01_Colorado
(以下画像はwikipediaより転載)

 

要約

 コロラド級は1923年8月30日に竣工した米海軍の戦艦で日本の長門型戦艦に対抗して建造された戦艦である。3隻が建造されており、排水量32,600トン、最高速度は21ノット、主砲は長門型と同じ40.6cm砲を搭載する。真珠湾攻撃では2隻が被害に遭うが第二次世界大戦後半には改装が完了、島嶼攻略に活躍した。沿岸射撃や特攻機による攻撃で損害を受けたが終戦まで撃沈されることはなかった。戦後3隻ともスクラップとして売却された。

 

コロラド級 戦艦

 

 

性能(新造時)

 基準排水量 32,600トン
 全長 190.2m
 全幅 29.7m
 機関出力 28,900馬力
 最大速力 21ノット
 航続距離 8,000海里 / 10ノット
 乗員 1,084名
 武装 45口径16インチ(40.6cm)砲連装4基
    51口径12.7cm砲単装12基(メリーランドは14基)
    50口径76mm高角砲単装4基
    53.3cm魚雷発射管2基
 装甲 舷側343mm、甲板89mm、砲塔457mm、司令塔406mm
 就役(1番艦 コロラド) 1923年8月30日
 就役(2番艦 メリーランド) 1921年7月21日
 就役(3番艦 ウェストバージニア) 1923年12月1日
 同型艦 3隻

 

開発前史

 41cm砲搭載の戦艦長門型建造の情報を掴んだ米海軍は対抗するために建造中であった新型戦艦に急遽16インチ(40.6cm)砲を搭載することに決定した。これがコロラド級である。4隻を建造する計画で1917年に1番艦メリーランドが起工した。

 しかし1922年のワシントン海軍軍縮会議が開催されるとコロラド級の内、竣工している戦艦メリーランド以外の3隻は未成艦として廃棄処分の対象となった。ところが日本海軍が未成艦と認定された長門型戦艦2番艦の戦艦陸奥の保有を主張したため議会は紛糾した。

 結局、日本の戦艦陸奥の保有を認める代わりに英米にそれぞれ陸奥と同じ40.6cm砲搭載の戦艦2隻を建造することで合意する。この合意に従って米国はコロラド級戦艦1番艦コロラド、4番艦ウェストバージニアの建造を再開、3番艦ワシントンは標的艦として沈没している。

 

開発

 本級は同型艦3隻で2番艦メリーランドが1917年4月24日に起工、1920年3月20日進水、1921年7月21日就役、1番艦コロラドが1919年5月29日起工、1921年3月22日進水、3番艦ワシントンは1919年6月30日起工、1921年9月1日進水、4番艦ウェストバージニアが1920年4月12日起工、1921年11月17日進水している。

 この時点でワシントン会議が開催、前述の合意の結果、1番艦コロラド、ウェストバージニアを保有することが決定、コロラドが1923年8月30日、ウェストバージニアが1923年12月1日に就役している。

 3番艦ワシントンは工事進捗率80%で建造中止となり、標的艦として1924年11月25日に沈没した。この際に14インチ砲での砲撃や航空爆弾、航空魚雷での試験が行われた。この結果、航空爆弾や航空魚雷での攻撃の効果は損傷は軽微、14インチ砲での砲撃でも1回目の砲撃では14発命中しても装甲を貫通したのは1発のみ、2度目の砲撃で同じく14インチ砲14発が命中したことにより浸水して沈没した。

 コロラド級は排水量32,600トン、全長190.2m、全幅29.7mであった。テネシー級戦艦の改良型として設計されているため艦形や上部構造は酷似している。しかし前述のように主砲を当初の35.6cm3連装砲に代わり40.6cm連装砲が搭載されている。

 

兵装

 前述のように主砲は35.6cm砲3連装が搭載される予定であったが日本の戦艦長門の41cm砲に対抗するために40.6cm砲に設計変更した。このために砲塔も3連装から連装4基に変更されている。仰角は最大30°で最大仰角で砲弾を発射した場合の射距離は31,360m、射距離14,630mで376mm、射距離18,290mで292mmの装甲を貫通できる性能を持っている。

 これは第二次世界大戦中に1938年型45口径40.6cm砲に更新されており、この砲は最大仰角が同じく30°で最大仰角で発射した場合の射距離は31,910mと前砲とあまり変わらないが、射距離15,360mで装甲457mm、射距離22,400mで356mmの装甲を貫通することが可能であった。

 副砲は51口径12.7cm速射単装砲14基(メリーランドのみ他は12基)で最大仰角15°で射程14,490mの性能を持つ。さらに50口径76mm高角砲単装4基、53.3cm魚雷発射管2基を装備している。

 

防御装甲、機関

 装甲は舷側343mm、甲板89mm、主砲塔457mm、司令塔406mmである。全体防御形式で水線下は多層水雷防御を採用している。主機関は最大出力28,900馬力で最高速度は21ノット、15ノットで12,400海里の航続力がある。

 

ビッグセブン比較

 本級3隻、英国のネルソン級戦艦2隻、日本の長門型戦艦2隻は当時、世界で7隻のみ40.6cm砲を搭載した戦艦でビッグセブンと呼ばれていた(長門型は41cm砲)。このビッグセブンを比較すると主砲の口径はほぼ同じで砲数がコロラド級と長門型が連装4基で8門、ネルソン級が3連装3基で9門となっている。火力はネルソン級がわずかに優っている。

 装甲は舷側装甲がコロラド級が343mm、長門型が305mm、ネルソン級が356mmとネルソン級が最も装甲厚を持っており、長門型が一番装甲が薄い。しかし長門型も傾斜装甲を採用しているため単純に装甲厚のみでは判断できない。

 最高速度はコロラド級が21ノット、長門型が26.5ノット、ネルソン級が23ノットと長門型がダントツである。これは機関出力の違いでコロラド級の主機関が28,900馬力、ネルソン級が45,000馬力であるのに対して長門型は80,000馬力と圧倒している。当時長門型はあまりに高速であったため実際の速度を過小に公表していたほどだ。なぜ過小に公表したのかは謎である。

 ビッグセブンを比較すると全体的には火力、装甲がほぼ互角、速度においては長門型が圧倒していることになる。但し数の上では日本の2隻に対して米国が3隻、英国は2隻であるため当然隻数では日本が不利になる。余談ではあるが、仮に日本が長門型2番艦陸奥の保有にこだわらなければ40.6cm砲搭載戦艦は日本の長門、米国のメリーランドのみであったので同クラスの対英米保有比率は100%と数的には互角であっただけでなくスペック的には長門型がコロラド級を上回っていた。

 だが日本は陸奥1隻の保有と引き換えに英米それぞれに2隻の同クラスの戦艦の建造を認めたために対英米比率は40%にまで減少している。陸奥保有は日本の最悪手であったといえる。

 

 

戦歴

 太平洋戦争開戦時の真珠湾攻撃では真珠湾に2番艦メリーランド、4番艦ウェストバージニアが停泊しており、メリーランドは800kg爆弾1発、250kg爆弾1発が命中したが損害は軽微であった。ウェストバージニアには800kg爆弾2発が命中したものの不発であったが、魚雷合計5〜9本が命中して大破着底した。

 メリーランドは1942年1月には修復作業が完了、さらに1番艦コロラドと共に大規模な改修工事が行われ籠マストが廃止され檣楼構造に変更、レーダー、対空砲火の増設、舷側バルジの拡大等が行われた。ウェストバージニアは5月17日に浮揚、1943年5月より本土で本格的な修理と大規模な近代化改装が行われた。

 本級で唯一真珠湾に停泊していなかった1番艦コロラドは1942年末より戦線に進出、修理が完了した2番艦メリーランドとともに1943年11月のタラワ島攻略に参加、その後も各種攻略戦に参加している。4番艦ウェストバージニアは1944年7月に修理が完了、9月から太平洋艦隊に復帰した。

 1944年6月のテニアンの戦いでコロラドは沿岸砲台から22発の直撃弾を受け戦線を離脱、本土で修理を行ったが、メリーランドとウェストバージニアは10月にレイテ島に進出して1944年10月25日のスリガオ海峡海戦に参加している。

 1945年4月には3隻とも沖縄攻略戦に参加、特攻機の突入により損害を受けつつも撃沈されることなく終戦を迎えた。戦後は1947年に予備役編入、1959年に3隻とも除籍されスクラップとして売却された。

 

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