01_伊吹
(画像は伊吹 以下画像はwikipediaより転載)

 

要約

 鞍馬型は日本帝国海軍の装甲巡洋艦で排水量14,500トン、全長148m、最大速度21ノット、主砲は45口径30.5cm速射連装砲2基を装備する。起工後、艦艇類別が巡洋戦艦に変更された。日露戦争中に起工されたものの戦争はすでに終結していたため様々な試みがなされている。主砲の他に中間砲を装備しているため戦艦と巡洋艦の火力を同時に持つこととなった。第一次世界大戦では南洋諸島の占領、船団護衛に活躍したがワシントン海軍軍縮条約により廃艦となった。

 

鞍馬型 戦艦

 

性能(鞍馬)

 基準排水量 14,500トン
 全長 147.83m
 全幅 23.01m
 機関出力 23,081馬力
 最大速力 21.25ノット
 航続距離  - 海里 / - ノット
 乗員 844名
 武装 45口径30.5cm速射砲連装2基
    45口径20.3cm速射砲連装4基
    50口径12cm砲単装14基
    76mm砲単装4基
    魚雷発射管3基
 装甲 舷側178mm、甲板76mm、砲塔178mm、司令塔203mm
 竣工(1番艦 鞍馬) 1911年2月28日
 竣工(2番艦 生駒) 1909年11月1日
 同型艦 2隻

 

開発前史

 鞍馬型は日露戦争初期に主力戦艦初瀬、八島が触雷して沈没したことを受けて計画された準弩級戦艦である。筑波型の改良型で起工したのは日露戦争末期であった。

 

開発

02_鞍馬
(画像は鞍馬)

 

 鞍馬型は1番艦鞍馬、2番艦伊吹の2隻で鞍馬は1905年8月23日起工、1907年10月21日進水、1911年2月28日に竣工した。伊吹は1907年5月22日起工、1907年11月21日進水、1909年11月1日に竣工した。竣工時の艦艇類別は装甲巡洋艦で排水量14,500トン、全長148m、全幅23mである。

 起工したのが日露戦争の決着がほぼ着いた1905年8月であったため工事を急ぐ必要もなく起工から進水まで2年、進水から竣工まで3年とベリースローリーなペースで建造されている。しかしこの間は単に工員が無気力であった訳ではなく建造中に様々な改良が加えられていたためである。もっとも大きな点は前後のマストに初めて三脚檣を採用したことであった。

 姉妹艦伊吹は起工直前で機関をガスタービンに変更したので起工は2年遅れているものの、竣工は鞍馬よりも1年以上も早い1909年11月に竣工している。

 

火力・装甲・機関

 主砲は30.5cm砲連装2基であるが敷島級が40口径であったのに対して45口径と若干砲身が延長されている。中間砲として当時の装甲巡洋艦が装備する20.3cm速射砲連装4基を装備、両舷に各2基配置した。つまり戦艦1隻と装甲巡洋艦1隻を合わせた火力を持っていた。その他、副砲は12cm単装砲14基、76mm砲4基に魚雷発射管を装備している。

 装甲は舷側178mm、甲板76mm、砲塔178mm、司令塔203mmであり、機関は鞍馬がレシプロ機関2基2軸で出力が23,081馬力、伊吹がタービン機関で出力が計画値で24,000馬力であった。最高速度は鞍馬が21.25ノット、伊吹は計画値では22ノットを発揮する予定であったが実際には鞍馬と大差なかったようだ。

 1番艦鞍馬と2番艦伊吹のエンジンがレシプロ機関とタービン機関で異なっているのは建造中であった薩摩型戦艦2番艦安芸に蒸気タービンを搭載するための実用実験の意味もあった。このため伊吹は鞍馬よりも起工が遅いにも関わらず竣工が1年以上も早くなった。主機関が違うために煙突の形状も異なっており鞍馬の煙突は伊吹に比べて細長い。

 1912年8月28日に艦艇類別に新しく巡洋戦艦が加わると鞍馬型も巡洋戦艦に類別された。

 

 

戦歴

 1909年と1911年に竣工した鞍馬型であったがこの時期にはドレットノート級戦艦、さらにはドレットノート級戦艦並みの火力と最高速度25.5ノットを発揮するインヴィシブル級巡洋戦艦が竣工していたため竣工した瞬間から時代遅れの艦となっていた。

 第一次世界大戦では鞍馬は南洋諸島の占領に参加、伊吹はインド洋で英艦隊と協力して船団護衛に当たった。この時伊吹は一時的に英艦隊の指揮下に入ったことがあり、これは日本の軍艦が英国指揮下に入った唯一の例である。1920年には尼港事件の発生にともない両艦ともにシベリア方面に出動している。

 1922年のワシントン海軍軍縮条約の締結に伴い鞍馬型は廃艦が決定、1923年9月20日に除籍、1924年に鞍馬は神戸製鋼所、伊吹は神戸川崎造船所で解体された。

 

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