佐々木氏の『レイヤー化する世界』があまりにも面白かったので購入。会社や国等の縦の関係に対してそこから逸脱するとい「外へ」という関係でもない横の関係がこれから大きくなっていくというのが大雑把な内容。食品のネット通販や様々なコニュニティーを取材している。著者は料理と食がかなり好きらしく、食品に関係することが中心だ。まあ、食は人間生活の中心なので重要なものではある。
第二次世界大戦でファシズムが台頭したことにより、戦後は体制に反逆することが一つのスタイルになったという。体制に反対というのは国や企業だけではなく、世間の一般大衆からの反逆も意味する。ヒッピー文化等がその最たるものだ。「体制に流されている大衆は愚か」であり、それに反逆している自分達はもちろん騙されてはおらず、真実を知っている。いわばエリートであるという考えを持っている。それを著者は「反逆クール」と名付けた。
確かにこの反逆クールという考えを持っている人は多い(多分私もどこかで持っている)。左翼運動をやっている人の多くはこの考えを持っているように感じる。しかし、そのカッコいいスタイルは真似をされる。そうするとさらにまたスタイルを変えて差別化を図る。しかし消費社会はそのスタイルすらも体制の中に飲み込んでしまうという。この考えは面白いし実感がある。
著者はアウトサイダーでもないし、旧来の縦社会でもない参加者がゆるくつながる「横のつながり」のコニュニティーを取材する。それはシェアハウスや野菜のネット販売、村を作った人々まで広範囲だ。私はあまりコミュニケーションを求める性格ではないので(やたらと求めれるが。。。)、著者とはちょっと考えは違うが、中にはちょっと関わってみたいコニュニティーというのもあった。
著者が家を三か所に持っているというのも面白かった。家を三か所という「金があるからできるんだろ」と思われがちであるが、地方の家賃は安い。三か所の家を持つことによって人間関係は広がり、持ち物は減ったという。私もミニマリストなのでこの生活はかなりいいと思った。確かにワンルームマンションを東京の郊外に一つ、地方に二つ持ったとしても家賃は7〜8万程度で済むかもしれない。これはいずれやってみようと思った。
内容的には私とは少し価値観の違う著者であるが、「反逆クール」という視点の的確さ、拠点を複数持つという考え(正直いうと私は以前から考えてはいた。実行はしていなかったが)、さらに構成員に強制しないコニュニティー等、興味を惹く内容は多く、楽しめた。また、佐々木氏が新刊を出したら買おう。本書は350ページの本だったので読むのにちょっと時間がかかったが。。。
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