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(画像はwikipediaより転載)

 

要約

 1855サイドハンマーはエリシア・K・ルートが設計、1855年にコルト社が発売したリボルバーである。全長203mm、重量482g、装弾数5発で口径は28口径または31口径、最大の特徴はソリッド型フレームを採用したことと側面にある巨大なハンマーである。これによりフレームの強度は上がったがサイドハンマー方式は短期間で製造が終了したことからも機構的に未熟であったことが分かる。総生産数44,000挺。

 

コルト1855サイドハンマー

 

 

性能

全長 203mm
重量 482g
口径 28口径または31口径
使用弾薬 -
装弾数 5発
完成 1855年
総生産数 28口径モデル約30,000、31口径モデル14,000挺
設計・開発 エリシア・K・ルート / コルト社

 

概要

 この銃は外観からみても分かるように、これまでのコルトリボルバーのデザインを大きく逸脱している。これは当然でこの銃の設計者はサミュエル・コルトではなくコルトの友人である銃器デザイナー、エリシア・K・ルートがデザインしたものだからだ。設計者の名前に因んでルートリボルバーとも呼ばれる本銃の最大の特徴は側面にある巨大なハンマーである。このハンマーに因んで1855サイドハンマーと呼ばれるが、構造上ハンマーを内蔵していないだけで雷管を打つ「ハンマー」はもちろん中央にある。

 標準モデルは、全長203mm、重量482g、銃身長は3.5インチ、口径は28口径と31口径で装弾数は5発、トリガーはM1836パターソンモデルと同様の内蔵式でハンマーをコックすると飛び出すようになっている。内蔵式トリガー仕様であることや当時の軍用拳銃の口径が36〜44口径程度であったのであくまでも護身用のハンドガンと考えた方がいいだろう。

 このサイドハンマーの特徴としてはクリーピングローディングレバーを採用したこと、さらにこれまでのコルトのリボルバーがシリンダー上部が露出しているオープントップ型(シリンダーの上部にフレームがないタイプ)だったのに対してフレーム内にシリンダーが内蔵されているソリッドフレームを採用したことである。

 サイドハンマーという独特の形状にした理由は不明であるが、ソリッドフレームにしたことで構造上変更する必要があったか設計者が異っていただけなのかのどちらかであろう。但しあまり評判は良くなく同目的のリボルバーであるM1849ベビードラグーンに比べて短期間で製造が終了した。

 1855サンドハンマーは1855年に生産を開始、モデル1、モデル1A、モデル2と続き、1860年に25,000挺で生産を終了した。さらにシリンダーにフルート(溝)を入れて軽量化したモデル3が引き続き生産されている。モデル3A以降が31口径モデルでモデル7までのバリエーションがある。モデル1から4までがオクタゴンバレル(八角形バレル)、5以降が丸型バレルである。銃身長は基本的に3.5インチであるが、モデル5A、6A、7Aのみ4.5インチバレル仕様である。1870年までに全シリーズ合計約44,000挺が製造された。

 

 

ローディングレバーとは

 ローディングレバーとはパーカッション式の銃に玉を装填する時に火薬と玉を「押し込む」ためのものである。当時はまだカートリッジが一般的ではなくパーカッション式で銃本体に火薬と弾丸を詰め込んで発射する形式のものであった。この時に火薬と弾丸を詰め込むためのレバーが銃身下部に装着されているこれがローディングレバーである。これによって射手は確実に装填を行うことができるが、この手順というのは結構複雑かつ時間がかかるので戦場で戦闘中に行うのは困難であっただろう。未だサーベルや銃剣が威力を発揮していた時代である。

 初期のローディングレバーはバレル下部のローディングレバー基部を中心に回転する単純な構造であった。このため射撃の衝撃でローディングレバーが下がってしまうという問題が発生してしまうこととなった。ローディングレバーが下がってしまうと下がったローディングレバーがシリンダーを固定、射撃不能となってしまう。

 この対策としてM1855からはローディングレバーの基部にカムを追加、これによって射撃時の衝撃でもローディングレバーが下がらないようになった。この機構を持ったローディングレバーをクリーピングローディングレバーと呼んでいる。一般的にはM1860アーミーが最初と言われているが、実はM1855サイドハンマーで採用したのが最初である。

 

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