01_cz75
(画像はCZ社の伝説CZ75初期型! wikipediaより転載)

 

要約

 Z40は1997年にコルト社が発売したDAピストルである。ダブルアクション(DA)ピストルの実績が少ないコルト社がDAピストルに豊富な実績を持つCZ社に設計を依頼して発売した40S&W弾仕様のピストルでDAO(ダブルアクションオンリー)で全金属製でマニュアルセイフティはない。ポリマーフレームオートに比べて重量が重くセイフティが無いことに対する不信感からあまり売れず、1999年に販売中止となった。その後CZ社がシングルアクション(SA)機能を追加したCZ40として販売している。

 

Z40

 

 

性能

全長 205mm
重量 905g
口径 40口径
使用弾薬 40S&W弾
装弾数 10発
完成 1997年
設計・開発 CZ社 / コルト社

 

コルトとCZ社の業務提携

 1990年代、S&W社はダブルアクション(DA)で40S&W弾を使用する自動拳銃であるM4003等を展開していた。40S&W弾とは1970年代後半に登場した10mm弾を低威力化したカートリッジであまりにも威力が強すぎた10mm弾に対してバランスの取れた良いカートリッジとなった。当時、コルト社は40S&W弾を使用するDAピストルは販売していなかったため、時代に遅れないように40S&W弾を使用するDAハンドガンの開発をしようということになった。

 しかし全く新しいデザインにはコストがかかる上にコルト社はDAメカニズムに対する技術の蓄積はなかった。そこでコルト社は当時、米国で人気のあったCZ75の設計・製造メーカーであるチェコのチェスカ・ゾブロヨフカ(CZ)社に設計を依頼した。CZ社もその当時はソ連が解体して数年しか経っておらず、海外の販路を開拓する余裕がなかったためにコルト社との業務提携を行うこととなった。

 

外観・機構

 

 Z40のDAメカニズムはCZ75系統のDAで、警察官用を想定していたためにDAオンリーであった。ハンマーは露出式であるが、DAオンリーのためにスパーはない。DAオンリーのためトリガーを引き切った際に解除されるオートマチックセイフティがあるのみでマニュアルセイフティはない。作動方式はティルト・バレル・ロッキング・システムである。フレームは軽金属製、スライドはスチール製である。

 CZ社が設計したということもあり、外観はCZ75を彷彿とさせるスライドをフレームが包み込む方式でコルトM1911を意識した直線的なデザインとなっている。トリガーの上部にはスライドストップが存在するが、サムセイフティは存在しない。グリップもM1911を意識した直線的なグリップとなっている。

 1997年に完成、1998年にゾブロヨフカ社のZと40S&W弾の40を合わせてZ40という名称で販売を開始した。因みに当初はコルト2011という名称で販売される予定であったが、2011という名称が使用されていたためにZ40という名称になったということだ。

 しかしZ40は、当時人気を博していたグロック等のポリマーフレームオートに比べて重く、マニュアル・セイフティがなかったことによる安全装置に対する不信感もあり、1999年には販売を中止した。総生産数は1,745丁と言われている。

 あまり人気のなかったZ40であったが、CZ社は販売を継続、2000年から2001年にかけてCZ40という名称で販売した。この際にDAオンリーであったトリガー機構をSA/DAとしてデコッキング機能も搭載している。こちらは比較的評判がよく、総生産数は15,000丁に達した。CZ LE9という9mm弾仕様も発売、さらにコンパクトモデルも発売している。

 

 

無名戦士の墓

 Z40は短命に終わったあまり知られていないピストルである。CZ社のハンドガンのデザインは曲線を巧みに使ったものであるが、Z40はコルト社のM1911を意識した直線で設計されたモデルである。一見、SIG社のM1911クローンにも似ているが、同社のデザインほど洗練されておらず、全体的に「野暮ったく」なってしまっている。

 しかし製造メーカーがCZ社ということを考えるとやはりそこはそこ、伝説のハンドガンCZ75を製作したメーカーである。この野暮ったいデザインもそう考えるとまた別のものに見えて来る。重量もポリマーフレームの銃に比べると重くなってしまうが、905gというのは大型ピストルでは十分に頑張ったといえる。大ヒットした有名な銃の蔭にはこのように1年で生産が終了してしまった銃も多いのだ。

 因みにこのコルトとCZ社の関係は、2021年、CZ社がコルトを買収するというビックリする事態に発展する。90年代当時の力関係からしてみれば考えられないことであるが、それから20年以上経た現在、力関係は変化しているのだ。コルトが販売したZ40はわずか1,745丁しか売れなかったが、CZ社が引き継いだCZ40は15,000丁を販売していることから考えるとCZ社の方がセールスがうまかったのかもしれない。

 

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