トイレで読む向けブログ

全国のトイレ人よ立ち上がれ! 〜 since 2005 〜

佐藤優

池上彰・佐藤優 著
文藝春秋 (2014/11/20)

 

 情報分析力には定評のある池上氏、佐藤氏の共著。内容は世界の紛争地帯や世界の問題地域、例えば中東、ウクライナ、北朝鮮、尖閣諸島の詳しい分析がある。ここらへんは両氏の専門中の専門なのでさすがにすごい。私もここら辺のことを勉強したくなったら本書を再読しようと思う。以下私が気になった部分。

 

イラクの日本大使館の警護はグルカ兵が担ってますよ。
(『新・戦争論』より引用)

 

 意外なところでグルカ兵と日本の接点があった。グルカ兵とはネパールの山岳民族グルカ族出身の兵士のこと。まあ、グルカ族というのは実際にはいないそうだけど、まあいいだろう。戦闘力が非常に高い人達だ。

 

世界の富は、国家を迂回して動いているんだ。〜中略〜(管理人注 教育によって)軍人が政治に関与できないような忌避反応が後天的につくられている。それは金持ちたちが自分の資産を保全するために絶対に必要なメカニズムだ
(イスラエル高官の話『新・戦争論』より引用)

 

 

 これは面白い発想、結構ホリエモン的な考え方だと思った。というよりもホリエモンの考え方というのは世界的にみればスタンダードなのか、それとも金持ちの発想なのかは不明。

 

最低三隻ないと空母は安定的に運用できません。〜中略〜中国が保有している空母「遼寧(旧ワリヤーグ)」は、〜中略〜甲板を反らせて発進させる「スキージャンプ台式なのですが、戦闘機が頻繁に墜落してパイロットが何人も死んでいます。
(『新・戦争論』より引用)

 

 これも知らなかったこと。カタパルトが開発出来ないという話は訊いたことがあるが、犠牲者まで出ているとは。。。因みに着艦ワイヤーも一部の国しか技術を持っていない。さらに因みに初代ワリヤーグは日露戦争で日本海軍の攻撃により自沈している。

 

「耐エントロピー」〜中略〜エントロピーは、もともと熱力学で拡散していく物質の属性を指す用語です。私たちが「ひとつの個体」として成り立っているのは、耐エントロピーがあるからで、これがないと自然と一体になって腐敗してしまいます。
(『新・戦争論』より引用)

 

 『魔法少女まどか☆マギカ』でこんな話があった気がする。エントロピーが拡散なら耐エントロピーは拡散を止める力のこと。ある程度のところでバラバラになるのを防ぐ。人類社会での耐エントロピーというのが、民族やら国民やらということになる。

 

池上 〜中略〜どの国でも、スパイ情報の九八パーセントか九九パーセントは、実は公開情報なのですね。それなら私にだってできる、というのが私(管理人注 池上)の基本姿勢です。残りの一パーセントか二パーセントの部分ではプロに敵わないのですが。

佐藤 その一、二パーセントというのはだいたい要らない情報です。

(『新・戦争論』より引用)

 

インターネットでとくに重要なのは、マニアックなものよりも、むしろ公式ウェブサイト、ホームページです。ここにある基礎データが重要なのです。
(『新・戦争論』より引用)

 

 情報分析というと誰も知らない情報を持っている人や組織が行うと考えがちであるが、実際は個人の職人技という部分が大きいようだ。大本営参謀だった堀栄三氏も独学だったし、連合艦隊情報参謀だった中島孝親氏も独学だったはずである。戦争中、どちらも相手の動きを先読みする凄腕参謀だった。

 

何かを分析するときは、信用できそうだと思う人の書いたものを読んで、基本的にその上に乗っかること。その上で、「これは違う」と思ったら乗っかる先を変える。
(『新・戦争論』より引用)

 

 これは大事だと思う。全てに専門的になるよりも専門家を観る目を養った方がいいとヒルダも言っていた。彼女はそれでナンバー2にまで上り詰めたのだから参考にすべきかも。まあ、未来の話だけどね。それはともかく、これはそれぞれの分野の「参謀」を雇うのと同じだと私は考えている。参謀の助言があった方が作戦は成功する確率が高い。

 

池上 〜中略〜NHKのホームページをみると、最新のNHKのニュースが六項目か七項目に整理されていますから、それで十分です。

佐藤 CNNの日本語版のウェブサイトは、非常にいいですね。〜後略〜

池上 あとは、『ウォール・ストリート・ジャーナル』の日本語版

佐藤 有料版がすごくいいですよね。

(『新・戦争論』より引用)

 

 これは要チェック。この二人は専門性が高い。私がネットやテレビで観て、「なんだこいつ!!」と思ったのはほんの数人、その中の二人が両氏。私は結構、ケチをつける性格なのでこの私が評価する人というのは相当レベルの高い人だ。

 

 因みに両氏が紹介しているサイトは以下の通り。

 

NHKオンライン

CNN.co.jp

ウォール・ストリート・ジャーナル

 

 今回は引用を多用したので、ちょっと記事が長くなってしまったが、備忘録としてはかなり完成度が高いものとなったと自負している。まあ、自負するのは私の勝手だからねwww。

 

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佐藤優 著
青春出版社 (2013/10/2)

 

 知の巨人と言われている佐藤優氏の経験から導き出された人間関係論とでもいうような本である。佐藤氏は元来キリスト教神学の専門家であり、哲学にも造詣が深い。その知識の蓄積から生まれる佐藤氏の著作は非常に読み応えのあるものが多い。

 佐藤氏の本の多くは、情報分析という生ものをメインで取り扱っていることから鮮度が落ちれば叩き売りされそうなものだが、佐藤氏の本は時間が経っても中古で値段があまり下がらない。理由は佐藤氏の知識の深さが本の内容に反映しているからだと私は考えている。

 それはそうと、この『人に強くなる極意』、この本は他の佐藤氏の著作とはちょっと毛色の違うものという感じを受けた。内容は平易で読みやすいものであった。基本的には佐藤氏の対人関係のノウハウ集といってもいいかもしれない。人は見えないものに対して恐怖を感じる等は非常に説得力がある。

 ただ、平易で読みやすいというのは裏を返せば内容が薄いということでもあり、今までの佐藤氏の著作と比べるといささか内容が薄い。書いてあることは佐藤氏の知識、経験から出たものではあるが、いかにも自己啓発本的な内容でちょっと物足りない。

 

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佐藤優 著
扶桑社 (2011/9/28)

 

 本書は、知の巨人と言われる佐藤優氏がその博識と経験を元にして様々な悩みに氏ならではの答えを出すというものである。出版されたのが震災後であることから震災に関する質問が多いが、それ以外にも仕事、人間関係等に対しても広く質問に答えている。

 佐藤氏は一見常識的で型どおりの答えを出しそうな気がするが、各質問に対する佐藤氏の答えは独創的であり、読んでいてハッとさせられる。内容は一般の質問者に対して一問一答式で答えるもの。ロシアでビジネスがやりたい、文筆家として成功したい、インドで働きたいという質問から、外務省に入りたい等々。

 それらに対する答えは、ロシア人は最初はやさしいが自分より金持ちになると面倒だ、文筆家は99%運である、外務省で働きたいなら英語に堪能にならなければならない等、自身の実体験から的確な答えを返す。因みに外務省に入るには、英検一級、若しくは準一級を持つ必要があるという。無論なくても入れるが一級が取れないほど語学センスが無い人は外務省ではやっていけないということだ。2回受けて落ちたら諦めろと厳しい。

 私が特に面白いと思ったのは、男女関係に対する質問の数々だ。カルヴァン派キリスト教の熱心な信者であり、牧師の資格も持つ佐藤氏なので性に関しては当然保守的なのであろうと考えていたが(保守陣営だし)、意外に開放的であった。質問の中で興味深かったのは、イスラム教に入信した方からの質問だ。質問者はイスラム教に入信し、ロシアへの留学経験もあるという。そしてイスラム教を周りに布教したいという。佐藤氏の回答は、布教してはいけないという。それよりも自分自身が他人を思いやり愛を持って生きるというのが大切であるというような回答である。そうすればその姿を見て周りの人々はイスラム教に興味を持つかもしれないとのことだ。

 特定の宗教に入信していない私のような人間からすると勧誘されるのは正直迷惑なのである。無論他人が進行するのは構わないし否定もしないが。佐藤氏のようなスタンスで宗教を信じるのは良いことだと思う。何事も自分の意見を人に押し付けてはいけないのだと考えされられた。

 

 

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佐藤優 著
岩波書店 (2009/4/16)

 

 本書は元外務省主任分析官で現在作家の佐藤優氏が東京拘置所にて拘留された512日間の日記を編集したものである。全体の内容としては拘置された当初から出所まで時系列に記述され、拘置所内の細かな仕組みや制度、拘置所内での読書、思考等が詳細に記述され、途中、弁護士、外務省の後輩、友人に宛てた手紙等を織り込む。現在、八面六臂の活躍をしている佐藤優氏の内面を知る上での好著である。

 特に興味深いのは、佐藤氏が拘置所の生活を修道士の生活になぞらえていることだろう。佐藤氏は別の本で自分にはキリスト教、国家、マルクスが絶対であると書いているが(佐藤優『国家と神とマルクス』角川文庫2008年)、第一回目の日記で自身を修道士になぞらえていることや入所初期の早い段階でまずキリスト教神学の本をひも解いていることからも何よりもキリスト教徒であることが判る。

 同時に至る所に「知識人」という言葉が見られる。自分が知識人であるという強烈な自負心が感じられる。当然といえば当然だが、「知識人」として哲学書やその他の書籍も熟読し思考を深めていく姿が描かれる。前半部分では自分は公の場からは退きたい、大学院で博士号を取りたい、高等遊民になりたいという厭世的考えを持つが、後半になるにしたがってそういった考えは小さくなっていったようだ。

 本書では佐藤氏が拘置所内で一連の事件について振り返り、考察を深めた上で、佐藤氏のいう「思考する世論」を誘導しようとする姿も描かれ、転んでもただでは起きないという一面も垣間見れる。事実と向き合い、信仰という強力な武器を持ち時には『監獄の誕生』を拘置所内で読むというユーモラスな人柄も垣間見れる。

 ただ、本書を読む上で注目しなければならないのは、この記録自体が拘置所の検閲を受けているということとさらに(恐らく)いずれ公表することを前提に書かれているということだろう。本書を素直に獄中での「人間佐藤優」とみるべきではない。例えば弁護団への手紙の中でやたらに拘置所の生活が気に入った、長くいたいということが書いてあるが、もちろん拘置所に長くいたい人間などそうそういない。

 出所後、佐藤氏はしばしば拘置所の環境が勉強するには理想的であったと発言しているので全くの嘘ではないと思われるが、検察官が手紙を読むことを前提に出所を「餌」に自白を引き出そうとする検察官との駆け引きであると見た方がいい。

 手紙や日記は閲覧されることを前提にした検察官へののメッセージであり、さらにそれと同時に獄中記を書籍化することで無実の罪で不当な仕打ちを受けたということを一般に広く伝えるという意図があることを忘れてはならない。本書は「思考する世論」に対する戦略の一つであると言える。

 

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