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コルトローマン

01_コルトパイソン
(コルトパイソン 画像はwikipediaより転載)

 

シティーハンターとは

 

 シティーハンターとは、1985年から1991年まで週刊少年ジャンプに連載されていた北条司原作の漫画である。キャッツアイで人気を博した北条司が放った二度目のヒット作であった。1987年にはアニメ化され、第1期1987〜1988年、第2期1988〜1989年、第3期1989〜1990年、一年置いて1991年にはシティーハンター91として合計4期にわたって放送された。それ以外にも複数回実写も含めて映画化されている人気コンテンツである。

 主人公は冴羽りょう(環境依存文字なので平仮名ね)という裏の世界では名の知れたスイーパーで、戦闘に関してはトップクラスの技能を持つ。特に銃に関しては百発百中で天才的な能力がある。しかし同時に相当なエロという設定で現在ではいろいろなサイドからクレームが来ること必至のエロぶりであった。主人公が愛用するのはコルトパイソン4インチモデルでこの銃は1955年にコルト社から発売された。当時最強の弾丸である357マグナムを使用する拳銃であった。

 

 

コルトパイソン357

 

 機構的には古いメカニズムであったが特徴的なベンチリブと呼ばれるバレル上部に設置された放熱用の装置等、外観の美しさから現在においても多くのファンがいる。メカニズムは「く」の字型のリーフスプリングを使用することから、引き始めは軽く、徐々に重くなってくる。ハンマーが落ちる瞬間が最も重くなると言われている。これに対してS&Wのメカは逆に引き始めが重くその後は軽くなる。このためシューティングマッチではS&Wのアクションが好まれ、パイソンをベースにするシューターは少なかった。

 これは、パイソンのアクションだと最後の一瞬が最もトリガーが重くなる。この最後の一瞬のトリガーが重いと照準がブレてしまう。これに対してS&Wのリボルバーは最初が一番重く、最後に「ストン」と落ちるような構造になっているためシューティングマッチ等には向いているのだ。しかし銃身の精度は非常に高かったので、今のようにカスタムバレルあまり無かった70年代あたりには、パイソンの銃身をS&WのM19に装着したスマイソン、スモルトというモデルがガンスミスの手によって作られた。この銃身をねじ込むというのは実はS&Wとコルト、バレルのネジきりが逆なので大変なのだが、これは余談。

 しかしこれらの話はシューティングマッチという非常に精度を要求される場面においてであり、実戦で使用する場合は、パイソンのトリガーフィーリングは「グラススムーズ」と言われるほどなめらかで特に問題は無い様である。パイソンにはバリエーションが数種類あり、2.5インチ銃身、3インチ銃身、4インチ銃身、6インチ銃身、8インチ銃身、10インチ銃身モデル、さらにステンレスモデル等が存在する。8インチ銃身モデルは「パイソンハンター」と呼ばれ、他のモデルと異なり銃身にも「PHYSON HUNTER」と刻印されている。10インチモデルはあまり有名ではないが、「テンポインター」という名称が付けられている。

 

 

 

魅力的なパイソンの扱い

 

 シティーハンターで冴羽が使用するのは、当然、8インチ「パイソンハンター」!。。。ではなく、4インチモデルで、アニメではコルト社純正木製グリップを装着、実写版ではパックマイヤーのラバーグリップを使用している。ジャッキーチェン主演の映画ではベレッタM92Fを使用しているがこれは日本のガンファンにはひんしゅくを買ったようだ。因みにライバルの海坊主はM29を使用、香はローマンと主要キャラの銃はMGC製品で占められている。恐らく、原作者が銃を決める時にモデルガンを見て参考にしたのだろう。

 このアニメに登場するコルトパイソンは何とも言えない魅力に溢れている。コルトパイソンというのは高級なハンドガンではるが、特に特殊な拳銃という訳ではない。しかし作中では、敵が冴羽が持っている銃がコルトパイソンであることに気が付くと「コルトパイソン!?お前ただのネズミじゃねぇな」等とパイソンがすごい拳銃であると強調される。そして戦闘ヘリアパッチをも撃墜するシーン等、子供心にパイソンへの憧憬は募っていったのだ。もちろん実際に357マグナムで戦闘ヘリを撃墜することは不可能なのであるが、これもまたフィクションの魅力である。

 

ちょっと実銃のお話

 

 実際、北条司氏はあまり銃器には詳しくないようで、パイソンにサイレンサーを装着したり、オープニングのパイソンのハンマーに撃針が描かれていたりしていた(コルト社の拳銃のハンマーに撃針はない)。これはアニメ制作者が知らなかったのだろうが、全体として銃はたくさん登場するもののあまり詳しくはないのだろうということは想像がつく。しかし、それだからこそなのだろうか、銃に詳しいファンが考えないような魅力ある表現がされていて楽しいアニメである。

 因みにその他の登場銃としては、冴羽のライバルの海坊主が使用するM29がある。これはS&W製の大型リボルバーで44マグナム弾を使用するあまりにも有名な拳銃である。1955年に発表、当時世界最強のカートリッジである44マグナム弾と共に発売された最強のハンドガンであった。S&W社は「最強カートリッジ」を作るのが好きらしく、1935年に発表されたS&W357マグナム(のちのM27)も、このために開発された当時最強のハンドガンカートリッジ357マグナム弾を使用していた。さらに2003年のM500も当時最強(多分現在でも最強)の500S&Wマグナムが同時に開発されている。

 

 

ワンオブサウザンド〜S&WM57〜

 

 他にもコルトローマン等が登場するが、特に印象的だったのはワンオブサウザンドと呼ばれるリボルバーであった。これは確かS&WM57であったと思うが(M58とする情報もあり)、製造工程の誤差から1000挺に1丁の割合で偶然生まれる高精度の銃という設定であった。これは実際にあるようで、そうなると逆に1000挺に1丁のハズレ銃というのも存在するということになる。まあ、それは良いとしてこのM57、41口径マグナムというあまり知られていないカートリッジを使用する銃である。

 この41マグナム弾というのも新しくS&Wが開発したカートリッジでM57はこの41マグナムを使用する最初のリボルバーであった。発表されたのは1964年で上記の357マグナムと44マグナムの中間の使い勝手の良さを目指して開発されたカートリッジである。バリエーションには4インチ、6インチ、6-1/2インチ、8-3/8インチモデルでスチール製、ブルー仕上げとニッケル仕上げがあった。1964年から製造が開始されたが1991年で製造中止。2008年より再び製造が再開されて現在に至っている。因みにM58とはこのM57の廉価版でリアサイトは無可動でグリップもグレードの低いものが使用されている。法執行機関への採用を目的に製作されたモデルでM19に対するM10のような存在である。

 

ということでまとめ

 

 シティーハンターはもちろん荒唐無稽な設定であり、冴羽の銃の腕も実銃の性能を超えてしまっている。しかし私が知る限り最も魅力的にコルトパイソンを描いた作品の一つであり、あの時のワクワク感は今でもシティーハンターを観ると思い出してしまう。因みに、このパイソンはエアガンメーカーのタナカワークスが2020年10月にシティーハンター公式コラボレーションモデルとして発売している。一番の特徴はサイレンサーを装着できることであるが、私としては、あのアニメカラーの塗装までして欲しかった。そう、シティーハンターの銃はスチールフィニッシュではダメなのだ。あの黒みがかったグレーのアニメカラーがシティーハンターのパイソンの「リアル」なのだ。しかし発売してくれたことには感謝しておる。。。

 

 

 


ミリタリーランキング


(画像は駆逐艦雪風 wikipediaより転載)

 

中村文則『銃』

中村 文則 著
河出書房新社; 第18版 (2012/7/5)

 主人公西川は偶然銃を手に入れたことにより漠然とした日常が徐々に変化していく。西川は自殺者の遺体のそばに置いてあった銃を持ち帰る。命を奪うためにのみ造られた銃に西川は魅了され、徐々に撃ってみたいという欲望が抑えられなくなってくる。西川は社会に順応するために感情を抑えることを本能的に行っている。銃によって感情の抑制が効かなくなり、内在していた虐待した母親への憎しみをたぎらせていく。偶然、アパートの隣室にいた虐待をしている女性に対して殺意を持ち始めた西川は犯行を行う直前に犯行後のことを想像して思い止まる。

 無感情だった西川は感情を高ぶらせたことにより、何気ない日常すらも素晴らしさを感じ取れるようになったのだ。それまでのフィクションのような世界は感情の籠った素晴らしい日常になり、西川は銃を捨てる決心をする。捨てに行くために電車に乗ったその時、電車で他人の迷惑を顧みずに大声で電話をしている暴力団風の男を射殺してしまう。フィクションが感情の籠ったノンフィクションになったことにより躍動感に溢れた日常を得られた反面、電車のマナー違反という些末な行為に対しても感情が爆発してしまう。平和な日常は単調であるが、刺激的な日常は危険も内在している。

 中村文則のデビュー作。他にも短編として収録されている『火』も面白い。こちらは太宰治的な文体で家庭不和から売春婦に落ちた女の自虐的な行動から「愛とは何か」を問う。因みに銃はコルト・ローマン357マグナムニッケルフィニッシュモデル。

 

豊田穣『雪風ハ沈マズ』―強運駆逐艦栄光の生涯 (光人社NF文庫)

 太平洋戦争開戦から戦艦大和の沖縄特攻まで参加しつつも生還した幸運駆逐艦雪風のドキュメンタリー。ジャンルとしては戦記文学になるのだろうか。著者は元海軍士官で艦上爆撃機搭乗員。ソロモン航空戦で撃墜され捕虜となった。戦後は記者から作家へと転向したという稀有な経験を持つ人物。文学といいつつも下調べは徹底している。元海軍士官という経歴を生かしてかなり取材もしているようだ。艦長から一水兵に至るまでの人物描写も良い。雪風が戦争を生き抜いたのは「運」だけではなく、艦長以下乗員の練度の高さがあったことが良く分かる。本書は調査が徹底しているようなので文学としてだけでなく資料的な価値も高い。

 

柳田由紀子『二世兵士激戦の記録』

 第二次世界大戦中に存在した米軍日系人部隊についての記録。著者は特に軍事関係に造詣が深いという訳ではなさそうだが、逆に客観的な視点が優れている。米国に移住した日系人は、排日政策により後続の移民を断たれた結果、古い日本人としての心を持ち続ける。太平洋戦争開戦によって日系人の若者は米国人として戦争に参加するか否かの選択に迫られた。その結果、誕生したのが第100大隊、さらに増強されて第442連隊となる。米正規軍となった後も差別的な待遇は続き、友軍を救出するために救出する友軍の兵員数以上の死者を出したこともあった。その戦場には「ママ」という声が響き渡っていたという。

 しかし明治の日本人の心が温存された日系人は「お国のために命を惜しまない」という考えの下、多くの犠牲を出しつつも戦果を重ねる。結果、第442連隊は米軍史上最も多くの戦果を挙げた部隊となった。他にも暗号解読や通訳として活躍した日系人や日本軍に入隊した日系人、戦後のGHQでの活躍までも書かれている。二世兵士について知るためには必読である。

 

おわりに

 

 まあ、いろいろと穏やかでない日々が続いているが、こんな時は読書や趣味に没頭するのが一番。不快なニュースを見ても得るものは何もないが読書をすれば知識が身に付くのでおススメ。

 

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