01_GP100
(画像はwikipediaより転載)

 

スターム・ルガーGP100

 

 

性能

全長 292mm
重量 1,277g
口径 38口径
使用弾薬 357マグナム弾
装弾数 6発
設計・開発 スターム・ルガー社

 

357マグナムの威力

 357マグナムとはレミントン社が1935年に開発した当時最強のカートリッジであった。ベースとなったのは38口径スペシャル弾でこのカートリッジ部分を延長、火薬量を増大したものであった。口径は同じであるので互換性はあるが、カートリッジの長さが違う上に威力が段違いのため耐久性の関係で38口径スペシャル弾専用の銃では発射することができない。38口径スペシャル弾と357マグナム弾の威力は段違いで38口径スペシャル弾の銃口初速が158gr弾で297m/s、エネルギーが451J(ジュール)であるのに対して357マグナム弾は銃口初速が380m/s、エネルギーが731Jである。銃口初速は変わらないもののエネルギーは倍近く違っている。

 

38スペシャル専用銃では357マグナムは撃てない

 多少マニアックになってしまうが、ここで銃口初速とエネルギーについて書いておこう。銃口初速とは弾丸が銃口を通過した時の速度のことであるが、実際は銃口で測定するのは難しいため銃口から数十cm程度の距離で測定される。銃口付近で測定するのは弾丸が空気抵抗と重力の影響を受けて徐々に数値が変わってしまうからである。さらにエネルギーというのは弾丸の速度と質量で計算したもので単に「破壊力」と考えてよい。ジュールというのはエネルギーの単位だ。

 面倒な話になってしまったが、38口径スペシャル弾というのは初速は同じであるが、エネルギーは段違いである。これは火薬量の違いで357マグナム弾は38口径スペシャル弾と同じ速度で目標に命中するが、その弾丸が持っているエネルギーというのは全く違うのだ。このエネルギーが目標に命中すると物体を強烈に破壊するのだ。強力なカートリッジというのはもちろん銃本体にもかなりの圧力が加わる。そのため前述のように38口径スペシャル弾用の銃では357マグナム弾を撃つことは出来ない。

 

セキュリティシックス

 1949年に最初のハンドガンを販売したスターム・ルガー社は1972年に最初のダブルアクションリボルバーを発表した。これがセキュリティシックスで競合しているコルトやS&Wと比べて安価であるが、頑丈で性能が良かったためにマーケットで成功を収めた。口径は38口径で357マグナム弾も使用することができる。しかしあくまでも「発射できる」のであって日常的に357マグナム弾を射撃するには耐久性が不足していた。

 この手のパターンはS&WのM19コンバットマグナム等もそうで、普通に考えると「357マグナム」が撃てるとメーカーが言っているのであれば、毎日バンバン撃ちまくっても平気と思ってしまうのであるが、そうではない。銃というのは射撃するだけでなく、携行することも考えて設計しなければならないので強度を増そうとすると重量が増えてしまう。357マグナムを頻繁に撃つための十分な強度を銃に持たせてしまうと重量が増大してしまうのだ。そこで強度は少しだけ妥協して軽量な携行性の高い357マグナムハンドガンが誕生するのだ。この手の銃の使用法としては普段は38口径スペシャル弾を使用してたまーに357マグナム弾を撃つという感じだ。

 

 

GP100

 スターム・ルガーセキュリティシックスも同様の使用法を前提に開発されたものであるため、357マグナム弾の使用による故障が徐々に報告されるようになってきた。このため1980年代初頭になるとスターム・ルガー社はさらに強度を高めて日常的に357マグナム弾を発射できるリボルバーの開発を開始する。その結果誕生したのがGP100である。

 357マグナム弾を日常的に使用しても大丈夫なようにフレームは44マグナムの発射にも耐えられる強靭なもので、GP100はミディアムサイズリボルバー(38口径クラスの中型リボルバー)の中で最も頑丈な銃と言われている。さらにバレル下部にはコルトパイソン、M686などに採用されたアンダーラグを装備、357マグナムの強烈な反動を吸収するのに役立っている。シリンダーの固定もトリプルロックを採用、シリンダーを前部、下部、後部の三か所で固定することによりより確実にシリンダーが固定されるようになっている。

 グリップにも新しい工夫がある。グリップの形状はS&W、コルト等は今でもそうだが、フレームがグリップの形状に合わせた形になっており、通常は金属部分が一部露出した状態になっている。これに対してGP100はフレーム下部のグリップ部分はグリップ内部にあり、それを包むようにグリップが装着されている。つまりフレームは完全にグリップに包まれており射手は射撃の際にフレームの金属部分に接触することはない。この構造のメリットは反動をグリップが吸収してマイルドになることと、グリップの形状が自由に変更できることにある。

 

バリエーション

 GP100が発売されたのは1985年で最初はスチール製モデル、さらにステンレス製モデルが発売された。強度は十分であるが、その分重量も1,280gとヘビー級になってしまったものの人気は高く、現在でも販売されている。銃身長2.5インチ、3インチ、4インチ、4.2インチ、5インチ、6インチのバリエーションがあり、357マグナムモデルの他に327マグナム、44スペシャル、10mmオート弾、22LRモデルもあり、近年では357マグナムの7連発モデルであるM1773も登場した。

 

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