本書は、江戸時代の身分願望について総合的に書いたもの。武士から被差別民まで各階層の身分の上昇意識、努力、逆に上昇意識を意識的に持たなかった者等を実例を挙げながら詳述している。本書の著者は1939年生まれで本書を上梓した時は67歳でありその道の重鎮ということになるだろう。年齢的にも60年安保闘争時には大学生であり、身分制という視点に注目したというのも時代的必然といえなくもない。
それはともかく、江戸時代は身分が完全に固定した社会ではなく、時と場合によっては上昇することも降下することも可能であったようだ。ただ基本的に固定されているため特に上昇のためには多大な労力を必要とした。同時に平等化圧力もあったようでその点についても言及している。
全体的に深い知識と考察の上に成り立っており、江戸時代全体の広い範囲を網羅している。時代を知る上では当時の制度に関する理解は欠かせないものであるが、本書はその点において大変優れている。江戸時代を理解したい方にとって本書は必読の書となるだろう。私も座右に置きたいがもう絶版であった…。
かなりの良書だが、前述のようにもう絶版なので古本屋を回って探すしかないようだ。因みにアマゾンの中古に数点あるようだがお値段もそれなりである。
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