映画『風立ちぬ』で有名な零戦設計者堀越二郎の著書『零戦〜その誕生と栄光の記録〜
』を読んだ。堀越二郎といえば零戦、九六式艦上戦闘機、雷電、烈風の設計者として有名であるが、実は著書を読んだことはなかった。ということで今回購入して読んでみたのだ。
(wikipediaより転載)堀越 二郎 堀越 二郎(ほりこし じろう、1903年6月22日 - 1982年1月11日)は、日本の航空技術者。位階は従四位。勲等は勲三等。学位は工学博士(東京大学・1965年)。零戦の設計者として有名。
本書はタイトル通り、零戦に関することのみの内容となっている。本書はまず零戦の「無理な」性能要求が海軍側から出たことから始まる。それに対して堀越氏が苦心の末、海軍の性能要求を上回る高性能機を開発したというのが大まかな内容だ。零戦は伝説的な名機であることは論を待たない。当時の日本の国力から考えればこれ以上の機体を作ることは不可能であっただろう。堀越氏の才能もかなりのものだったと思う。
私が面白かったのは零戦でよく指摘される、軽量化に重点が置かれ過ぎ生産性が悪かったというものがあるが、本書を読むと堀越氏はそれを承知の上で設計したようだ。何故なら当時の日本というのは資源がなく、技術力も欧米に比べて劣っていた。
その中で人的資源だけはあるという状況だったのだ。なので人手はかかったとしても資源を節約することにしたのだ。結果、生産性は犠牲になった。さらに防弾性に関しては当時は戦闘機の防弾というのは概念自体が存在していなかった。当然、零戦にも装備されなかったということだ。
因みに『零戦神話の虚像と真実 零戦は本当に無敵だったのか』の共著者で元航空自衛隊のパイロットでもある渡辺氏も指摘するように戦闘機の防弾版というのはパイロットにとってあまり必要ではないようだ。本書は当然戦後に書かれたものなので当時本当にそう考えていたのかは何とも言えないが、零戦で指摘されている欠点は堀越氏も承知の上だったという。
他の航空機に関してもそうなのだが、海軍の性能要求というのは無茶なものが多かったというのは航空機ファンの間では結構知られている。零戦も速度、格闘戦性能共にトップクラスという無茶な要求であった。本書の構成をざっくり書くと、まず海軍が無茶な性能要求をしたというところから始まり、結局達成したという大きな物語となっている。無茶な性能要求を達成したという堀越氏の自負心が伝わってくる。
無茶な要求によって結局成功してしまったことにより、海軍は無茶な要求をし続けることになってしまうのだが、これは堀越氏の責任ではない。何とも複雑な気分だ。夜間戦闘機月光とかは要求てんこ盛り過ぎて結局、何だか分からない戦闘機になってしまったしね。因みに月光については堀越氏も海軍の性能要求に関して批判的であった。
堀越氏も本書で言及しているが、アメリカという巨大な工業力を持っている国でさえ、戦時には航空機の生産を少数機種に絞って生産していた。これに対し、日本の航空機の生産は多機種を少数作るという、かなり非効率なことをしていた。
少ない国力な上にソフト面での失策が重なったという日本人としては結構悲しい話だ。でもこれって、現在も同じじゃね?と思ってしまった。戦車に関しても74式、90式、10式という三種類の戦車が存在する自衛隊に対して70年代に設計されたM1戦車をバージョンアップして使い続けている米軍。
なんかあまり変わってねーなーというのが結論。文章がまとまってなくて
申し訳ない!
・・・でも書き直さない!(;´・ω・)
|
|
|
コメント