
(画像はwikipediaより転載)
スターム・ルガー アメリカンピストル
性能
全長 191mm
重量 872g
口径 9mm
使用弾薬 9mmパラベラム弾
装弾数 17発
完成 2016年
設計・開発 スターム・ルガー社
開発経緯
アメリカンピストルは、スターム・ルガー社が2016年に発売した9mm、45口径ポリマーフレームピストルで、1996年に初めてポリマーフレームを採用したP95を発売して以降、2007年にSR9を発売しており、アメリカンピストルはこのSR9の後継ピストルとなっている。
スターム・ルガー社設計陣のすごいところは、SR9に代わる新型ピストルを開発する際に単にSR9の設計をベースにした改良型としなかったところだ。設計陣は、米軍のトライアルの要求事項を綿密に調査、さらには法執行官の射撃インストラクターの意見を聞き、全く新規にアメリカンピストルを開発した。このためアメリカンピストルは、SR9とはマガジンも含めてパーツの互換性はない。
このアメリカンピストルは、米軍のM9の後継ハンドガントライアルの要求事項を調査したものの、トライアルには出品されていない。スターム・ルガー社はコルトやS&Wと異なり、現在でも非常に活気のある会社なのでリスクの多い米軍制式採用を狙わなくても民間市場で十分に儲かるということなのだろう。
セイフティシステム
外観はSR9の系統をひくスタイリッシュな外観である。Pシリーズの野暮ったさはない。シンプルなスライド後部にはセレーションが入っているが、これは一般的なハンドガンの縦に入れられたセレーションにさらに斜めにセレーションが入っている。フレームはポリマー製でテイクダウンレバーはスライドストップとは別である。サイトはノバック社の三点ホワイトドットサイトで視認性は高い。
2016年に発売されたのは、9mmと45口径のプロモデルでこのモデルの安全装置は、トリガーセイフティとシアブロックのみで、マニュアルセイフティ、マガジンセイフティは採用されていない。ファイアリングブロックシステム等もなく安全性は大丈夫なのかと思ってしまうが、特に問題は出ていないようである。
セイフティで最も特徴的なのはシアブロックシステムである。シアとはトリガーとファイアリングピンの間にある部品で、スプリングが圧縮され撃発可能な状態にあるファイアリングピンをロックしており、トリガーを引くことによりシアが解放されてファイアリングピンが前進する。
現在の一般的なハンドガンは、ファイアリングピンブロックを採用しており、銃を落下させた際にも暴発することを防いでいるが、シアをブロックしても同様の効果が得られるというのがスターム・ルガー社設計陣の考え方だ。但し、別にスタンダードモデルと言われているモデルにはマニュアルセイフティ、マガジンセイフティを装備したモデルもあるので選択は可能だ。
プロモデルが存在する理由
トリガーセイフティ、シアブロックのみの製品が求められるのは当然理由があり、ある程度訓練を積んだ警察官などは銃の操作を良く心得ており、さらには任務上、咄嗟に射撃する必要に迫られることがある。この際にセイフティは少ない方が良い。故にマニュアルセイフティすらも覗かれているのだ。
マガジンセイフティに関してはジョン・ブローニングが開発したM1911、FNM1910、コルトコルト25ベストポケット等、古くから多くの銃に採用されている安全装置であるが、これも一長一短で、薬室にカートリッジが入っていてもマガジンが挿入されていなければハンマー、ファイアリングピンは落ちないため暴発や不用意に発射してしまう危険性は低いものの、逆に非常時にマガジンがない、または慌ててマガジンをしっかりと挿入せずに落下させてしまった場合等は発射ができない。非常時は通常はやらないようなミスをするものなのでこれは結構深刻な問題である。
内部構造
発射機構はストライカー方式で、ショートリコイル方式を採用している。スライド、バレルはステンレス製、フレームはガラス入りポリマーフレームである。モジュラー構造になっており、フレーム内の機関部はステンレス製のシャーシで一体化しており、簡単に取り外すことができる。表面処理は黒色窒化処理がなされている。
バレル下部にはピカテニー規格のレイルを装備、グリップ後部のバックストラップは脱着式のモジュールタイプで大中小の3タイプの大きさから選択することができる。完全に両利きに対応しており、スライドストップも左右にあり、左利きでも操作可能である。因みにマニュアルセイフティ搭載モデルのマニュアルセイフティも両利きに対応している。
プリテンションストライカーシステムを採用したトリガープルは3.1kgとまずまず、バレルカム構造で反動を抑制しているのとバレル位置が低く設定している低スライドプロファイルを採用しているため連射には向いている。装弾数は9mm弾仕様が17発、12発、10発のマガジンがあり、45ACP弾仕様は10発である。
ユーザーには、おおむね高評価であるが、評価が分かれるのが重量である。前作のSR9の重量が750gであるのに対してアメリカンピストルの重量は872gと少し重い。競合他社のピストルと比較してみてもS&WのMP9が680g、グロック17が703g、ワルサーP99の750gなどと比較すると100g以上の重量である。これはポリマーフレームでありながら内部のシャーシにはステンレスを採用、その他のパーツも金属を多く使い強度を高めた結果で重量は重くなったものの耐久性は高くなっている。
バリエーション
オリジナルモデルは2016年1月に45ACP弾仕様、9mm弾仕様で発売、同年9月にはコンパクトモデルも発売されている。さらに2020年3月には9mmコンペティションモデル、45口径仕様でグレーのセラコート処理がされたコンパクトモデルもある。2023年現在はマニュアルセイフティ、マガジンセイフティがないプロモデルが9mm仕様のみ、それらを装備したモデルが45口径仕様のみで発売されている。価格は発売当初は579ドル、2023年現在では689ドルとなっている。
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