戦艦ミズーリ03
(画像はwikipediaより転載)

 

要約

 アイオワ級戦艦は米海軍の戦艦である。排水量45,000トン、全長271mの巨艦で世界最長の戦艦である。最高速度は33ノット、航続距離は15,900海里、主砲は50口径40.6cm3連装3基を装備する。1番艦アイオワは1943年2月22日に竣工、以降4隻が順次竣工した。第二次世界大戦以降は退役と現役復帰を繰り返し朝鮮戦争、ベトナム戦争、レバノン内戦、湾岸戦争まで活躍した。米海軍最強の戦艦であり、1992年に退役するまで活躍した最後の戦艦である。最後はCIWSやトマホーク等のハイテク兵器で武装された究極の戦艦となった。この海の王者は他の戦艦にない強烈な個性を発揮している。

 

 

アイオワ級戦艦

 

性能

基準排水量 45,000トン
最大排水量 59,000トン
全長 270.6m
全幅 33m
機関出力 212,000馬力
最大速度 33ノット
 航続距離 15,900海里 / 17ノット
乗員 1,921名
武装 50口径40.6cm3連装3基
   12.7cm連装砲10基
   40mm機関砲4連装15基
   20mm機関砲単装20基
装甲 舷側30.7cm
   甲板15.2cm
   主砲43.1cm

 同型艦 4隻

 

建造

 1936年、ロンドン海軍軍縮条約を日本は脱退した。これにより英米仏の三か国は条約にあるエスカレータ条項を発動する。この条項は、第二次ロンドン海軍軍縮条約に調印しない国があった場合、諸々の制限を緩和するというもので、これにより戦艦の保有枠も拡大、戦艦自体の制限も排水量35,000トンから45,000トンに、主砲も14インチから16インチに拡大した。英米仏はこの新しい制限内で大型戦艦の建造を始めることになった。時に仮想敵国である日本が大型戦艦を開発しているとみなしていた米国はそれに対抗するための戦艦を計画する。

 計画の排水量は条約の上限ギリギリの45,000トン、全長270m、艦首水面下にはバルパス・バウが設けられ凌波性を高めた。全長は最長になったもののパナマ運河を通過することが考慮された結果、全幅は33mに抑えられたスマートな艦形となっている。主砲は条約の上限である40.5cm(16インチ)3連装砲となっており、前級サウスダコタ級と同じであるが、口径(砲身の長さ)が45口径から50口径に延長され火力が向上している。さらに副砲として12.7cm連装砲を10基、40mm4連装砲を15基装備し高い防空能力を持っている。

 速力は、空母部隊に随伴することを念頭に、主機は4基の蒸気タービンで前級の13万馬力に対して212,000馬力と大幅に強化され、最大速度が33ノットと前級よりも6ノット増加した。

 

同型艦

 1940年6月27日に1番艦アイオワが起工、同年9月16日に2番艦ニュージャージーが起工する。1941年1月6日には3番艦ミズーリ、25日には4番艦ウィスコンシンが順次起工した。1943年2月22日1番艦アイオワが就役、5月23日には2番艦ニュージャージーが就役する。1944年4月16日には4番艦ウィスコンシンが就役、6月11日には3番艦ミズーリが就役した。さらに5番艦、6番艦も計画されたが、5番艦イリノイは1945年8月12日に建造中止、6番艦ケンタッキーは戦後も建造が続けられたが1947年2月に建造中止となった。

 

アイオワ級戦艦の戦歴

 

第二次世界大戦

 1番艦アイオワは当初、ドイツ戦艦テルピッツに対抗するため大西洋に派遣されるが、1944年1月太平洋に転戦、2番艦ニュージャージーと共にクェゼリン、エニウェトク環礁、トラック島、サイパン島、グアム島攻撃に参加した。1944年12月からは4番艦ウィスコンシンが戦列に加わり、フィリピン、台湾、沖縄攻撃に参加した。3番艦ミズーリも1944年2月の硫黄島攻略戦に参加、北海道室蘭攻撃、沖縄攻撃に参加している。

 第二次世界大戦が集結すると1番艦アイオワは1948年9月まで作戦活動に従事、1949年3月24日には予備役となった。2番艦ニュージャージーは1948年6月に予備役。4番艦ウィスコンシンも1948年1月1日に予備役に編入され、3番艦ミズーリのみが現役であった。

 

朝鮮戦争

 1950年に行った朝鮮戦争が始まると全艦が戦列に加わり艦砲射撃を行った。朝鮮戦争後もしばらくは現役であったが、1番艦アイオワは1958年2月に予備役編入、2番艦ニュージャージーは1957年8月、3番艦ミズーリは1955年2月、4番艦ウィスコンシンも1958年4月には予備役に編入され、同型艦は全艦第一線から姿を消した。

 

ベトナム戦争

 1968年、ベトナム戦争が激しくなるとアイオワ級戦艦は2番艦ニュージャージーのみが現役に復帰、半年間に亘ってベトナムに艦砲射撃を行ったが、1969年12月再び予備役に編入となる。

 

600隻艦隊構想

 ベトナム戦争後、縮小していた米海軍であったが、1981年、ソビエト連邦海軍の膨張に脅威を感じた結果、優位を確保すべく海上戦力の大再編を行った。この結果、アイオワ級は4隻とも現役に復帰することとなる。

 1番艦アイオワは1984年4月、2番艦ニュージャージーは1982年12月、3番艦ミズーリは1986年5月、4番艦ウィスコンシンは1988年10月に現役に復帰した。この際、アイオワ級は近代化改修が行われ、ハープーン対艦ミサイル、巡航ミサイルトマホーク、CIWS等が新たに装備された。

 2番艦ニュージャージーは、近代化改修後、レバノン内戦に参加、主砲による艦砲射撃を行ったが、1990年代始めにソビエト連邦が崩壊したため軍事予算の削減が行われたため1番艦アイオワは1990年10月、2番艦ニュージャージーは1991年2月に予備役に編入される。

 

湾岸戦争・退役

 1991年1月、湾岸戦争が始まると未だ現役にあった3番艦ミズーリと4番艦ウィスコンシンはペルシャ湾に展開、イラク軍陣地にトマホークと主砲による攻撃を行った。これがアイオワ級の最後の戦闘であった。

 湾岸戦争後の1991年9月、4番艦ウィスコンシンが予備役編入、1992年3月3番艦ミズーリが退役した。これによりアイオワ級全艦が現役を離れた。現在は4艦共に博物館として公開されている。

 

 

まとめ

 

 日本人だとどうしても戦艦といえば「戦艦大和」となってしまう。しかし合理性の国、アメリカで開発された戦艦というのは興味をそそる。その合理性の国が最後まで戦艦を運用した国だというのも面白い。戦艦という古武士が近代装備の鎧を纏った姿も魅力的である。アイオワ級の魅力は尽きない。

 

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