01_Mustang
(画像はwikipediaより転載)

 

コルト ガバメント380

 

 

性能

全長 152mm
重量 600g
口径 9mm
使用弾薬 380ACP弾
装弾数 6発
完成 1979年
設計・開発 コルト社

 

自衛用ハンドガン

 昔からハンドガンには護身用という目的がある。ハンドガンがそもそも護身用の道具なのだが、大型ハンドガンのように戦闘で使用したり狩猟の際のサイドアームとしての護身ではなく、犯罪等から身を守る「護身」、自衛と言っても良い目的がハンドガンには絶えず求められているのだ。犯罪等から身を守るためにはハンドガンを常時携行する必要がある。そしてそのためにハンドガンは小型、軽量化が求められたのだ。

 護身用ハンドガンの系譜は、大型拳銃の系譜とはまた別のものである。19世紀中葉、コルト社が傑作リボルバーであるM1848ドラグーンを発売したのち、常時携行するための自衛用ハンドガンであるベビードラグーンも開発された。その後もサイドハンマーハウスリボルバー等、自衛用のハンドガンは絶えず求められ、現在においても開発され続けている。

 1970年代、その小型ハンドガンの世界では米国で人気のあるM1911を小型化した自衛用ハンドガンが多く発売されていた。それに目を付けたコルト社は本家として380ACP弾を使用する小型ガバメントを開発した。それが1979年に発売されたコルトガバメント380である。

 

ブローバック機構とは

 全長はわずか152mm、使用するカートリッジは380APC弾でこれはワルサーPPK、SIGP230等に使用される9mmパラベラム弾のカートリッジ長を2mm短くした低威力版である。このカートリッジを使用するモデルは基本的にブローバック方式を採用することが多い。ブローバック方式とは最もシンプルな自動拳銃の構造で火薬の圧力でスライドを動かすものだ。

 自動拳銃の作動で一番難しいのは火薬の圧力でスライドを動かす際にスライドのスピードを調整することだ。基本的に無煙火薬の爆発力は強力である。この爆発力でスライドを動かすのだが、あまりにも高速でスライドが動いてしまうとカートリッジが排莢される前にスライドが後退と前進を行い作動不良となってしまう。ゆえにスライドの後退スピードを遅らせるためにショートリコイル方式やロータリーバレル方式など様々な遅延の方法が考案されてきた。

 これに対してシンプルブローバックは簡単だ。スライドの遅延の方法はスライドそのものの「質量」のみである。つまりは火薬の爆発力を抑制するちょうど良い質量のスライドを装着しておけば、自動拳銃はきちんと作動するという訳だ。原始的な理屈であるが、実際、ワルサーPPKSIGP230等はこの方式を採用して高い信頼性を確保している。

 「シンプルイズベスト!」。では全ての自動拳銃はそれでよいではないかと思う人もいるかもしれない。確かにショートリコイルやらロータリーバレルやらの複雑な構造を開発する必要がないと思えなくもないが、実はブローバックには一つ問題がある。それは、カートリッジの火薬の量に合わせてスライドの質量を増やすので大口径のハンドガンだとスライドの質量も大変なことになってしまうのだ。作動はするが、携行性その他の能力はかなり失うことになる。

 

 

コルトガバメント380

 

 このため世界の銃器デザイナーは様々な遅延の方法を考えることになったのだ。閑話休題、ガバメント380である。この銃が使用するカートリッジは380APC弾である。これは前述のように低威力であるためにブローバックで作動させることが可能である。ワルサーPPKもSIGP230も380APC弾を使用する銃である。しかしガバメント380ではブローバックではなく、M1911と同様のショートリコイル方式ティルトバレルロッキングシステムを採用している。

 ガバメント380は、このM1911と同じ複雑な構造を採用したため製造コストが非常に高くなってしまった。つまりは販売価格も高いということになる。だが、同時にこの方式を採用したことによりスライドの重量を減らすことが可能となった。同時にシンプルブローバックの鋭いリコイルからも解放されることとなった。これによりコストは高くなったがわずか600gで撃ちやすい自衛用ハンドガンが完成した。

 外観はM1911を小型化した形状でトリガーはSA(シングルアクション)、露出したハンマーやサムセイフティ、マガジンキャッチもM1911と同じである。但し、グリップセイフティは廃止されており、メインスプリングハウジング(メインスプリングが収納されている部分、M1911ではグリップ後下部にある)はフレームに内蔵されている。全体的にM1911を70〜80%程度に縮小したサイズであるが、装弾数はM1911と同じ7発、重量は600gでM1911の半分程度である。

 当時のM1911は「シリーズ」という分類で分けられており、ガバメント380が発売された1979年のM1911はシリーズ70に該当する。同様の分類はガバメント380でも使用されており、ガバメント380もシリーズ70に分類されている。そして1983年になるとM1911は、シリーズ80に進化する。これはシリーズ70では足りなかった安全機構を追加したものであった。この際、ガバメント380も同様の改良を実施、シリーズ70からシリーズ80に改良された。

 

バリエーション

 このガバメント380、評判が良かったようで、1986年になるとさらに小型化したマスタングが発売される。装弾数は5発+1発と2発少なくなってしまったが、全長140mm、重量は350gとかなり小型になっている。1987年にはポケットライトバージョンが発売、1988年には逆にグリップを延長したマスタングプラス2が発売された。これは装弾数が9発となり自衛用としてはかなりのファイアーパワーとなる。因みに1980年代後半にマスタングの装弾数は5発から6発に改良されている。

 1993年にはトリチウムサイトを装備したナイトライト380を発売、1996年にはマスタングの製造は中止されるが、同年にDAO(ダブルアクションオンリー)のポニーを発売している。これは全長140mm、重量539g、装弾数6発のモデルで2000年まで製造されている。さらに同年オールスチール、ステンレスモデルを発売するが、1999年にはオリジナルモデルのガバメント380の製造は中止された。2011年になるとマスタング、ポケットライトの再生産を開始、2013年にはポリマーフレームのマスタングXSPが発売されている。

 

あくまで個人の意見です(汗)

 コルトガバメント380に関しては、外観が古臭い(ごめんなさい)ためすごい古いモデルであると思っていた。しかし発売年が1979年と意外と新しくて驚いてしまった。まあ、1979年も古いといえば古いのだが。。。私が想像していたのは、1920年代とかその辺なもので(汗)。

 外観的にはあまり洗練された感じはせず、むしろ1920年代に開発されたワルサーPPの方がスタイリッシュに感じてしまう。セールスのために外観をM1911に似せたことも何か野暮ったさを感じてしまう理由にもなったのではないだろうか。

 しかし内部構造は中型ハンドガンでショートリコイルを採用するというすごいもの。どうしても大型化はしてしまうものの自衛用のハンドガンとしては撃ちやすさというのは重要だろう。ハンドガンというのはエアガンのように撃てば簡単に当てられるものではない。練習しまくってやっと当てられるようになるのだ。

 だが、銃好きでもない一般人にこれをやれというのも無理な話。それでもいざという時には撃てて命中させなければならないのだ。そうなると撃ちやすさというのは重要なファクターになってくる。ガバメント380はそこを狙った製品で、結果、ニーズをつかんだということであろう。

 日本でトイガン化しているのはタナカワークス1社だけだったと思う。ガスブロで1991年に発売、その後もエンジンを一新、WAのマグナブローバックを搭載したモデルを発売している。

 

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