01_M686
(画像はwikipediaより転載)

 

 M586(ステンレス製はM686)は1980年に発売されたリボルバーである。当時S&W社が発売していた357マグナムリボルバーには大型フレームを使用するM27,28、軽量フレームを使用するM19等があったが、大型フレームは357マグナム弾の衝撃には十分耐えられるものの重量がかさみ、軽量フレームは357マグナムの衝撃に対する耐性が十分ではなかった。このためこれらのフレームの中間にあたるLフレームが新たに開発された。このフレームを装備、新たにアンダーラグを採用したリボルバーがM586(686)である。これは現在、最も完成度が高いリボルバーの一つと言われている。

 

S&WM586 686(実銃)

 

 

性能(4インチ初期モデル)

全長 244mm
重量 1,134g
口径 38口径
使用弾薬 357マグナム、38スペシャル
装弾数 6発
設計・開発 S&W

 

開発

02_M686
(画像はwikipediaより転載)

 

 S&W社でM586の設計が計画された当時、S&W社には357マグナムを撃つことができるリボルバーとしてM27,28、M19等があった。これらの内、M27,28は44マグナムの衝撃にも耐えられるNフレームを使用しており頑丈ではあったが大型に過ぎ、Kフレームを使用するM19は357マグナムを使用するリボルバーとしては軽量ではあったが、強度に不安が残るものであった。このためS&Wは新規格のLフレームを使用する357マグナムリボルバーを開発することとなる。

 このNフレームとKフレームの中間に位置する大きさのLフレームを採用したM586は1980年に発表された。内部構造はS&W社伝統のリボルバー機構で大きく変更されてはいないが、コルト社製パイソンで採用されたバレル下部にアンダーラグを備えているのが外観上の大きな特徴である。これは射撃時の反動を抑制するもので、当時、このアンダーラグを装備したリボルバーにはコルト社製パイソンがあり、このパイソンのアンダーラグ付きバレルをS&WのKフレームに装着した「スモルト」「スマイソン」と呼ばれるカスタムが一部カスタムショップで製作されていたことからこれらの影響を受けた可能性もある。とにかくもこのアンダーラグは非常に効果的であったためM586での採用以降、S&W社製リボルバーの多くにこの方式が採用されることとなった。

 1981年にはステンレス製タイプのM686が発表される。これらのモデルは法執行機関の職員やハンター達から高い評価を得て、S&Wの大ヒット作となった。1999年には製造中止となるが、2012年にリニューアルされて再度販売され現在に至っている。

 

バリエーション

 

03_M686
(画像はwikipediaより転載)

 

 M586(686)は標準バレルとして2.5インチ、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ及び8,325インチモデルが存在する。1981年にはリアサイトが固定式に変更されているM581(681)が発売された。これはサイトの調整できないため精密射撃には向かないが、服などにリアサイトが引っかかることがないため実戦での実用性に優れているモデルで1981〜1988年まで製造された。

 オリジナルの6インチ、8.325インチモデルには1992年まで調整可能なフロントサイトがオプションとして選択することが可能で、1988年にはこのモデルにノンフルーテッドシリンダーを装着したM686クラッシックハンターも製造されている。因みにノンフルーテッドシリンダーとは多くのリボルバーのシリンダーに彫り込まれている重量軽減のための溝(フルート)が無いもので重量は増加するものの溝が無い分、耐久性を強化したシリンダーのことである。

 1989年にはM686の4インチ、6インチモデルを黒染めしたフラックフィニッシュモデルが5,000丁限定で発売、1992年には調整式トリガーストップを装備したマッチターゲット、1994年にはマグナポート装備モデル、1996年には強化ステンレスを使用し装弾数が7発になったM686プラスが発売された。このモデルは安全装置であるキーロック機能が装備されており、同モデルには2004年に5インチモデルが発売されている。2003年にはノンフルーテッド化したシリンダー、ハンマー、トリガーに金メッキが施されたモデル「プレジデント」が発売、された。他にもS&W社のカスタム部門であるパフォーマンスセンターから様々バリエーションが製造されている。

 

S&WM586 686(トイガン)

 

04_M686
(画像はwikipediaより転載)

 

モデルガン

 モデルガンでは1983年にMGCとコクサイがモデルアップ、翌年の1984年にはマルシンがモデルアップ、同年東京マルイが造るモデルガンシリーズでモデルアップしている。MGC、コクサイ製のモデルガンは外発火式でスモールカートを使用するモデルであったのに対しマルシン製はフルサイズカートを使用する。コクサイは「リボルバーのコクサイ」と言われていたが、このM586に関しては銃口部のアンダーラグの形状が実物と異なっている。MGC製品の完成度は高く、内部構造も実物を模しているが、カートが小さいのが難点であった。最も完成度が高いのがマルシン製で現在でも製造されている唯一のM586モデルガンである。

 エアガンでは1988年にマルシンがカート式ガスガンとしてモデルアップ、翌年にはレプリカブランドでメッキモデルが発売されている。1991年にはLSがエアガンとしてモデルアップしている他、クラウンがエアガンを発売している。

 

マルシン M586

 モデルガンデザイナー六人部氏の作品で、個人的には現在まで発売されているモデルガンの中では最も完成度が高いのではないかと思う。フルサイズカートで実物のダミーカートも装填することが出来る。ただし、シリンダー前部にインサートがあるので357マグナムのダミーカートの装填は出来ず、38スペシャルのみである。

 完成度は非常に高いものの、使用しているとフレームの付け根部分に力がかかるために当該部分が破損するという欠陥がある。さらにはリアサイトも亜鉛ダイキャスト製であるために不注意な取り扱いをすると破損することが多い。内部構造ではハンマーとトリガーの接点が摩耗しやすく、長期間使用するとかなりの割合でシリンダーが回らなくなる。

 異常のような欠点はあるものの、外観、内部構造の再現性は、他社の製品に比べると圧倒的で鑑賞用としても十分に耐えられる。特にマルシンはメッキ技術が素晴らしく、黒ベースのシルバーメッキ、ディープブラックメッキは非常に深みのあり美しい。

 

ガスガン

 ガスガンではマルシン、クラウンがモデルアップしている。マルシン製のガスガンは80年代後半に一度モデルアップされ、近年Xカートリッジ仕様で再度モデルアップされている。多少ディフォルメはされているが、モデルガンをベースにしているだけあって外観の完成度は高く、命中精度はあまり良くはないが、パワーも比較的ある。

 クラウンはエアーガン、ガスガン共に発売している。外観の完成度は今ひとつであるが、ガスガンは空薬莢型の金属製カートリッジ方式である。パワーは50m/s前後と低く、命中精度も高くはない。エアーガンも実際にゲーム等に使用するには不安が残る性能であるが、室内プリンキングでは楽しめるモデルである。

 

まとめ

 

 M19で指摘されていた357マグナム使用時の強度不足を解消した上で、S&W伝統のリボルバー機構を継承したM586は、現在、最も完成度が高いリボルバーの一つである。一度は生産中止されたものの再度発売された。この際、フレームが強化され、安全装置が追加されている。このため旧製品のようなスマートさはなくなったが、信頼性は高まった。

 


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