01_Vanguard
(以下画像はwikipediaより転載)

 

要約

 ヴァンガードは英海軍最後の戦艦である。戦時急造戦艦であるため主砲は空母へと改装された戦艦のもの、機関は建造中止されたライオン級のものを転用している。しかし第二次世界大戦での戦訓を設計に取り入れて設計変更したために建造に時間がかかり完成したのは第二次世界大戦後であった。主砲は38.1cm砲で最高速度は30ノットを発揮する。バランスのとれた戦艦であったが活躍の機会はなくNATO海軍部隊旗艦等を歴任して1960年に除籍、解体された。

 

戦艦 バンガード

 

 

性能

 基準排水量 44,500トン
 全長 248.3m
 全幅 32.8m
 機関出力 130,000馬力
 最大速力 30ノット
 航続距離 6,660海里 / 12ノット
 乗員 1,590名
 武装 42口径38.1cm砲連装4基
    50口径13.3cm連装両用砲8基
    40mm6連装機銃10基
    40mm連装機銃2基
    40mm単装機銃11基
 装甲 舷側356mm、甲板152mm、砲塔324mm、司令塔 - mm
 就役 1946年4月25日
 同型艦 1隻

 

開発前史

 第二次世界大戦直前に英海軍は40.6cm砲を搭載したライオン級戦艦の建造を計画していたが、大戦勃発により既存艦の修理や小型艦艇の建造を優先したためにライオン級の建造は中止された。このためドイツ海軍が建造中の38.1cm砲を搭載したビスマルク級戦艦に対抗できる戦艦はネルソン級戦艦またはキング・ジョージ5世級戦艦だけになってしまった。

 しかしこれらの戦艦もネルソン級は火力こそ40.6cm砲とビスマルク級を上回っていたが速力は遅く、逆にキング・ジョージ5世級戦艦は速力では申し分なかったが主砲が35.6cm砲と物足りないものであった。

 さらには日本が複数隻の40.6cm砲搭載型の40,000トン級戦艦を建造中であることやビスマルク追撃戦においてビスマルクに撃沈された戦艦フッドの代艦の必要性から早急に新造戦艦の建造が求められていた。

 

開発

 戦艦ヴァンガードは戦時急造戦艦であったため主砲は空母に改装された戦艦カレイジャス、グローリアスが改装前まで搭載していた38.1cm砲を転用、機関はライオン級戦艦に搭載予定であったものを転用して建造が行われた。当初は1944年末の完成を目標としていたが、第二次世界大戦中に明らかとなった様々な戦訓を取り入れようとしたので設計変更が行われた。

 このためヴァンガードは起工が1941年10月2日であったが、進水は1944年10月30日で竣工は第二次世界大戦終結後の1946年4月25日であった。戦時急造であるはずが完成までに4年半かかってしまったことになる。完成したヴァンガードは基準排水量44,500トンで全長248.3m、全幅32.8mと新造戦艦としては最大のトン数を誇り最高速度も30ノットを発揮する高速戦艦となった。

 船体は凌波性を高めるために艦首形状を反り返りを強くしており、英海軍伝統の箱型の艦橋には9.2m測距儀とMk37対空射撃指揮装置が設置され艦橋の背後のマストにはレーダーアンテナも設置された。煙突は2本で当初の計画では水上機が搭載される予定であったが1941年に中止された。

 

兵装

 主砲は45口径38.1cm砲連装4基で前部に2基、後部に2基のスタンダードな配置である。因みにこの主砲は艦首の2基は空母グローリアスの主砲、艦尾2基がカレイジャスの主砲であった。主砲自体は第一次世界大戦時に建造された大型巡洋艦が搭載した旧式砲ではあったが砲塔の装甲強化、仰角の引き上げが行われている。

 この改良型主砲はMark1/N RP12と呼ばれ仰角は最大30°で最大射程距離33,380m、射程19,840mで305mmの装甲、29,720mで152mmの装甲を貫通することができる。口径では38.1cmと40.6cm砲には劣るものの性能面に関してはかなり近づいている。

 副砲は13.3cm連装砲で両舷に2基ずつ8基、最大仰角は70°で最大射程は45°で21,397mであるが砲弾装填が人力であった上に旋回速度や砲身の上下速度が遅く対空戦闘用としては今ひとつであった。対空兵器としてはボフォース社製の40mm機関砲も合計で75門装備されている。

 

防御装甲

 防御装甲は舷側最大356mm、甲板152mm、主砲324mmと重装甲であるが舷側装甲は垂直装甲であり傾斜装甲に比べて防御力は低い。それでも甲板装甲は152mmと強力であった。また建造中にマレー沖海戦で戦艦プリンス・オブ・ウェールズが撃沈された際に水中防御が弱かったことが戦訓として残ったために本艦では水中防御の改善が行われたが根本的な改良は行われなかった。

 

機関

 主機関は前述のようにライオン級から転用されたもので4基4軸で出力130,000馬力、航続力は12ノットで6,660海里、最高速度30ノットを発揮する。

 

戦歴

 竣工は1946年4月25日、就役は5月12日であった。このため実戦で運用されることはなかったが本国艦隊旗艦、NATO海軍部隊の旗艦を歴任した。1960年6月7日に除籍され8月に解体された。

 

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