渡辺洋二氏の著書は内容的に重厚で読み応えがある。航空戦史が専門であるが、航空戦史に関する本の中では渡辺氏の本はかなり信頼している。今日紹介する『夜間戦闘機月光』は1982年に上梓された本であるり、30年以上前ではあるが、良書である。
そもそも太平洋戦争に関して言えば、現在出版されている本よりも20年前、30年前に執筆されたものの方が直接戦争体験者に取材することもできるのでむしろ正確であるという言い方もできる。それはそうと、本書は海軍が開発?した夜間戦闘機を二式陸偵時代から設計段階、生産、実戦から搭乗員に至るまで網羅されている月光の決定版ともいえる本である。
海軍が高い要求を出し過ぎて中途半端になってしまった長距離戦闘機を台南航空隊の小園司令が目を付け、斜め銃を装備した夜間戦闘機として生まれ変わるという流れは面白い。結局、夜間戦闘機として大活躍する月光だが、私が驚いたのは夜間戦闘機によるB-29の撃墜戦果というのはかなり制度が高いということである。というのは、通常、戦闘機同士のドッグファイトでは目視のみなので誤認戦果の嵐なのだ。100機撃墜と思っていても、戦後調べると、10機しか撃墜されていなかったというようなことも頻繁に起こる。
しかし夜間戦闘機に関しては相手が大型機であり、尚且つ、斜め銃で接近して攻撃するため、撃墜戦果はかなり正確だったらしい。それはそうと、日本人だとついつい日本側から見てしまうが、B-29の搭乗員にしてみれば出撃すれば1割位は撃墜される。危険度は圧倒的に日本の方が高いがB-29の搭乗員は搭乗員でやはり怖かっただろうなぁと思いつつ読了した。
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