（画像は一式戦闘機隼三型 wikipediaより転載）
要約
中島飛行機は戦後財閥解体により解体されたがのちに主要6社が再統合して富士重工業、スバルとなった。現在でも航空機関係の開発を行っている。三菱重工業も分割されたものの再統合、戦後もF-1戦闘機、F-2戦闘機を始め航空機の設計開発を行っている。川崎航空機は戦後、C-1、C-2輸送機の開発をしている。川西航空機は戦後新明和工業として飛行艇の開発を行っている。愛知航空機は戦後は民需産業へと転向、2012年に日産の子会社となった。九州飛行機は戦後、自動車関係会社となるが2001年に解散した。立川飛行機は不動産会社、日立航空機は建設機器や農業機器の開発メーカーとして存続している。
主な航空機メーカーの戦後
中島飛行機
1917年に創業した航空機メーカーで終戦まで世界有数の航空機メーカーであった。 創業者は元海軍機関大尉中島知久平で中島飛行機から生まれた航空機は一式戦闘機隼、四式戦闘機疾風、夜間戦闘機月光、艦上攻撃機天山、艦上偵察機彩雲等枚挙にいとまがない。終戦直前に第一軍需工場となり実質国営化。終戦後、中島知久平は社長を自任、社名を富士産業株式会社とする。
その後、GHQより財閥会社として解体命令、1950年5月に工場ごとに15社以上に分割された。1952年のサンフランシスコ講和条約が発効すると分割されたうち5社が再統合に動きだす。1955年4月には5社に加えさらに1社が加わり6社が集まって富士重工業株式会社を設立する。
その後、自動車部門はインプレッサやレガシー等数々の名車を生み出し現在に至っており、航空機部門も1958年にはT-1練習機を開発、1978年にはT-3、1987年にはT-5を開発している他、対潜哨戒機P-1や輸送機C-2の製造にも参加、自衛隊や消防、警察のヘリコプターの定期整備も行っている。
2016年に社名を富士重工業からスバルに変更し現在に至っている。このスバルの大きな星の横に小さな星が5個あるロゴは戦後に再統合した際の5社が一社になるということを表したものだ。
三菱重工業
言わずと知れた名機零戦や百式司令部偵察機、九六式陸上攻撃機や一式陸上攻撃機、雷電等を開発したメーカーだ。1950年、三菱重工業も戦後には財閥解体により、それぞれ東日本重工業、西日本重工業、中日本重工業に分割された。さらに1952年には三菱日本重工業（東日本重工業）、三菱造船（西日本重工業）、新三菱重工業（中日本重工業）、に商号を変更している。1964年にはこの3社が再び三菱重工業として合併して現在に至る。戦後もF-1支援戦闘機、F-2戦闘機の開発を行っている。
川崎重工業
川崎重工業は三式戦闘機飛燕等を生み出したメーカーである。1919年、川崎造船所兵庫工場に設立された飛行機科が前身である。1937年飛行機部門が分離、川崎航空機工業となる。終戦により民需産業に転換、1956年には国産初のジェット練習機T-33の製造、1966年にはP-2Jをライセンスを得て国内開発をする。1969年に川崎重工業に吸収合併、現在でもC-1、C-2輸送機、観測ヘリコプターOH-1等の軍用機の開発を行っている。
川西航空機
1920年、日本毛織の創業者川西清兵衛によって操業された航空機メーカーである。飛行艇の開発に強みを発揮、九七式大型飛行艇や二式大型飛行艇、紫電改等の航空機を開発した。終戦直前に第二軍需工廠として国有化された。戦後はGHQの命令で航空機の製造が中止され民需産業への転換を図った。1949年には社名を新明和工業としている。サンフランシスコ条約以降は再び飛行艇を中心に航空機メーカーとして現在に至る。
愛知航空機
九九式艦上爆撃機の開発で有名。1893年に設立された愛知時計製造合資会社の一部門として出発、1943年に愛知航空機として分離された。終戦により民需産業へ転換、1946年には愛知起業株式会社に商号変更、その後、紆余曲折を経て2012年より日産自動車の子会社となっている。
九州飛行機
1830年に創業した渡邉藤吉本店の分工場として1886年に開設された。1904年に軍需産業に参入、1916年に渡邊鉄工所となる。1935年より航空機の製造を開始、1943年に航空機部門を分離して九州飛行機を設立する。九六式小型水上偵察機、零式小型水上偵察機、陸上哨戒機東海、十八試局地戦闘機震電等を開発生産、または生産した。
戦後、工場は米軍に接収されたが、サンフランシスコ講和条約後の1953年に渡辺自動車工業と改名しバス車両の修理、更新を手掛ける。2001年に会社清算を行い解散した。一方、1830年創業の渡邊藤吉本店は建設資材の総合商社、渡辺鉄工所は鉄鋼関連の設計、製作会社として存続、渡辺鉄工所は護衛艦の水上魚雷発射管の設計、製作を行っている。
立川飛行機
立川飛行機は1924年に主に東京石川島造船所の出資により設立された石川島飛行機製造所としてスタートした。1936年に所在地の立川（現在の東京都立川市）から立川飛行機と改称している。中堅軍用機メーカーとして九八式直接協同偵察機や九九式高等練習機、キ77やキ94等を独自に開発、生産した他、一式戦闘機隼の生産を行っていた。
戦後、工場は進駐軍に接収され従業員は解雇された。1947年には一部幹部と技術者が中心となり東京電気自動車を設立、名称をたま電気自動車、たま自動車、プリンス自動車工業と変更しつつ自動車の開発生産を行っていたが経営難や日本政府の政策により1966年に日産自動車へと吸収合併された。現在でも続く名車スカイラインはプリンス自動車が開発した車である。
一方、1949年には立川飛行機出資の第二会社としてタチヒ工業株式会社が誕生、1951年には商号を立飛工業株式会社とした。サンフランシスコ講和条約直後の1952年には国産第一号の軽飛行機であるR-52を開発するが量産には至らなかった。1955年には立飛企業株式会社に改称、航空機から撤退して不動産事業を主力とした。2012年には上場廃止、立飛ホールディングスとなり現在に至る。
日立航空機
1939年に東京瓦斯電気工業が日立製作所へ経営権を譲渡、日立製作所は東京瓦斯電気工業の航空機部門を分離独立させて設立されたのが日立航空機である。主に零式戦闘練習機や九三式中間練習機をはじめとする練習機の製造と小型エンジンの生産を行っていた。
日立航空機で生産されていたエンジンは烈風や震電等に搭載された金星43型や九六式小型水上偵察機、零式小型水上偵察機に搭載されていた天風、桜花22型に搭載されたツ11エンジン等が生産された。
戦後は1949年に第二会社として東京瓦斯電気工業株式会社を設立、エンジン等の生産を行っていたが1953年に富士自動車（富士重工業とは違う）と合併、さらに合併を繰り返したのち2007年にコマツユーティリティ株式会社、ハスクバーナ・ゼノア株式会社となり現在に至っている。両社とも航空機の製造は行っていないがフォークリフトや農業機器等の開発生産を行っている。
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コメント
コメント一覧 (3)
三菱>ハ-40/140用直噴装置製造。
ボッシュがライセンス供与しないので、各社オリジナル。
航空機行政は迷走してたな。
とりねこ
が
しました
練習機メーカーの日立飛行機も忘れないで。
とりねこ
が
しました