(画像はwikipediaより転載)
カノーパス級戦艦は日清戦争に勝利し、新たな脅威となった日本に対抗するために建造された戦艦である。合計6隻建造され、建造後は多くが中国基地に配属された。しかし日英同盟の締結により日本の脅威がなくなると順次帰還していく。
戦艦カノーパス級 〜概要〜
性能
通常排水量 13,150トン
最大排水量 -トン
全長 128.5m
全幅 22.6m
吃水 8m
機関出力 13,500馬力
最大速力 18ノット
航続距離 5,320海里/10ノット
乗員 682名
武装 35口径30.5cm砲連装2基
40口径15.2cm砲単装12基
7.6cm砲単装10基
4.7cm砲単装6基
4.5cm水中発射管4門
装甲 舷側 15.2cm
甲板 5.1cm
主砲 20.3cm
同型艦 6隻
特徴
本級は、日清戦争に勝利し実力を付け始めた日本に対抗するために建造された戦艦である。1899年から1902年にかけて竣工し極東方面に配備された他、本国艦隊、地中海艦隊、大西洋艦隊、海峡艦隊に配備された。
あくまでも日本戦艦を主眼においたため、日本戦艦が比較的軽装甲であったことから防御装甲は軽減され速力の強化が図られた。装甲には最新のクルップ鋼を使用、装甲厚を減少させ防御力を高めることに成功している。
エンジンはレシプロ機関であるが水管缶を採用したことにより前級であるマジェスティック級戦艦よりも10%以上出力が増強された。前級よりも1ノット速力で優っている。
同型艦
カノーパス(起工1897年1月、竣工1897年10月)
オーシャン(起工1897年12月、竣工1900年2月)
ゴライアス(起工1897年1月、竣工1900年3月)
グローリー(起工1896年12月、竣工1900年10月)
アルビオン(起工1896年12月、竣工1901年6月)
ヴェンジャンス(起工1898年8月、竣工1902年4月)
戦艦カノーパス級の活躍
1番艦カノーパス
(画像はwikipediaより転載)
1番艦カノーパスは就役すると地中海艦隊に配属される。その後、1905年には東アジアに配属されるが、日英同盟の締結により日本の脅威が無くなると、大西洋艦隊、海峡艦隊、本国艦隊等に配属された。
第一次世界大戦が始まると南米に派遣されフォークランドの戦いを始め、いくつかの戦闘に参加した。1915年初頭には地中海に派遣され、オスマン帝国の沿岸要塞への攻撃に参加している。その後カノーパスは1916年4月に退役、1918年には宿泊船に改造されたが1920年には解体された。
2番艦オーシャン
(画像はwikipediaより転載)
オーシャンは1900年2月に就役すると地中海艦隊に配属。1901年1月には中国基地に配属された後、1905年に海峡艦隊に所属する。予備役に編入された後、1908年から1910年まで再度地中海艦隊に配属される。1910年からは本国艦隊に所属。第一次世界大戦が始まると東インド諸島基地に配属され船団護衛に活躍した。1914年にはエジプトに派遣されスエズ運河防衛に従事する。1915年3月にはオスマン帝国の要塞攻撃に参加するが機雷に触雷して沈没した。
3番艦ゴライアス
(画像はwikipediaより転載)
ゴライアスは1900年3月に就役するとそのまま中国基地に配属された。1903年地中海艦隊所属、1906年海峡艦隊所属、1907年本国艦隊に所属。数度地中海に派遣された後、1909年には予備役に編入される。第一次世界大戦が始まると現役に復帰し、船団護衛、上陸支援等に活躍したが、1915年5月にオスマン帝国の駆逐艦の攻撃により撃沈された。
4番艦グローリー
(画像はwikipediaより転載)
グローリーは1900年11月に就役、1901年から1905年まで中国基地に配属された。1905年後半にはイギリスに戻り海峡艦隊、本国艦隊に所属する。1907年の階層の後、地中海艦隊に所属、1909年4月予備役に編入。1914年に第一次世界大戦が始まると現役に復帰した。
第一次世界大戦では北米、西インド諸島の基地に配属され艦隊旗艦を務めた。1915年6月には再び地中海艦隊に所属、各種戦闘、支援業務に参加する。1919年退役。1920年に名称をクレセントに変更され、1922年に解体された。
5番艦アルビオン
(画像はwikipediaより転載)
アルビオンはテムズ鉄工所で1896年6月に進水するが、この時にアルビオンが起こした波により34人が死亡する事故が発生する。アルビオンはカノーパス級の戦艦の中で最も初期に起工した艦の一つであったが、機械の納入の遅れ、さらには装備機器の欠陥のために竣工は1902年と遅れてしまった。
1901年6月に竣工するとそのまま香港に派遣され中国基地の旗艦となった。しばらくは中国基地で活動を続けたが、1905年日英同盟の締結により本国に帰還。海峡艦隊に所属するが、戦艦ダンカンと衝突事故を起こすが、幸い損害はなかった。。1906年4月にはオーバーホールを受ける。1907年にはポーツマスの本国艦隊に所属する。
第一次世界大戦が始まるとアルビオンは各種作戦に参加、1915年にはオスマン帝国の海岸砲台の砲撃により損傷、マルタ島で修理を受ける。その後も船団護衛等に活躍した。1918年10月退役、1919年8月宿泊艦となり、1920年1月に解体された。
6番艦ヴェンジャンス
(画像はwikipediaより転載)
1902年4月に就役すると中国基地に配備される。日英同盟の締結により日本の脅威がなくなるとヨーロッパに戻る。1905年より改装を受ける。1906年より1908年まで海峡艦隊に所属。その後本国艦隊に異動、練習艦として活躍する。第一次世界大戦が勃発するとヴェンジャンスは海峡艦隊に所属し上陸支援等に活躍する。第一線での任務は少なく、主に警備官、支援艦として活躍する。1915年1月オスマン帝国の要塞攻撃に参加、その後も各種支援攻撃に参加する。1915年7月機関不具合のため一時退役、修理が行われた後、1915年より再び各種支援戦闘を行う。1917年2月退役、1922年スクラップとして解体された。
まとめ
カノーパス級戦艦は日清戦争で勝利した日本に対する警戒から建造された対日戦艦といえるものであった。そのため日本へ売却した敷島級戦艦の特性を設計に反映していた。しかし日英同盟の締結によりその任を解かれ、第一次世界大戦では二線級の戦艦として各種活動に従事した。逆に考えれば条約一つが戦艦6隻分以上の効力を発揮したといえる。
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