(画像はコルトM1892 wikipediaより転載)
コルトM1889
性能
全長 - mm
重量 - g
口径 38、41口径
使用弾薬 38口径ロングコルト弾、41口径ロングコルト弾
装弾数 6発
完成 1889年
設計・開発 ウィリアム・メイソン カール・J・エーベッツ / コルト社
スイングアウト式リボルバーの完成
ハンマーを起こすとシリンダーが回転して連続して射撃することができる。サミュエル・コルトが発明したリボルバーの構造は画期的なものであった。これはコルトの死後、さらに改良されてダブルアクション(DA)となっていく。DAによりトリガーを引くだけで弾丸を発射できるようになり連射することができるようになっていった。これが現在まで続くリボルバーの最終的な進化形であると言って良い。現在でもリボルバーはDAが主流である。
しかしリボルバーには重大な問題があった。それは再装填である。護身用などでは再装填する必要はほとんどないが、戦争などでは全弾撃ち尽くしたのちの再装填は重要である。コルト社の最高傑作であるSAA(シングルアクションアーミー)などは再装填は右側シリンダー後部にあるローディングゲートから1個ずつ空薬莢を排出、そして1発ずつ再装填を行わなければならなかった。
これに対してS&W社のリボルバーはトップブレイク方式という銃身とシリンダーが蝶番のようなもので固定されており、バレルを「折る」ことによってバレルと一緒にシリンダーが露出、そこから再装填が行えるようになっていった。これはローディングゲートからの再装填に比べてはるかに早く再装填が行えるメカニズムではあった。
M1889が完成
だが、この構造ではフレームが上部のロックによって固定されているだけなので強度的には弱く、45口径ロングコルト弾のような強力なカートリッジを使用することができなかった。そこで開発されたのがスイングアウト方式である。この方式はソリッドフレームに固定されているシリンダーをアームによってフレーム側面に90°左右(基本的には左)に展開することによって再装填を容易にするというものであった。この方式のメリットはフレームの強度を保ったまま容易に再装填ができるということである。
現在では主流のスイングアウト式であるが、これはSAAの設計者ウィリアム・メイソンによって考案された。彼は1880年頃からこのスイングアウト式の研究を行っていたようで、1889年、銃器設計者カール・J・エーベッツと共にコルト社初のスイングアウト式リボルバーM1889を完成させた。
このスイングアウト方式を取りいれたリボルバーは、38口径と41口径モデルがあり、バレル長は3、4.5、6インチの3種類があった。表面処理は基本的にブルー処理であったが、一部民間モデルにはニッケルメッキモデルも存在、グリップはクルミ材を使用した木製グリップであった。現在の一般的なリボルバーと同様にエジェクターロッドで全弾を一度に排出することができる。
外観はSAAを彷彿とさせる先端に行くにしたがって徐々に細くなっていくテーパードバレル、銃身下部にはエジェクターロッドハウジングの無いむき出しのエジェクターロッドがある。シリンダーは初期のモデルにはシリンダーストップノッチがなく、重量軽減のためのフルートが5本彫ってある。シリンダーロックは後方にスライドすると解放されるタイプでこれ以降、コルト社のリボルバーの基本的な形となった。
外観と構造
グリップは現在でいうサービスタイプでフレームのグリップ部と同型のグリップが装着されている。グリップは前述の木製グリップの他に硬質ゴムグリップ、パールグリップ等があった。フロントサイトは半月形でリアサイトはSAAと同様、溝である。照準を妨げないようにハンマーは低めに設定されている。
画期的なこの銃には米海軍にも注目、2,000挺の契約を結び、結局、1889年から1890年にかけて5,000挺を購入した。この海軍が購入したモデルは銃身長6インチ、グリップは硬質ゴムでブルー処理がされている。
シリンダーはそれまでのコルト社の銃とは異なり反時計回りに設計されており、シリンダーストップノッチは側面にはなくシリンダー後方に位置している。右側面に分解用のプレート、左側面にシリンダーロックが設置されている。このような仕様のためシリンダーが回転するとその力がシリンダーロックに作用してシリンダーの位置が銃身と一致しなくなってしまうという構造上の欠陥があった。
このため海軍が購入したモデルは1895年に5,000挺中4,637挺をコルト社に返送、これらの不具合を改良させている。それでも1889年から生産が終了する1894年までに31,000挺が製造された。その後、コルト社はこのM1889をベースに改良を続け、改良型のM1892は米陸軍に制式採用、1911年にコルトM1911が制式採用されるまで米軍のサイドアームであり続けた。
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