01_キ115剣
(画像はwikipediaより転載)

 

 キ115剣とは、太平洋戦争末期に中島飛行機が開発した特攻専用のレシプロ機である。大量に余ったエンジンを有効活用するために木材や鋼鉄などの入手が容易な材料で簡単に製造できるように設計されていた。完成した試作機は長所が一つもないと言ってもいいくらい性能は劣悪であったため制式採用されることはなかった。

 

キ115剣 〜概要〜

 

性能

全幅 8.60m
全長 8.55m
全高 3.30m
自重 1,690kg
最大速度 550km/h(高度 - m)
上昇力  -
上昇限度  -
エンジン出力 1,150馬力(ハ115海軍名「栄21型」)1基
航続距離 1,200km(増槽装備時)
乗員 1名
爆装 800kg爆弾(または500kg)
設計・開発 青木邦弘 / 中島飛行機

 

開発

02_キ115剣
(画像はwikipediaより転載)

 

 中島飛行機は工場に大量に残されたハ25(栄12型)やハ115(栄21型)エンジンの活用を考えた結果、簡易的な攻撃機を大量に生産することを思い付いた。これは500〜800kgの爆弾を搭載した600km/h程度の速度の突撃機で脚は離陸後投棄して着陸は胴体着陸とする。さらに機体の材料は木材や鉄板を活用するという「廃材利用機」ともいえるものであった。

 この計画は、暗に特攻を示唆するものであったため、当初は陸軍によって拒否されたが、戦局がひっ迫した1945年1月20日、中島飛行機に開発指示がでた。これに対して中島は青木邦弘技師を設計主務者として開発を開始、わずか1ヶ月半後の3月5日に試作1号機が完成した。

 機体は徹底的に簡素化され、入手しやすい材料によって簡単に大量生産ができるようになっていた。このため主脚にはショックアブソーバーもなく、風防は半解放式で前面はガラスだが、後方のガラスは一部のみであった。離陸には離陸促進用ロケットを使用、爆弾は胴体下面の切り欠きに半分胴体に内蔵した形で搭載するという設計であった。エンジンはハ115(1,130馬力)でプロペラは2.9mハミルトン定速3翅プロペラであった。翼面積が小さく機体重量はそれなりにあるため翼面荷重は212kg/屬販軅錣簇擦2倍という非常に高いものであった。

 審査は3月から開始されたが、視界不良、ショックアブソーバーが無いため離着陸が難しい上に50kg以上の爆弾を搭載するとバウンドして転覆する可能性が高かった。他にも安定性、操縦性、運動性全てが悪い上に強度不足で最高速度も計画値に達していなかった。ため、6月下旬に審査主任の高島亮一少佐は不採用と判定した。この際、キ115を使用した作戦での推定攻撃効果という数値が算出されているが、これによるとキ115の内、30%は離陸に失敗、離陸した70%の内50%は敵機に撃墜される。残りの20%の内対空砲火により15%は撃墜され、5%が命中もしくは命中に近いものとなるが、実際に効果があるのは3%で、さらにこの3%も大きい艦艇に対しては効果は薄いというものであった。つまりは100機出撃して、その内3機が小艦艇に損害を与えることが可能ということである。

 

生産数

03_キ115剣
(画像はwikipediaより転載)

 

 終戦までに105機が生産されている。

 

まとめ

 

 キ115剣は特攻専用に開発されたレシプロ機であった。海軍の桜花と異なり完全な特攻機としてではなく帰還することも想定はされていたが、それは建て前上であり実際には完全な特攻機であったと考えてよいだろう。全ての性能は劣悪であり、爆弾を装備すると離陸時に転覆するという酷い機体であった。それでも実戦配備を要求し続けた上層部に対して審査主任の高島亮一少佐は要求を撥ね付け続けた結果、実戦に使用されることなく終戦を迎えた。

 

 

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