方式はシンプルで信頼性が高いため現在でも多くの自動拳銃で採用されている。
M1911A1

M1911A1
第一次世界大戦での運用の結果、M1911にはいくつかの改良が施されたが、これは根本的な改良というよりも操作性向上のための形状の変更だ。
まずはグリップセイフティ。実戦ではハンマーバイトと呼ばれる射手が射撃時に親指と人差し指の付け根をハンマーとグリップセイフティの間に挟んで負傷する事故が多発。このイタタタタな事故防止のためグリップセイフティの後方のホーンを長くしている。
次にトリガー。トリガーが長すぎて特に手の小さな射手には操作しづらかった。この対策としてトリガーをロングトリガーからショートタイプに変更、トリガー付近のフレームにも窪みが追加された。さらに当時は片手撃ちが主流であったため、グリップ後方下部のメインスプリングハウジングの形状を片手撃ちに適するようにストレートタイプから丸みを帯びた形状に変更、サイトの形状も変更された。
外観上大きく変わったのは表面処理だ。それまでは丹念にブルーイングされていたがより大量生産に向くようにパーカライジング処理へと変更、グリップパネルもだ木製からべークライド製へと変更されている。
これらの改良はその後のM1911の改良型でも継承されている。M1911はA1となることで完全となったといってよい。
M1911は1911年から1926年まで製造され、1927年からM1911A1が生産が始まったが1945年で生産は終了した。以降再生産されることはなかった。このため1985年に新正式拳銃にベレッタ92Fが採用されるまで使用されていたM1911は1945年までに生産されたものが使用され続けていたことになる。因みに日本では本銃のことを「コルトガバメント」と言うが、アメリカでは1911(ナインティーンイレブン)と呼ぶのが普通だ。
おまけ。MEUピストル
因みに9mm口径のベレッタ92Fのパワーに不満を持った海兵遠征部隊はM1911A1を基にカスタムしたMEUピストルを採用することになったが、その際、予算の都合上、M1911A1の「改良」という名目で予算を採った。このため完全に新規のM1911を採用することが出来ず、軍の倉庫に眠っていた1911A1のフレームを使用してその他のパーツを新規に調達していわゆるMEUピストルを製作した。当然、このフレームも当然1945年以前の代物である。
M1911(トイガン)
1966年にMGC、CMCからモデルガンが発売されて以来、トイガンでは把握しきれない程多くのメーカーが生産しており、現在も最高級モデルのエランを始め、CAW、タニオコバ、マルシン等が高品質のモデルガンを発売している。ガスガンでは旧MGCの流れを受け継いだWA、高性能エアガンを発売することで有名な東京マルイ、さらには海外メーカーまで含めると膨大なメーカーによってモデルアップされている。その中でおススメM1911のいくつかを紹介してみたい。
CAW 発火モデルガン Colt .45Auto M1911A1
性能
全長 216mm
重量 690g
装弾数 7+1発
かつてモデルガン業界の最大手であったMGCの流れを受け継ぐメーカー。高精度で比較的安価な製品はファンにとってはありがたい。カートリッジ、マガジン等も入手しやすいのがありがたい。外観の完成度の高さと作動の確実さで本当に遊べる数少ないモデルガンの内の一つ。
マルシン工業 モデルガン完成品 コルト・ガバメントM1911A1・HW
性能
全長 215mm
重量 560g
装弾数 7+1発
現在でも活動している数少ない古参メーカーのマルシン。もう数十年に亘ってモデルガンを製造し続けている有難いメーカー。このガバメントも基本設計は年代物。もちろん昔の設計そのものではなく、HW化された上に改良もされている。こちらのメーカーもカートリッジ、マガジン共に入手が容易だ。
モデルガンはカート、マガジン等、初期投資が結構かかる。その上、パーツが結構破損するので、メーカーから部品を取り寄せる必要がままある。火薬を使うためにどうしても部品の消耗が激しくなってしまうのだ。その点、マルシンは本体、カートリッジ共に安価で敷居が低いし、部品の供給も可能である。昔ながらのメーカー。
東京マルイ M1911A1 コルトガバメント (18歳以上ガスブローバックガン)
性能
全長 217mm
重量 799g
装弾数 26発
安定した性能と高い命中精度、その上安価と無敵のメーカー東京マルイ。このM1911A1は若干古いモデルであるが、性能の高さは変わらない。ただ、エアガンメーカーはロッドによって地味に改良していたりもするので最新のものがいいかもしれない。外観の精巧さも業界随一と完璧であるが、通常のABS樹脂を使用しているため軽いのが残念。初速は70m/s前後。
WA コルト M1911 ゲッタウェイ ビンテージ
性能
全長 216mm
重量 890g
装弾数 21発
リアルなエアガンを発売しているメーカー。社長の国本圭一氏はアメリカで鍛えたプロのシューター。特にM1911に絶大な愛情を持っている。ウエスタンアームズの製品は基本的にM1911であるといってよい。社長が愛しているだけあって完成度は高い。
外観はMGCの流れを汲んでいるが、非常に精巧である。ガスガンであるが、素材に「カーボンブラックヘビーウェイト」という材質を使っているため通常のガスガンよりも重量がある。リアル志向の方にはおススメだ。命中精度は東京マルイに若干劣るが、モデルガン並の外観を持つガスガンという長所は捨てがたい。ガスガンとしては一見高額であるが、完成度を見れば納得できる。実は私はこのM1911を愛用している。初速は70m/s前後。
東京マルイ No.25 コルト ガバメント HG 18歳以上エアーHOPハンドガン
性能
全長 212mm
重量 - g
装弾数 25発
これはオマケ。東京マルイ製のエアコッキングガン。ガスガン、モデルガンという高精度なトイガンばかりいじっていると忘れてしまうおもちゃの楽しさを思い出させてくれる一丁。値段も安価で耐久性も低いがその分、何も心配しないでパスパス撃って遊べる。空気がパワーソースなのでランニングコストはBB弾のみ。室内で遊ぶ分には音は静かだし命中精度は高いしで値段以上に楽しめる。ガンファンは、この楽しさからスタートしている人も多いはず。
まとめ
M1911には熱狂的なファンがいる。米国はもちろん日本でもだ。シンプルな構造と高い信頼性、「ポケット砲兵」と呼ばれる圧倒的な破壊力が人気の秘密だ。100年以上前に作られた銃が、ほぼ改良されることなく現在まで使用され続けているというのは驚異的ですらある。まさにレジェンド中のレジェンドだ。
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コメント
コメント一覧 (5)
いやだ
ワイは認めない
MGCの流れをくむWAガバはMGCガバ同様どうしてもスライドが太い。
これに対してマルイガバのスタイリングは完璧。
エランや六研と比べても全くそん色はない。
特にシリーズ70は表面仕上げが素晴らしい。
実射性能も100点満点。
マルイには変なこだわりがない。
WAにはマニアックで無意味なこだわりがある。
というのが感想ですね。
個人的な感想ですが。
トリガーは長い方が指が窮屈でないし、スプリングハウジングはストレートな方が握りやすい。
この辺を修正した市販モデルのM1991は一番良いM1911バリエと思います。
おまけに前後のサイトも背が高く見やすいし。
トイガンについては、WAのものはややデヴいという説があります。
横幅がわずかに広いとか。
しかし、コマンダーのガスブロは唯一であり無視できるものではありません。
マルイのM1911A1は内部構造にガスガンとしての合理性を追求したアレンジが多く、それを嫌う人もままいるようです。
私は感心しましたが、分解手順の違いに戸惑いました。
マルイもコマンダーを出してくれたら…
M1911A1、ワルサーP38にS&W M19 4吋を並べて銭形、ルパン三世と次元の愛銃が揃ったのを見てニヤニヤしております。
フィリピン住民以外にも非武装の日本人が大変世話になった(GHQ統治下でゲーム感覚で射殺される)。
銃の意匠が他の自動拳銃に影響与える程優れてる。
ドイツ系の長銃身型(ルガー08、モーゼルC98、ワルサーP38、南部式)より主流になってるのが証拠。