
(画像はAMT ハードボーラー wikipediaより転載)
クーナン 357
性能
全長 211mm
重量 1,190g
口径 38口径
使用弾薬 357マグナム弾
装弾数 7発
完成 1983年
設計・開発 ダン・クーナン / クーナン社
開発経緯
1970年代、当時大学院生であったダン・クーナンは357マグナム弾を使用するM1911の設計を開始した。M1911とはいわゆるガバメントで言わずと知れた世界最高傑作と言っても良いハンドガンである。構造はシンプルでM1911で採用されたグリップアングル17.5°は理想的と言われている。
口径は45口径であるが、ダン・クーナンはこれを357マグナム弾で発射出来るようにしたかった。357マグナム弾は45ACP弾よりもさらに強力であるという実用性以外にも、1969年にはオートマグコーポレーションから44口径マグナムを使用するオートマグ、1979年にはIMIから357マグナム弾を使用するピストルであるデザートイーグルが発売されたりと、当時、大口径ハンドガンがブームになっていたという時代背景もあるかもしれない。
リボルバー弾を使用するのは簡単ではない
しかし357マグナム弾を自動拳銃で使用するというのは簡単ではない。火薬の圧力の強さというのもあるが、一番の問題はカートリッジの「リム」である。357マグナム弾というのは1935年に開発されたリボルバー用のカートリッジである。リボルバー用のカートリッジというのはリボルバーのシリンダーに装填した際、抜け落ちないようにカートリッジの後端の淵がカートリッジの直径よりも大きくなっている。これを専門用語でリムという。
リボルバーの場合は有効なリムだが、ボックスマガジンを使用する自動拳銃の場合は装填する際にどうしてもリムが引っかかって装填不良を起こしてしまうために欠点となる。ダン・クーナンはこの問題をマガジンの形状を工夫することで解決した。
これは、マガジンスプリングがカートリッジの前方に圧力がかかるように斜めに仕込まれており、マガジンフォロアーが下に行くほど大きく傾斜する構造となった。ダン・クーナンは1977年にこの銃の開発を開始、1983年には完成、この銃を販売するためのクーナン社を設立、1985年に販売を開始した。
外観
外観はコルトM1911そのものである。大きさ、重量共にほぼM1911でM1911と異なるのはグリップが前後に長いこと、スライド先端のえぐられた部分が無いこと、バレル先端までフレームがあることくらいである。これは357マグナム弾を使用することからレール長を延長して作動の確実性を高めたのではないかと思うが、同時に前方に重量を増やすことで357マグナム弾の強烈な反動を軽減する目的というのもあったのだろう。
ハンマーはリングハンマーでグリップセイフティも装備されている。グリップセイフティは上部がビーバーテイルのように後方に伸びておりハンマーとグリップセイフティの間に射手の親指と人差し指の間の水かき部分が挟まれないようになっている。スライドストップ、マニュアルセイフティもM1911と同位置にあるが、どちらも操作しやすいように延長されている。アンビ(両利き用)ではない。
構造
銃本体はオールステンレス製でスターム・ルガー社と同様にロストワックス製法で製造されている。発射機構はM1911と同じショートリコイル方式でロック機構はティルト・バレル・ロッキング方式である。発売当初はM1911と全く同じくリンクを使用したものであったが、1987年の357Bはブローニングハイパワーと同様の傾斜溝でティルトさせる方式に変更された。
S&W社のM1911クローンであるSW1911と同様に外部エキストラクターが装備されており、より確実な排莢ができるようになっている。作動等に関しては特に悪評はないが、357マグナム弾の反動に耐えるためにリコイルスプリングは非常に重い。
このため38スペシャル弾の強化版である+P弾仕様に変更できる変換キットも発売されている。このリコイルスプリングは357マグナム弾用は赤、+P弾用は緑に色付けされており容易に判別が可能だ。命中精度は25ヤード(約23m)で2インチ(約5cm)と非常に良い。
その後のクーナン社
1987年には357B、1993年にはコンパクトモデル357カデットを発売するが、1994年には破産、事業再生を図りつつ経営を続けるが1998年に完全に廃業した。以降、部品供給、修理はダン・ウェッソン社で行われている。クーナンのファーストネームと同じ「ダン」であるが特に関係はないようだ。2009年には新会社を設立して製造を再開するが、2019年にこちらも廃業している。
バリエーションとしてはオリジナルの5インチの他に4インチ、5.7インチ、6インチモデルがある。
クーナン357は357マグナムリボルバーに比べると装弾数が多く、未だに一部のファンには人気があるようであるが、現在では材料工学の進歩でリボルバーでも357マグナムを7発装填できるモデルも存在する。ボックスマガジンの利便性という面もあるが、自動拳銃で同威力のカートリッジというのであれば10mm弾を使用するハンドガンの方が実用性は高そうである。ユニークではあるがメジャーにはなれなかった銃である。
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