哲学って良く分からないですよね。少なくとも私は良く分からないです。正直、20歳位までは要らないと思っていました。私が20歳位の時の哲学のイメージって「ここに物は存在するのか」とか「光の反対は闇なのか」とかいう感じのちょっと浮世離れした清談のイメージがあった。ところが21歳の時、職場で知り合った読書家のおじさんに哲学とは今を見るための道具だよということを教わり哲学への偏見が解けた。
大変重要なものだということはその後の人生で嫌というほど知った。やはり学者でもジャーナリストでも哲学を知っている人の意見は精度が全然違うのだ。私も哲学を勉強しようと思っていろいろな入門書を渉猟してみたが簡単な入門書でも結構分かりにくい、もしくは簡潔過ぎて頭に入らなかった。そんな私がひょんなことから本書を手にした訳ですよ(怪しい表現ですねw)。本書の著者の詳しい経歴は不明だけど、どうも専門的に哲学の研究をした研究者だったらしい。
そしてさらに『グラップラー刃牙』が大好きらしい。内容をパラパラとめくってみるとどうも今までの哲学入門書には「バキ分」が足りないとのこと。本書はその「バキ」分を十分にして書いたもののようだ。内容は驚くほど分かり易い上に面白い。大爆笑するというようなものではないが所々で「クスっ」と笑ってしまうような書き方だ。著者は相当面白い人なんだろうなぁ。『史上最強の哲学入門』は2冊あり、最初の『史上最強の哲学入門』は西洋哲学編、続編は東洋哲学編だ。
最初、西洋哲学編を読んであまりにも面白かったので東洋哲学編も買ってしまった。西洋哲学編はテーマごとに古代から現代までの哲学の流れを分かり易く書いている。このテーマごとというのが本書の一番のポイントだ。西洋哲学は古代から現代まで積み重ねがある。古代から順番に読んでいかなければ現代の哲学は理解できない。
それは映画を途中から観て内容を理解するようなものだ。今までの哲学入門書が分かりにくかったのはこの積み重ねを見なかったからかもしれない。これに対して東洋哲学編は逆だ。一つずつの思想について簡潔に説明していく。これは哲学の違いによるものだ。東洋哲学は計算式のような論理性はない。あくまでも体験を大切にする。体験というのは論理的に説明しても分かるものではないのだ。西洋哲学がシリーズ物のドラマだとすれば東洋哲学は一話完結のスペシャルドラマだ。
著者は、西洋哲学編、東洋哲学編を同じ構成にはしていない。哲学の違いをよく理解しているのだろう。とにかく難解な哲学の概略、全体図が頭に入る本当に良い本だ。世間の評価もかなり高いようで単行本の発行から6〜8年も経っているのに古本の値段が全然下がらない。哲学に興味があってさらに全体像を知りたいという人であれば本書以上の入門書はないと思う。時々例えでアニメのセリフとかがさりげなく出てきたりとか難解な内容を退屈しないで最後まで読める貴重な本だ。
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