海上護衛戦 (角川文庫) 大井 篤 著 角川文庫 2014/5/24 大井篤『海上護衛戦』 良書中の良書 日本軍が補給を軽視していたというのはよく言われることである。本書は海上護衛総司令部の参謀として太平洋戦争に参加した著者が「海上護衛」という観点から太 ...
カテゴリ: 本、作品の感想
【本レビュー】中村文則『銃』、豊田穣『雪風ハ沈マズ』、柳田由紀子『二世兵士激戦の記録』
(画像は駆逐艦雪風 wikipediaより転載) 中村文則『銃』 銃 (河出文庫) 中村 文則 著 河出書房新社; 第18版 (2012/7/5) 主人公西川は偶然銃を手に入れたことにより漠然とした日常が徐々に変化していく。西川は自殺者の遺体のそばに置いてあった銃を持ち帰 ...
【本レビュー】本間猛『予科練の空』−かかる同期の桜ありき
(画像はwikipediaより転載) 「石塚兵曹、敵が射線に入ったら知らせろ。機をすべらす、遅れるな」 「ハイッ!射線に入ったら知らせます」 こちらが海面を這うようにしているので、敵も効率のよい急角度では突っ込んでこれない。後上方の浅い角度に定針しようとし ...
【本レビュー】堀栄三『大本営参謀の情報戦記』敵の動きを読み切ったマッカーサー参謀の情報戦記
情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記 (文春文庫)堀 栄三 著文春文庫 1996/5/10 本書は、「マッカーサーの参謀」と呼ばれた大本営陸軍部の情報参謀の回想記である。しかしこれはただの回想記ではない。著者が情報参謀だったということもあり、情報の入手方 ...
【本レビュー】久山忍『蒼空の航跡』戦争後半担当パイロットの空戦記録
蒼空の航跡―元ゼロ戦パイロットが語る空戦と特攻の記録 (光人社NF文庫) 久山忍 著 潮書房光人新社 (2014/8/31) 元零戦搭乗員今泉利光氏へのインタビューを基に上梓された本。今泉氏は丙飛16期。1943年に訓練が始まり、1944年3月に修了したという実戦部隊に配 ...
【ズバリ言うわよ!】英語と太平洋戦争4冊と何故かつげ義春『無能の人』
(画像はwikipediaより転載) 読書の感想など 大石五雄『英語を禁止せよ―知られざる戦時下の日本とアメリカ』 最近ではもう忘れ去られてしまっている戦時下の「英語禁止」。その経緯を丹念に描いた作品。著者は日本人で同時に米国で長期間生活した経験から日米 ...
【ズバリ言うわよ!】海軍偵察員戦記、数学嫌いの私が読んだ数学入門書など
(画像はwikipediaより転載) 読書の感想4冊 柳谷 晃『一週間はなぜ7日になったのか』 最近、中学高校の数学をもう一度やり直したくなって読んだ一冊。数学が大の苦手だった文系のアタクシ。いきなり教科書を読んでしまうと失神、卒倒してしまうのでまずは数学 ...
【ズバリ言うわよ!】太平洋戦争関係おすすめ本5冊
(画像はwikipediaより転載) おすすめ本5冊 生出寿『勝つ司令部 負ける司令部』 本屋にいったらあったので何となく購入。著者は海軍兵学校74期生の海軍士官。74期なので恐らく実戦は経験していない。本書は日露戦争当時の連合艦隊司令部と太平洋戦争時の連合 ...
【読書感想文】松浪清『命令一下、出で発つは』
(九九式艦爆 画像はwikipediaより転載) 急降下爆撃機とは 急降下爆撃機とは、1930年代に世界各国で研究された新式の爆撃機のことである。これまでの爆撃機の行う爆撃法とは主に水平爆撃で、水平に飛行している爆撃機からそのまま爆弾を投下するものであった。 ...
【おすすめ映画】『タクシードライバー』鏡に映ったもう一人の自分
『タクシードライバー』とは1976年の映画で、監督はマーチン・スコセッシ、主演ロバート・デ・ニーロである。人間の二面性、狂気について描いた映画で好き嫌いはかなり別れる。特に女性には苦手な方が多いようだ。表面的に観ると正義のヒーローが少女を救出しにいった ...
【おすすめ映画】『フルメタルジャケット』人間性を失わせる戦争の狂気
『7.62×51mm・・・Full Metal jacket!』そう叫んだ後、「ゴマ―パイル」は便座に座って、銃口を口に当てて引き金を引いた。この衝撃的なシーンで非常に印象に残っている映画『フルメタルジャケット』。。。久しぶりにどうしても観たくなってしまった。とは言っても19 ...
【本レビュー】米原万里『米原万里の「愛の法則」』
米原万里の「愛の法則」 米原万里 著 集英社 (2007/8/17) 友人に米原万里の本は面白いと薦められたので読んでみた。内容は軽いエッセイだが、米原氏はこの本の出版時にはすでに他界されていたようだ。内容はかなり軽快で面白い。すーっと読めてしまう。「男はサン ...
【本レビュー】陳舜臣・田中芳樹『談論 中国名将の条件』
談論 中国名将の条件 (徳間文庫) 陳舜臣・田中芳樹 著 徳間書店 (2000/10/1) 私が高校生の時、夢中になって読んだ本が、陳舜臣『諸葛孔明』であった。さらに高校時代にアニメ化がスタートした田中芳樹『銀河英雄伝説』と私の人生にかなりの影響を与えた二人の対 ...
【本レビュー】プロに任せて安心! 〜勝間和代『お金は銀行に預けるな』〜
お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書) 勝間和代 著 光文社新書 2007/11/16 著者の勝間和代氏は元公認会計士で外資系金融コンサルタント会社にいたバリバリの人だ。ブログを読むとちょっとした変わり者だということに気が付くのだが、ま ...
【本レビュー】社会に問題提起したけど、実はマーケティングの本 〜三浦展『下流社会』〜
下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)三浦展 著 光文社 2005/9/20 本書はタイトルのインパクトと共に社会に衝撃を与えた。かつては中流というものが存在していたが今後は、上流階級と下流階級に分かれていき、さらにそれらの階層が親から子へと再生産される ...
【本レビュー】This is bushido! 武士古代中世編
(画像はwikipediaより転載) 武士について簡単に説明してみよう。武士とは日本古代末期から近代まで存在した戦闘を生業とする人のことだ。日本は鎌倉時代から江戸時代まで武士の時代が続き、さらに明治政府を構成したのも若い武士たちであった。故に武士という存在は現 ...
【本レビュー】E・H・カー『歴史とは何か』
歴史とは何か (岩波新書) E・H・カー 著 岩波書店 (1962/3/20) 私が学生時代にとある先生と話をしていた際に歴史哲学の話になり、その先生が引用したのが本書だ。意外と有名な人だったようで、もっとも有名な言葉に、 歴史とは過去と現在との間の対話であ ...
【本レビュー】『葉隠』著者は実戦経験ナシ⁉ 〜山本博文『『葉隠』の武士道』〜
『葉隠』の武士道―誤解された「死狂ひ」の思想 (PHP新書) 山本博文 著 PHP新書 2001/12 本書は相当前に読んだことがある。実は読むのは今回が二度目だ。『葉隠』といえば「武士道とは死ぬこととみつけたり」とかなり威勢がいい。しかし山本氏はこの『葉隠』を痛 ...
【本レビュー】佐々木俊尚『レイヤー化する世界』
レイヤー化する世界 佐々木俊尚 著 佐々木俊尚 (2013/6/26) 正直、ぞっとするほどの良書だ。私が最近読んだ本の中で5本の指に入るほどの良書だと思う。IT革命の結果の未来を過去の歴史からみていくという、まさにE・H・カーの主張を地で行くような本だ。視点は非 ...
【本レビュー】池上彰・佐藤優『新・戦争論』
新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 池上彰・佐藤優 著 文藝春秋 (2014/11/20) 情報分析力には定評のある池上氏、佐藤氏の共著。内容は世界の紛争地帯や世界の問題地域、例えば中東、ウクライナ、北朝鮮、尖閣諸島の詳しい分析がある。ここらへんは両氏 ...
【本レビュー】堀江貴文『本音で生きる』
本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方 堀江貴文 著 SBクリエイティブ (2015/12/5) 何も必要ない。必要なのはトライ&エラーを繰り返すことだけ。というのが本書で「ホリエモン」が伝えたいことだ。情報好きの私が一番興味を持ったのは、情報の保存の仕方であ ...
【本レビュー】中島孝志『インテリジェンス読書術』
インテリジェンス読書術 年3000冊読破する私の方法 中島孝志 著 講談社 (2008/4/20) 本書は速読法に関する本。速読というとみんなフォトリーディングのようなものを想像しがちだが、本書は要するに「不要な部分は読み飛ばせ」、自分自身の知識や興味をたくさん持 ...
【本レビュー】鈴木拓也『三十八年戦争と蝦夷政策の転換』
三十八年戦争と蝦夷政策の転換 (東北の古代史) 鈴木拓也 著 吉川弘文館 (2016/6/3) 三十八年戦争って知ってますか?そうそう関東軍が柳条湖で満鉄を爆破して始まった戦争。。。と思いたくなる名前ではあるが、この三十八年戦争というのは超大昔、東北での律令国 ...
【本レビュー】斎藤貴男『安心のファシズム―支配されたがる人びと』
安心のファシズム―支配されたがる人びと 斎藤貴男 著 岩波書店 (2004/7/21) アマゾンのレビューで賛否両論の本だ。最近、プロパガンダ系の本をよく読んでいる。アマゾンでおススメされたので購入してしまった次第だ。正直、あまり面白くない。私としては賛否両論 ...
【本レビュー】清水多吉『武士道の誤解』
武士道の誤解 捏造と歪曲の歴史を斬る 清水多吉 著 日本経済新聞出版 (2016/7/9) タイトルは武士道としているが、基本的に「日本思想史特に近代」という感じだ。武士道に関しては『葉隠』と新渡戸稲造『武士道』(特に『武士道』)の二冊の書物が中心になっている ...
【本レビュー】山田雄司『忍者の歴史』
忍者の歴史 山田雄司 著 角川学芸出版 (2016/4/26) 本書は、タイトルの通り、忍者の歴史について書いたものである。私がこの本を購入したのは、本書の著者が学者だったからだ。忍者やそれに類するものについて書かれているものは多いが、ほとんどが一般人のものだ ...
【本レビュー】磯山友幸『「理」と「情」の狭間』
「理」と「情」の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス 磯山友幸 著 日経BP (2016/3/16) 磯山友幸『「理」と「情」の狭間』について書いてみたい。本書は、ワイドショーを騒がした大塚家具の分裂劇の内側を元記者の著者が比較的客観的に書いたものだ。 ...
【本レビュー】藤木久志『刀狩り』
刀狩り―武器を封印した民衆 藤木久志 著 岩波書店 (2005/8/19) 刀狩り??いつの時代の話だ。と思うかもしれない。いつの時代、そう、刀狩りとはあの有名な秀吉の刀狩りのことである。しかし本書の面白いところは刀狩りを秀吉の刀狩り、廃刀令、戦後の銃刀法規制 ...
【本レビュー】倉前盛通『悪の戦争学』
悪の戦争学―国際政治のもう一つの読み方 倉前 盛通 著 太陽企画出版 (1984/10/1) この人の本はもう3冊目なんだよね。とある本で存在を知り、現場のインテリジェンスオフィサーが参考になったということで購入。最初の『悪の論理』は地政学の本で太平洋戦争から現 ...
【本レビュー】佐藤優『人に強くなる極意』
人に強くなる極意 佐藤優 著 青春出版社 (2013/10/2) 知の巨人と言われている佐藤優氏の経験から導き出された人間関係論とでもいうような本である。佐藤氏は元来キリスト教神学の専門家であり、哲学にも造詣が深い。その知識の蓄積から生まれる佐藤氏の著作は非常 ...




























