
(以下画像はwikipediaより転載)
要約
クイーン・エリザベス級は英国海軍の戦艦で1番艦は1915年1月15日に竣工した。排水量27,500トン、全長197m、最大速度25ノット、主砲は42口径38.1cm連装砲4基を装備する。超ド級戦艦を上回る超々弩級戦艦として建造、主砲は計画時には未完成であった38.1cm砲を搭載、燃料を石炭から重油に代えた英国最初の大型艦であった。火力、装甲、速度ともに当時の戦艦の最高水準の性能を誇った。第一次、第二次世界大戦にも参戦、同型艦5隻中4隻が残存した。戦後はすべてスクラップになっている。
クイーン・エリザベス級戦艦
性能(クイーン・エリザベス)
基準排水量 27,500トン
全長 196.8m
全幅 27.6m
機関出力 75,000馬力
最大速力 25ノット
航続距離 7,400海里 / 10ノット
乗員 951名
武装 42口径38.1cm砲連装4基
45口径15.2cm砲単装16基
45口径76mm高角砲単装6基
12.7mm4連装機銃4基
魚雷発射管4基
装甲 舷側330mm、甲板76mm、砲塔330mm、司令塔279mm
搭載機 常用2機、補用1機(1943年頃に廃止)
竣工(1番艦 クイーン・エリザベス) 1915年1月15日
竣工(2番艦 ウォースパイト) 1915年3月19日
竣工(3番艦 バーラム) 1915年10月19日
竣工(4番艦 ヴァリアント) 1916年2月19日
竣工(5番艦 マレーヤ) 1916年2月19日
同型艦 5隻
開発前史
超ド級戦艦の建造でドイツ海軍に大きく差をつけた英海軍であったが、その差をさらに拡大するために超ド級戦艦を上回る超々弩級戦艦の建造を計画した。この計画によって建造されたのがクイーン・エリザベス級戦艦である。
開発
クイーン・エリザベス級戦艦は同型艦が5隻で1番艦クイーン・エリザベスが1912年10月21日起工、1913年10月16日進水、1915年に竣工した。以下、2番艦ウォースパイトは1912年10月31日起工、1913年11月26日進水、1915年3月8日に竣工している。3番艦バーラムは1913年2月24日起工、1914年10月31日進水、1915年10月19日竣工、4番艦ヴァリアントは1913年1月31日起工、1914年11月4日進水、1916年2月19日竣工、5番艦マレーヤは1913年10月20日起工、1915年3月18日進水、1916年2月1日に竣工している。常備排水量は27,500トン、全長196.8m、全幅27.6mであった。
兵装
当時の日、米は超ド級戦艦に35.6cm砲を搭載しており、ドイツ戦艦でも搭載されるのが明白であった。そのためクイーン・エリザベス級にはこれらの主砲を凌駕する38.1cm砲を採用した。38.1cm砲は建造時点では未完成であったが砲が未完成の状態で艦の建造が進められた。これは当時の海軍大臣チャーチルの要請によるもので結果的に38.1cm砲は成功、チャーチルの決断は英海軍にとって良い結果となった。
前代未聞の大口径砲を採用したことによる艦の大型化を防ぐために主砲はそれまでの連装5基から連装4基となり艦首部と艦尾部に2基ずつ振り分ける配置となった。この38.1cm砲は仰角最大20°で最大射程距離が22,850mで射距離13,582mで305mm、18,020mで279mmの装甲を貫通することができる。同時期の日本戦艦扶桑型、さらに後継の伊勢型も舷側装甲は305mmなので、この38.1cm砲で撃ち抜くことが可能である。
射撃指揮装置も2番艦からは自艦と目標艦の距離変化率を求めるドゥマリック計算尺が付いたものが搭載されており射撃精度が向上している(1920年頃に1番艦にも装備された)。さらにこの主砲は1937〜1940年の改修で仰角が30°になり最大射程距離が27,420mに延長された。
副砲は45口径15.2cm単装砲で1番艦は16基、2番艦以降は14基搭載されている。仰角は最大15度で操作は人力である。これらの砲の他にも53.3cm水中魚雷発射管を4門装備している。
機関
機関出力は75,000馬力で航続力は10ノットで4,500海里、最高速度は24ノットを発揮する。それまでの戦艦に比べて高速であるのは、前述のように主砲が大口径化した結果、連装4基となり艦中央部に主砲が設置されなくなったためである。これにより主砲が機関に干渉することがなくなったため機関出力の大幅な向上が図れるようになったのである。
同時に本級では大型艦では初めて重油専焼缶を採用している。重油は石炭に比べて火力が高く、短時間での増速が可能で速度維持も容易であった。さらに石炭に比べて搭載も容易であり機関科の人員の削減もできるというメリットがあった。
装甲は舷側330mm、甲板76mm、砲塔330mm、司令塔279mmと強力であり、本級は火力、速度、防御と三拍子揃った戦艦であった。この戦艦の建造には主砲以外にもチャーチル海相が深くかかわっており、チャーチルの先見性の高さが窺える。
第一次改装
本級はワシントン海軍軍縮条約で多くの戦艦が廃艦になる中、保有が認められており長く英国艦隊の主力戦艦として君臨した。1926年から1927年にかけて第一次改装が行われており、これは水線長5分の4にわたってバルジが装着され水中防御の増強を図っている。これにより速力は24ノットから23ノットに低下したが復元性能は改造前より良くなっている。
兵装面では7.5cm単装高角砲2基を10cm単装高角砲4基に変更、15cm単装砲16基中2基、水中魚雷発射管4基中2基を削減している。艦橋構造物や煙突も改良されている。これらの改装により排水量は27,500トンから31,100トンに増大、ワシントン海軍軍縮条約制限内の3,000トン以内の基準に違反してしまっている。
第二次改装
1937年8月から1941年1月にかけて第二次改装を実施、これはかなり大掛かりなもので檣楼式艦橋構造物、後檣及び後部上部構造を全て撤去して全く新しい艦橋構造と小型三脚マストを設けた。兵装では主砲仰角を20°から30°に引き上げて射程の延長を図り、副砲の15.2cm砲を全て撤去して代わりに45口径11.4cm連装両用砲10基、2ポンド8連装ポムポム砲4基した他多数の機銃を装備して対空砲火能力を向上させている。
煙突両側に大型格納庫を設け、カタパルト1基を配置して水上機4機を搭載している。さらにボイラーの換装により出力は75,000馬力から80,000馬力に増大したが排水量も32,700トンに増大したため速度は23.5ノットと微増しているだけである。
3番艦バーラムは第一次、第二次共に改装は全く行われておらず、5番艦マレーヤは第二次改装のみ行われていない。
戦歴
本級は第一次世界大戦中の1915年から1916年初頭にかけて順次竣工、そのままグランドフリートに編入され第一次世界大戦で活躍した。
第二次世界大戦では現役最古参の戦艦であったが、同型艦全てが戦列に加わり各種作戦に参加している。1番艦クイーン・エリザベスは1941年12月19日に4番艦ヴァリアントと共にアレクサンドリア港内でイタリア軍の人間魚雷の攻撃を受けて大破着底、クイーン・エリザベスは米国で修理、ヴァリアントは南アフリカで修理が行われた。1943年には東洋艦隊に編入、日本軍相手に艦砲射撃等を行っている。
2番艦ウォースパイトは1941年5月Ju87スツーカの爆撃で大破、米国で修理を受ける。その後、東洋艦隊に編入され1943年には地中海艦隊に編入、1944年6月にノルマンディー上陸作戦参加するが帰還途中で触雷してしまう。
3番艦バーラムは地中海大西洋方面で活躍するものの、1941年11月25日にドイツ潜水艦により撃沈されてしまう。
4番艦ヴァリアントはH部隊の一員として各種作戦に参加、地中海艦隊に所属するが、1941年12月には1番艦クイーン・エリザベスと共に人間魚雷の攻撃により大破着底してしまう。1944年に東洋艦隊に編入するが1944年8月セイロン島で修理中に横転、喜望峰経由で本国に回航したが1945年7月に退役した。
5番艦マレーヤは姉妹艦中もっとも損傷を受けなかった艦で主に地中海、大西洋方面で活躍した。1944年には新型爆弾の標的艦となり、そのまま予備役に編入された。姉妹艦5隻中、3番艦以外は第二次世界大戦を生き抜いたが1947年から1948年にかけてスクラップとして処分、売却された。
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とりねこ
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