(画像はwikipediaより転載)
1871-1872オープントップ
こちらはUberti社のレプリカ
オリジナルの1871-1872オープントップ
性能
全長 330mm
重量 1,190g
口径 44口径
使用弾薬 44口径ヘンリーリムファイア弾
装弾数 6発
完成 1872年
設計・開発 チャールズ・B・リチャーズ ウィリアム・メイソン / コルト社
最後のオープントップ式リボルバー
19世紀後半、銃の主流はパーカッション式から金属カートリッジ式に移りつつあった。しかしコルト社は金属カートリッジを使用するための貫通式シリンダーの特許を持っておらず、S&Wが取得した(正確にはS&Wが独占契約をしている)貫通式シリンダーの特許が切れるのを待つよりほかはなかった。そしてついに1871年、S&Wの特許の延長が米国政府によって却下されるとコルト社も金属カートリッジを使用するリボルバーの生産を開始することになる。
コルト社製金属リボルバーの第一号はハウスリボルバーであるが、それについで発売されたのがこの1871-1872オープントップである。オープントップ式というのはシリンダー上部がフレームより露出しているタイプのリボルバーの総称でこのモデルの固有名詞ではないが、この銃は一般的には1871-1872オープントップと呼ばれている。
発売されたのは1872年で、M1860アーミーをベースに開発がスタートしたが、その後バレルとシリンダー、フレームも新規に設計されたために互換性はない。一見、1860アーミーに似ているが、それまでバレル下部にあったエジェクターロッドハウジングが銃身右斜め下方に設置されているなど、後のコルト社の傑作SAAに近いデザインになっている。まあ、それもそのはず。デザインしたのはのちにSAAを開発するウィリアム・メイソンである。
 
それまでのコルトリボルバーで一般的だったトリガー上部にある切り込みのリアサイトはバレル上方後部に移されている。使用しやすさは上がったものの、ソリッドフレーム(シリンダーがフレームの中に入っている方式)ではないため照準半径が短くなってしまっている。照準半径とはフロントサイトとリアサイト間の長さのことで基本的には長い方が狙いやすい。
銃身長は7.5インチであるが、極少数8インチモデルも製造されていたようだ。5インチモデル等も現存するようだがこれは正規のものではなく、7.5インチ銃身を市井のガンスミスが切断したものである。口径は44口径で44口径ヘンリー弾というカートリッジを使用する。これはリムファイア方式で44口径といってもカートリッジ長が短く、火薬を多く入れられないために威力は小さい。大きく前期型と後期型があり、前期型はグリップストラップが金属製でグリップが短く、後期型はスチール製グリップストラップに長いグリップが付いている。
1871-1872オープントップは米軍の制式拳銃トライアルにも出品されたが、低威力のために不採用となっている。このため1873年にはソリッドフレームを採用した45口径金属製カートリッジを使用するコルトSAAが開発されることとなる。もはやオープントップ式は限界であった。
生産されたのは1872年2月から1873年6月までと推定され、総生産数は7,000挺程度であった。コルト社製オープントップ式リボルバーの最後であり、大ヒット作SAAとパーカッション式の間に存在した過渡期のモデルである。米軍制式採用とはならず、製造期間もわずか1年半であったが、西部では比較的人気があったようだ。
しかしその後SAAの登場によりフレームに強度を持たせることが構造的に難しいオープントップ式リボルバーは姿を消していくことになる。使用弾薬である44口径ヘンリー弾も1934年には製造が中止された。
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