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(以下画像はwikipediaより転載)

 

要約

 戦艦テネシー級は排水量32,600トン、全長190m、速力21ノットの米国戦艦である。同型艦は2隻で主砲は35.6cm砲を装備、水中防御を強化したのが特徴である。真珠湾攻撃時には2隻とも真珠湾に在泊、両艦ともに被害を受ける。その後修理と近代化改装を受けて太平洋戦線に復帰、上陸支援に活躍する。1946年予備役、1947年退役、1959年に除籍解体された。

 

テネシー級 戦艦

 

 

性能

 基準排水量 32,600トン
 全長 190.35m
 全幅 34.74m
 機関出力 28,900馬力
 最大速力 21ノット
 航続距離 8,000海里 / 10ノット
 乗員 1,084名
 武装 50口径14インチ(35.6cm)砲3連装4基
    51口径12.7cm砲単装14基
    50口径76mm高角砲単装4基
    53.3cm魚雷発射管2基
 装甲 舷側343mm、甲板89mm、砲塔457mm、司令塔406mm
 竣工(1番艦 テネシー) 1920年6月3日
 竣工(2番艦 カリフォルニア) 1921年8月10日
 同型艦 2隻

 

開発前史

 テネシー級は1915年度計画で2隻が議会に承認され建造が開始された。当時の米国ではアルフレッド・マハン少将の理論の影響により戦艦は強力な火力と装甲を持つことが重要とされ索敵能力等は二の次とされていた。

 この理論の下に建造されたのがニューメキシコ級でさらに1916年5月31日のユトランド沖海戦の戦訓を取り入れて改設計された。当時の米国は仮想敵国である日本とともにドイツも同様に仮想敵国としており、ドイツ戦艦の高初速長射程砲の脅威に対抗するために主砲の射距離の延長や防御力の強化が主眼に置かれた。

 

開発

 戦艦テネシー級は1番艦テネシー、2番艦カリフォルニアの2隻でテネシーが1917年5月14日起工、1919年4月30日進水、1920年6月3日就役した。カリフォルニアは1916年10月25日起工、1919年11月20日進水、1921年8月10日就役した。常備排水量は32,600トンで全長190.35m、全幅34.74m、最高速度21ノットを発揮する。

 本級はニューメキシコ級戦艦の改良型で設計はニューメキシコ級に準じている。ニューメキシコ級が1本煙突であったが缶室の分散配置により本級は2本煙突となった。船体は長船首楼型で主砲は50口径14インチ(35.6cm)砲3連装4基、米戦艦の特徴である籠マストの上部には見張所、観測所が設置されている。

 ニューメキシコ級以前の戦艦が戦前に大規模な近代化改装を受けているのに対して本級は大きな改装は受けていない状態で太平洋戦争を迎えた。

 

兵装

 主砲は1918年型50口径35.6cm3連装砲4基で最大仰角15°で21,950mの射程を持つ。射距離14,630mで226mm、18,290mで170mmの装甲を貫通する能力がある。第二次世界大戦劈頭の真珠湾攻撃により両艦ともに損傷を受けるが、その際に修理とともに近代化改装を実施、その際に主砲も1940年型50口径14インチ(35.6cm)砲に換装されている。

 この砲は最大仰角30°で射距離33,650mの射程を持ち、射距離13,716mで416mm、18,288mで286mmの装甲を貫通する能力を持つ。副砲は51口径12.7cm速射砲14基、高角砲は50口径76mm高角砲が搭載されている。

 

防御装甲

 装甲は舷側343mm、甲板89mm、主砲塔457mm、司令塔406mmである。特に水中防御が強化されており、全長の3分の2に及ぶ舷側内に5層で構成された防御隔壁を設置、被雷時の被害を最小限に食い止めるように考慮されていた。

 機関室は船体中央に配置、ボイラーを左右外側に配置することによって艦が攻撃を受けても損害を最小限に食い止めるように設計されていた。

 

機関

 推進機関は電気推進機関を採用、1番艦テネシーにはウェスチングハウス社製推進機関、2番艦カリフォルニアにはジェネラル・エレクトリック(GE)製の推進機関が採用されている。これは推進機関の比較検討する意味があったようだ。

 電気推進機関はそれまでの蒸気機関に比べて燃費が良いというメリットがあったが、反面、メカニズムが複雑になり小型化が困難で製造コストがかさむというデメリットもあった。しかし米国には、ウェスチングハウス社やGEという世界的な電機メーカーがあり、なおかつ製造単価が上がっても採用することが出来る財力があった。

 航続力は10ノットで8,000海里、最高速度は21ノットと同時期の戦艦に比べると英国のR級戦艦が23ノット、日本の長門型戦艦が26.5ノット、前級の伊勢型戦艦にしても23ノットであるため若干低速であるといえる。

 

近代化改装

 真珠湾攻撃の修理と同時に近代化改装が行われた。この改装は前述の主砲の換装の他、バルジの増設、上部構造は完全に作り替えられた。副砲の12.7cm砲、76mm高角砲は38口径12.7cm両用砲に換装雄、エリコン76口径20mm単装機銃43〜60挺、ボフォース56口径40mm4連装対空機関砲10基が増設された上に火器管制システムの大改修が行われた。

 この改修により速力を除けばサウスダコタ級戦艦に匹敵する性能を持つこととなった。

 

 

戦歴

 太平洋戦争開戦時には2隻とも真珠湾に停泊中であった。1941年12月7日の日本海軍の真珠湾攻撃ではテネシーは800kg徹甲弾2発が命中、1発は3番砲塔に命中したもののもう1発は不発であったため小破で済んだ。2週間後には航行可能な状態になっている。

 1942年3月には米本土で近代化改装を実施、修理とともにレーダーの新設、対空兵装の強化が行われた。さらに9月から1943年5月まで副砲、高角砲を撤去、12.7cm両用砲16門に換装するなどの工事が行われた。

 テネシーは1943年8月、アリューシャン列島攻略戦で戦線に復帰、以後、タラワ攻略戦から沖縄攻略戦まで米上陸部隊の支援に当たった。

 これに対してカリフォルニアは魚雷2本、大型爆弾1発が命中、4発の至近弾を受けて大破沈没、死者98名という大損害を受けた。1942年3月にようやく浮揚に成功、その後米本土に回航され1年7ヶ月に及び修理と近代化改装を受けている。1944年6月にはサイパン攻略戦で戦線に復帰、引き続きグアム島攻略、テニアン攻略戦で上陸支援に当たった。

 1944年10月には両艦ともに第77任務部隊に所属、スリガオ海峡海戦に参加に参加している。その後沖縄攻略戦に参加、沿岸砲台や特攻機の攻撃を受けたものの終戦まで活躍した。終戦後1946年に予備役編入、1947年2月14日に両艦ともに退役、1959年に除籍、解体された。

 

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