著者アメリカ海軍の高級軍人でNATO軍司令官まで上り詰めた人で現代のマハンと言われている人だ。本書は太平洋、大西洋、インド洋、北極海、南シナ海、地中海、カリブ海について過去の歴史から現在、そして今後のリスクやアメリカが取るべき戦略が書いてある。さすがにNATO軍の司令官まで務めた人物だけあって、海軍軍人としての豊富な経験と博識を随所に見ることが出来る。ただ、地政学というよりも海洋戦略を一般向けに語っているという内容と理解した方がいい。
すなわち、地理的条件から戦略を考える地政学というよりも国際政治における海洋の過去現在未来の分析と考える方がいい。つまりはメインはあくまで海洋の歴史なので古典的な地政学とは若干趣を異にすると思う。悪い書き方をしてしまうと、単に海の交流史という見方もできないこともないし、著者の昔の思い出話という見方もできてしまう。海が生きているということは分かるが、理論的なものを知りたいと思ってる人にはちょっと物足りないかもしれない。
しかし、アメリカの世界戦略を知りたいという人にとってはヒントになるかもしれない。だが、著者はアメリカ軍人なので当然といえば当然であるが、手の内を一部しか見せていないので今一つ読み応えのない作品になっている。残念。
今話題の北朝鮮情勢についても意見を書いている。ここらへんは日本人としては気になるところだろう。ただ、内容が世界戦略についてなので、参考になる人は結構、特殊な仕事についている日とだろう。本書は基本的には国際政治・軍事の専門家が読むのが相応しい。
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